なるべく歯を削らないように

私は歯を削るのが大嫌いな、一風変わった歯医者です。「バリバリ削ってセラミックで白い歯に」という治療はあまり好きではありません。健康な歯の部分まで削る事が嫌なのです。
例えば、こんな感じで治療しています。

20歳の女の子。矯正やホワイトニングまで受けているのに、予防歯科は受けていなかったようです。フロスの知識や習慣が無かったので歯と歯の間を虫歯にしてしまいました。もったいない!
でもすぐには削らずに、矯正治療に使う小さな小さな輪ゴムを歯と歯の間に入れました。大丈夫。痛くないから。
この輪ゴムが閉まる力で歯と歯の間を1ミリ程度広げます。大丈夫。痛くないから。
2日後に輪ゴムを外すと、思惑通り歯と歯の間が開いて、虫歯の部位に直接アクセスできるようになっています。
細心の注意を払って少しずつ削ります。かけがえの無い歯だから、少しずつ、少しずつ。
手前の歯、5番にも虫歯が見つかりました。カリオロジーに配慮しても、今回同時に治療しておいた方が良いと判断しました。
カリエスディテクターを使って、慎重に、少しずつ削ります。
虫歯菌に感染した部分の除去が完了しました。
光重合レジンで修復しました。
翌日には1ミリの隙間は自然に閉鎖していました。

かみ合わせの面からガリガリ大量に削って、場合によっては銀の詰め物になる治療方法と比較して如何ですか?彼女にはこれらの写真を見せて「先生もこれだけ一生懸命やったのだから、貴方もフロスを頑張ってやってね。」とお願いしておきました。もちろん素直に返事をしてくれましたよ。