epsode4:春の嵐

私は少なくとも後10年、可能なら15年以上歯医者を続けさせて頂きたいと思っています。受付スタッフや歯科衛生士の先生方や英保歯科のお客様が許して下さってお付き合い下さるのなら。

英保歯科が出来てから約30年が経過しました。開業医としての歯科医師人生を春夏秋冬に置き換えて、10年を一区切りとするなら、最初の10年が春、次の10年が夏、その次の10年が秋、この先の10年が冬という感じになるかも知れません。

平成7年に33歳で開業してからの10年間は、春は春でも春の嵐のようでした。国立大学病院の看板の下で(勘違いして)偉そうにしていた30代前半の若造が、何の経験も無いまま、先輩からの指導も受けないまま、いきなりサービス業の店主になったのですからスムーズに行く訳がありません。しかも対象のお客様は日本一厳しい関西人です。

歯学部時代にそれなりに真面目に勉強していましたから、歯の治療方法については悩むことは少なかったのですが、対人的には毎日毎日が今までに経験した事の無いような失敗の繰り返しでした。

不幸な事に、白陵中学・高校では軍隊式教育というスパルタ的な指導を受けてきましたので、その事も目の前のスタッフやお客様の社会的価値観とのギャップを大きくする原因になっており、アジャストするのに大変苦労しました。太平洋戦争真っ只中の日本兵が軍服のままタイムマシンで平成のバブル時代のジュリアナに降り立ったようなものですから。

毎晩毎晩、自己反省や自己嫌悪に悩みながら頑張った10年でした。それでも何とか英保歯科が潰れずに続ける事ができたのは、英保歯科や私を見切らずに御贔屓にして下さったご近所のお客様の優しさと寛容のお陰だと、今さらながらに感謝しています。

さて、次の10年は夏。その頃は私も40代前半で元気一杯です。「事業をやる限りは、売り上げを伸ばすのが成功者の証」という事で、英保歯科の歯科医師を増員して経営規模を拡大する方向に舵を切る決断をしました。ホットな夏がやって来るはずです。