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歯科衛生士がステルス虫歯を発見!

20歳の女の子。先週、何年かぶりに定期健診とにお見えになりました。関心感心。
歯科衛生士の新谷先生がメインテナンス(クリーニング)中に「英保先生、ちょっとチェックに来て下さい。どうやら虫歯があるようです。」と私を呼びに来ました。
拝見すると左下の12歳臼歯にグレーっぽく見える箇所があります。
「新谷先生、流石だね、確かに虫歯のようだな。」と、私。「次回私のアポイントでお見えになって下さい。レントゲン検査をして確認し、必要なら治療しますね。」とお話しました。

このちょっとした変色から虫歯を発見できるのが、歯科衛生士のプロたる所以です。訓練を積んでいるからね。凄いでしょ。

後日、麻酔をして少し削ってみると、やはり内部で虫歯が進行していました。

少し削って開けてみたところ。内部は虫歯で変色し(オレンジ矢印)、歯肉に接するエナメル質は溶けて荒れて(黄色矢印)います。

斜めになっている親知らずを放置した時にはこうなる事が多いのですが、今回はそうではありません。珍しいケースだと思います。

彼女がもしも今回定期健診に来ていなかったら、この虫歯が気が付かないうちに進行して、「突然痛みが出てから歯医者に行ったら神経取られて銀歯にされた。」と友達に LINE しなければならない所でした。

やっぱり予防歯科の為に通院するってメリットが大きいですね。

なるべく歯を削らないように

私は歯を削るのが大嫌いな、一風変わった歯医者です。「バリバリ削ってセラミックで白い歯に」という治療はあまり好きではありません。健康な歯の部分まで削る事が嫌なのです。
例えば、こんな感じで治療しています。

20歳の女の子。矯正やホワイトニングまで受けているのに、予防歯科は受けていなかったようです。フロスの知識や習慣が無かったので歯と歯の間を虫歯にしてしまいました。もったいない!
でもすぐには削らずに、矯正治療に使う小さな小さな輪ゴムを歯と歯の間に入れました。大丈夫。痛くないから。
この輪ゴムが閉まる力で歯と歯の間を1ミリ程度広げます。大丈夫。痛くないから。
2日後に輪ゴムを外すと、思惑通り歯と歯の間が開いて、虫歯の部位に直接アクセスできるようになっています。
細心の注意を払って少しずつ削ります。かけがえの無い歯だから、少しずつ、少しずつ。
手前の歯、5番にも虫歯が見つかりました。カリオロジーに配慮しても、今回同時に治療しておいた方が良いと判断しました。
カリエスディテクターを使って、慎重に、少しずつ削ります。
虫歯菌に感染した部分の除去が完了しました。
光重合レジンで修復しました。
翌日には1ミリの隙間は自然に閉鎖していました。

かみ合わせの面からガリガリ大量に削って、場合によっては銀の詰め物になる治療方法と比較して如何ですか?彼女にはこれらの写真を見せて「先生もこれだけ一生懸命やったのだから、貴方もフロスを頑張ってやってね。」とお願いしておきました。もちろん素直に返事をしてくれましたよ。

ブローネマルク・インプラントは、やはり、美しい。

英保歯科では開業以来ずっとノーベルバイオケア社のインプラントを使っている事を先日このブログでお話しました。

故ブローネマルク博士。御自身が執刀する手術が終わった後、自ら患者様にコップを手渡して「良く頑張りましたね。どうぞゆすいで下さい」と労いの言葉をかけられる、そのような人格をお持ちの先生だったそうです(小宮山先生談)。歯科医師たるもの、こうありたいものです。

約20年前、故ブローネマルク博士の開発された素晴らしいインプラント治療の方法を小宮山彌太郎先生から教わってスタートしました。小宮山先生にCTのフィルムや模型を宅急便で送って直接ご指導頂いた事や、ノーベルファルマ社の歯科衛生士、吉積先生が三田の英保歯科までわざわざ来て下さって(堂々と)オペのサポートをして下さった事など、懐かしく思い出されます。

埋入後約20年経過したブローネマルクインプラント。無駄を極限まで削ぎ落した、この直径3.75mmのインプラントは今でもとても美しいと思います。
約20年経過してもビクともしていません。メインテナンスの賜物ですね。

