「その場しのぎ」の繰り返しに見える

痛くなった時にだけ歯医者に行って、神経を取ってもらったり、歯を抜いたり。
抜いた部分に歯を入れるのに「インプラントは高いので無理。保険の範囲内で治療してもらおう。」
という事で、歯を抜いた部分の前後の歯を大きく削って「保険の銀歯のブリッジ」を入れて貰ったそうです。

3本の銀歯の真ん中の、表だけ白い歯の下には歯がありません。そこに「保険で歯を入れる」為に前後の歯をぐるりと削って「ブリッジ」という橋のような構造体が入れてあるのです。犬歯のすぐ後ろの歯だから銀歯が丸見えなのですが、まあ、保険のルールに則った正しい治療方法ではあります。

ところが、10年ほど経って、その部分の歯の調子が悪くなったそうです。拝見すると上の写真のような状態になっていました。何が問題かわかりますか?

左側の歯の根っこは本来、黄色の・・の線で描いた所にありました。この歯は神経が取ってある歯なので脆く割れやすくなっていました。その歯をブリッジの土台にしたので、負担がかかって、歯が割れてしまったのです。青で示すように、竹を割ったように真っ二つになってしまっています。もう抜くしか選択肢がありません。

一番左に写っている虫歯になっている歯は犬歯です。一番右に写っている第2大臼歯はとりあえず残せますが、奥歯が3本も無くなってしまうので、まともに食事をする事ができません。

この方の年齢が40歳としたら、後40年から50年は余命がある可能性があります。どう思われますか?

主観的な見解ですが、こういった治療(?)はその場しのぎをしているだけで、そのツケを払うのを先延ばしにしているだけのように思うのです。昭和の時代のように75歳位で寿命が来ていたなら、この「日本の保険治療」でも何とか一生過ごせたのだろうと思いますが、今は人生100年時代です。このペースで歯を失っていったら、なかなかタフな長~い老後が待っていると思います。

インプラントがベストだと言う気はありませんが、前後の歯を削らずに抜けたところにインプラントを入れていたらどうでしょうか?

「とりあえず」「その場しのぎ」「今は安い治療で」の繰り返しのその先にある、貴方の老後のお口の中を想像して下さい。

早目にちゃんとした治療を選択するのも、一つの生き方だと思いますよ。