50歳のあなた、過去に虫歯だらけでも、あなたが悪いのではありません。

50歳前後の世代の非常に真面目な患者さんが「私は過去に虫歯をいっぱい作って、銀歯だらけで、自分自身の事が恥ずかしくて仕方がありません。今の子供たちは虫歯が無くて羨ましいです。」とおっしゃいました。
昭和40年頃は子供の歯と体にとっては最悪の時代でした。今は発がん性のために発売禁止になっているチクロやサッカリンなどをバンバン飲まされていましたし、下手したら「味噌っ歯(茶色に溶けてしまった乳歯がずらっと並んでいる状態。味噌のように見えるのでこのように呼んだ)の子供は可愛い」なんて訳のわからない事を言っていたのですから。
社会も親も、戦後の何も無い時代に比べて「物」が手に入るようになった事がうれしくて、体や心、それに歯の健康には興味が無かったのでしょう。
平成に入ってからでさえ、「八重歯(犬歯が外側に存在してしまっている状態。非常に問題の多い不正咬合で一生苦労する。外国ではドラキュラの歯と言われます。)がかわいい」なんて訳のわからない事をいう人がいましたね。今現在、雑誌の表紙のスマイルで八重歯の人は皆無ですね。「あの人は八重歯で気の毒」というのが正しい発想です。
昭和40年頃に子供だった方は、歯が悪くても、あなたやあなたの親が悪いわけではありません。社会の振り子が物欲と消費欲に振れていた時代だったので仕方がないんです。これからベストを尽くして予防をしていけば良いのです。
自分や自分の親を責める必要はありません。今からでも遅くありません。前向きに予防に取り組みましょう。

再生医学の最前線

大阪口腔インプラント研究会は創立30周年を迎え、記念講演会を開催しました。 iPS細胞やES細胞を使い、バイオエンジニアリングを駆使して歯や髪の毛や唾液腺を再生させる事が不可能ではない時代が来ています。 ただ費用が一人の患者さんに対して数千万円ほどかかることもあり、まだまだ夢の世界です。トランプさんならポンと払えるお金かもしれませんが、フツーの人には無理ですよね。 しかも癌化する可能性があったり、形が不完全だったりするのですから高い割にはもう一つですよね。 ここ20年でパソコンが想像を絶する進化を遂げたように、この再生医学も想像をはるかに超える進歩をすることでしょう。 私の感想は、「やっぱり予防に勝るものはないな。神様から完璧な歯をタダでもらって、それを大切に使うのが一番だな。」でした。

「先生のブログのファンです。」なんて言われちゃいました。

11月3日、文化の日に、歯科関係の講演会に参加してきました。
晴天で絶好の行楽日和でしたが、家族サービスを犠牲にして、高額な参加費を自腹で出して、たくさんの歯科医師が勉強に来られていましたよ。
多くの歯科医師は平日は診療に、休日はこうやって勉強に励んでおります。若い先生方も「最近の若いモンは」なんて言葉が全く当てはまらない位、いや、むしろ私達よりずっと真面目に頑張っておられます。頭が下がります。
写真の先生が声をかけれくれて、「先生のブログのファンです。」なんて言ってくれました。嬉しいやら、恥ずかしいやら。
私の予防歯科を中心にした考え方に共感して下さったのではと思っております。
岡山大学で学んだ予防歯科中心の歯科医療哲学は本当に私を助けてくれています。岡山大学歯学部、ありがとう。