当時はDTXガイドシステムはおろか、コーンビームCTすら無かった時代で、「上顎は医科でCTを撮影してもらった方がいいね」と言っていた位です。今はSmart Fusion, DTX Guide, Ti Ultra, Xeal, On1 等々が使えて、まさに隔世の感がある進歩です。

それらを全て歯科医師の「腕とセンス」でカバーしていたのですから、この写真を見たら「我ながら良く頑張ってきたな。」と思いますし、当時の経験は全て現在の手術に活かされているのです。あの頃があって今がある、ですね。

こちらの患者様も70歳になられましたが、インプラントを入れてからずっと4か月に1回は必ずメインテナンスに来て下さっています。最新のインプラントを使う事よりもっと大切な事、それはメインテナンスなのです。

歯を抜いたまま放置した結果・・・。

昔虫歯で神経を取ってしまった歯の根っこが割れてしまって「抜くしか無いですね」と歯科医師に言われ、歯を泣く泣く失う事があります。抜いた後はブリッジかインプラントか入れ歯の3択になるのですが、「抜いたまま放置」という4番目の選択肢は無いのでしょうか?

恐らく横になっていた下の親知らずをずーっと放置していたせいで、その手前の下顎の7番(オレンジ)が虫歯になって抜歯に至ったのでしょう。
下顎の7番(オレンジ)を抜きっぱなしにして放置した場合、このような事が起こり得ます。上顎の7番(黄色)が噛み合う相手の歯を探して伸びてきます。(緑と赤の線の位置を比較してみて下さい)
伸びて来た7番と下顎の6番(オレンジ)が干渉し合うようになって(赤矢印)、それが気持ち悪いので無意識に顎を変に動かして避けようとし始めます。だんだん肩や顎がこるようになったり、夜間に歯ぎしりをするようになったりという事が起こり得ます。
下顎の噛み合う相手の歯を抜いて放置した結果・・。上の歯がドンドン伸びて来て、エライ事になっちゃいました。(緑と赤の線の位置を比較してみて下さい)

このような事態を避けるためには、この場合現実的には下顎の7番を抜いたらすみやかにインプラントを入れておかなければなりません。

もし常日頃から予防歯科に通院していれば、横になった親知らずも早めに抜いて、インプラントの相談も早めに出来て、良い事ばかりですね。予防するってやっぱり大切ですね。

インプラントオペLIVE(閲覧注意):DTX+TiUltra+Xeal+On1

根っこが折れた歯を抜いて、バイオスという人工骨とテルプラグというコラーゲンで骨と歯肉が減らないように工夫を施していました。奇麗になおったのでインプラントを埋入します。英保歯科のお客様は前後の健康な歯を削る事が嫌いな方がほぼ100%ですので、このような場合にはほぼ100%の方がインプラントを選択なさいます。
DTXという3Dシュミレーションソフト上でインプラントの3次元的な位置を完璧に決定し、ワンオフのテンプレートという装置を使ってそれを実際の手術時に再現します。今回はソケットリフトという手法を使って上顎洞底を持ち上げてインプラントを埋入する計画です。一瞬の気の緩みも許されない難しいオペなのです。
小さな小さな切開を加えて骨を露出させます。
骨に穴を開け、上顎洞に達する直前で寸止めします。昔は手の感触と目分量で止めていたのですが、今はそれに加えてガイドが正確な距離を教えてくれます。テクノロジーの進歩は時に物事を根底から変えてしまいます。
予定されたポジションに TiUltra の表面性状を持つインプラントが埋入されました。
細胞レベルに働きかける表面性状を持つXealアバットメント(金色に輝く)が「ムコインテグレーション」を可能にしてくれます。
ガイドシステムによって両隣の歯のど真ん中に、完全に並行に埋入されています。

今回のオペでもDTXの活用によって「ここしかない」という正確な位置にインプラントが埋入されました。英保歯科のお客様は、ここでも又、ほぼ100%の方がこの「DTXを使った手術」を選択なさいます。(ちなみに英保歯科でDTXを使用する際の追加料金は 22,000 円(2021年02月現在)と、比較的リーズナブルにさせて頂いております。)

日本におけるインプラント治療も日進月歩で、一般的にはこの様にますます安心・安全になってきています。今回のブログがインプラント治療をお考えになっておられる方の安心に繋がれば幸いです。

Guided & Ti Ultra® & Cytrans®

私がお客様の歯を治療する時、ほとんどの場合はスタッフについてもらわずに一人で行っています。理由は2つあって、1つは「受付は英保歯科の中でも最も重要な仕事。スタッフのストレスを少しでも減らして受付業務に専念して欲しい」と思うため。2つ目は「一人きりで集中して治療がしたい」と思うためです。

しかしながら、そんな私でもインプラントの手術だけは一人では不可能です。先日の英保歯科でのインプラント手術には、院外のフリーランスの歯科衛生士の先生に「外科助手」として参加して頂きました。この歯科衛生士のK先生は外科の助手の訓練をキチッと受けておられるので、今回のように飛び入りで参加して頂いても完璧に手術が行えます。プロの仕事っていう感じでしょ?

プロの仕事といえば、英保歯科ではCTによる治療計画やシュミレーションに基づき3Dプリンタを用いて作成されるガイドシステムをベースに、そこに私の臨床経験から出来たスパイスとソースをサッサと降り掛けた「最新といぶし銀が共存する英保歯科らしい」オペを行っています。その一部を写真で紹介しますね。

他院で抜いてもらった左下の奥歯の所(黄矢印)。痩せてしまって骨幅が少ない(黄点線)ので、インプラントは簡単ではありません。
インプラントが入る場所を3次元的にガイドするマウスピース(緑色)を装着し、Ti Ultra インプラント(青い点線から先の部分)をガイドスリーブ(黄色)に正確に入れて行きます。
CCという最新の接合様式(青)を持った陽極酸化処理で金色に輝くTi Ultra インプラント(黄色)が寸分違わず計画した3次元的位置に収まりました。この後自家骨とサイトランスグラニュールという人工骨を露出したインプラント周囲(黄色)に移植し、サイトランスエラシールドという吸収性膜で被覆して手術を完了しました。

いかがでした? 今回のブログで、読者の皆様のインプラントに対する理解が少しでも深まれば幸いです。

【閲覧注意】歯を分割・回転・再植した結果・・・。

約1年前、英保歯科に初めて相談に来て下さったお客様の左下7番。「他院で『この歯は抜いてインプラントにするしかいない』と言われたのですが、何とか残す事はできませんか?」というご希望でした。

この歯、確かに普通は抜歯だよな。素人の皆さんが見てもそう思いませんか?
この歯は根っこが2本あります。特に後ろの根はボロボロで、その周囲の骨には炎症が起きています。
虫歯で歯肉の下まで溶けてしまっているよ(黄色)。とりあえず歯を中央で半分にカットして歯根を分割して・・・。
後ろの根っこは抜いて捨てる。手前の根っこは一旦抜いて、ぐるっと前後を入れ替えて再植する。そうしたら、抜いた穴にピッタリ収まらずに 2㎜ 程度浮き上がるので、歯肉の中の虫歯の部分が上に出てくる。我ながらCOOL!?
後ろの根っこを抜いた穴にはテルプラグというコラーゲンを入れました。手前の回転・再植した根っこは出て来ないように糸でホールドする。
その後、 i Mix で根管内を完全に殺菌して、ファイバーコアを立てた。
とりあえずは「歯を残して欲しい」というご希望に応える事ができました。

手術から1年後、骨の炎症も完全に消えたので、これをインプラントに置換するか、当面このまま保存してみるかという前向きなディスカッションをして「御自身のご希望がどこにあるかを考えてみて下さい。」とお願いしました。医療は最終的には本人の意思が最も尊重されるのです。

歯を残して欲しいというご希望にお応えする努力をしたため、こちらのお客様とのお互いの信頼関係は良好なはずです。インプラントに関する私の説明やご提案に対して心から 100% 信頼して(←これ大事)耳を傾けて頂く事ができました。

最初から「抜いてインプラントしかない」の一点張りとは大きな違いがあると思います。
微力ながら、こうやってコツコツと日本の歯科医療の信頼を回復するための努力をしています。だって、私は歯医者になるために産まれてきた人間ですから。

最近の保険の白いかぶせ(大臼歯のCAD/CAM冠)ってどうなの?

先日から英保歯科のファミリーになられたお客様。他院で3カ月前にやってもらった保険のCAD/CAM冠が外れたとの事で「どうしたら良いでしょうか?」と相談を受けました。

多くの歯科医院が「ついに厚生労働省が認可!奥歯にも保険で白い歯が出来ます!」と謳っている訳ですが・・・。
CAD/CAM冠といっても所詮はプラスチックです。冠が壊れないように厚みを充分に取ろうとして、大量に歯を削ったようです(黄色)。その結果、歯の高さが短くなっちゃいました(赤)。
CAD/CAM冠のプラスチックの強度を出すために、ぐるりも大量に歯が削ってあります。一部は歯が無くなって土台が露出してしまっています(黄色)。この歯って長持ちするのかな?
土台の内部が腐敗して悪臭がしてくるので、全て削り取って「一から」やり直しする事にしました。被せは自由診療のジルコニアを使う事になります。しかしながら、既に大量に削ってあるので私が思い描くような理想的なリカバリーは、もはや、不可能です・・・。

頑張って自由診療で再修復を試みる事にしました。でも、もしも長持ちしなければ抜歯してインプラントにしなければなりません。
保険のCAD/CAM冠って、どうなんでしょうね?
長い目で見たら、かえって高くつく治療かも知れませんね。

ナイトガード(マウスピース)を作る前に

夜寝ている間、無意識に歯ぎしりや食いしばりをしている人が非常に多く、歯を磨り減らしたり、時には破壊したりしてしまう事があります。骨が変形する事もあるんですよ。怖いね。

下顎の骨隆起の一例。歯ぎしりや食いしばりの力によって骨が変形(隆起)しています。貴方にはありませんか?

ストレスが原因の一つと言われており、このような方は、以前は中間管理職のような男性に多いように感じていたのですが、最近はむしろ(アラフォーの)女性にそのような傾向持つ方が(非常に)増えてきている印象を持っています。

母親の胸に抱かれ愛情に包まれて寝ている赤ちゃん(おさなご)は皆、歯を食いしばったりする事は無くスヤスヤと休んでいるはずで、眉間に皺を寄せてギシギシと歯ぎしりを赤ちゃんなんていませんね。安心し切って、ストレスゼロなんでしょうね。

ストレス・・・。

スマホをベッドに持ち込んで、つい俗世間の話題を見てしまい、心をかき乱されていませんか?
布団に入ってからブルーライトを見たり、心理に悪影響を与える情報に触れたり、睡眠中ずっと、頭のすぐ横に電磁波を発する機械を置いていたりしていませんか?
5G になったらますます強力な電磁波となるそうですし、企業や政府が発する「安全神話」を鵜呑みにしないで自己防衛する努力が必要かも知れません。

歯ぎしりに対するナイトガード(マウスピース)を作る前に、「まずはスマホの電源を切って机に置いてから布団に入ってみたら?」とアドバイスして差し上げたいですね。例えば、せめて夜9時以降はSNSやLINEから距離を置くようにすればマウスピースを作る必要が無くなるかも知れませんよ。

ブリッジの利点・欠点

歯を失った時には何らかの方法でそこに歯を入れるのが一般的です。方法としては、入れ歯、ブリッジ、そしてインプラントから選択するようになります。
入れ歯や銀歯のブリッジは保険が効くので安価です。それは利点ですね。

欠点について、当院で10年以上前に装着したブリッジの経過を例えにお話します。

6番という大臼歯を抜歯した後、そこに(義)歯を入れて欲しいとのご希望がありました。1本のインプラントを使うか、ブリッジにするか相談の結果、お客様はご自身の意思でブリッジを選択なさいました。

このブリッジは3本分の歯を前後の2本で支えるので、支えの歯の負担が1.5倍になります。

緑色の所の歯は抜いてしまってありません。前後の歯を支えにしてブリッジという義歯を入れて調子よく使って頂いていたのですが、ついに支えの歯の根が割れてしまいました(黄色で囲まれたところ)。


そして支えの歯は過去に神経を取ってしまっていたので、もろく割れやすくなっています。
その結果、装着したブリッジは10年以上良い感じで使えていたのですが、ついに歯根破折が起こって寿命が来てしまったのです。

黄色の点々で囲まれた部分が歯の根っこの外形。この歯は根っこが2本あります。赤い所は手前の方の根っこが割れてしまって、開いた口ばしのようになっている事を示しています。

この辺がブリッジという修復方法の、避け難い欠点なのです。後ろの支えの歯を抜いたら、ついに入れ歯か2本のインプラントで修復という事になります。悔しいけど、これが現実なのです。

やっぱり予防が一番ですね!