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フッ化物(いわゆるフッ素)について

皆さんは歯にフッ素が良いという話を聞いた事があるでしょう?これは事実です。
私(1962年生まれ)が子供の頃は、子供を2-3人産むのが当たり前で、まだまだ戦後から立ち直りつつある空気が社会にあり、戦争体験者もたくさんいらっしゃましたので、子供に対しては「食べ物があって、命があって生きているだけで充分」といった考え方が根底にありました。今の、少子化で一人一人の子供を「完璧な人間に」育てようと親や社会が考える時代とはかけ離れていたように思います。
私が子供の頃は「虫歯があって当たり前」。今は「虫歯が無くて当たり前」なのです。
実際に、私が校医を務める保育園・小・中・高等学校に健診にいくと、虫歯が激減しているのがわかります。ウッデイタウンは特に素晴らしく、ある小学6年生3クラスのうち虫歯があった子が2人という経験も持っています。
この何十年かで子供たちがとても丁寧にハミガキをするように変わったのかというと、答えは Yes and No です。
その一つの鍵がフッ化物(いわいるフッ素)にあるのです。

子供に甘いものを与えるのは厳禁か?

2回ほどショッキングな話を書きましたので、多少ネガティブな雰囲気になってしまったのではと心配しています。私は前向きな人間なのですが。
さて、砂糖がとても依存性が高く、特に小さいうちにその味を覚えてしまうと一生離れる事ができないと言われています。肥満や糖尿病の原因にもなりますので、お酒やタバコと同様に、健康に害のない程度で楽しめるようにしてあげたいものです。
私には4人の子供がいますが、歯の予防には歯科医師である妻と協力して人一倍気をつかっています。歯に良い食生活習慣は体にも精神にも良い方向に働くものだからです。
具体的には4歳までは精製白砂糖の入った物は一切与えませんでした。それは厳密に守りました。これはし好を形成する上で非常に意味がある事だったと思います。
4歳になって幼稚園に行く頃からは、幼稚園で出される食事やおやつに精製白砂糖が含まれるので、基準を緩めるようにしますが、昔から言われるように「おやつは1日1回時間を決めて」というスタンスを守ります。それからレノビーゴ(ドラッグストアでも売っている子供用の安全なフッ化物)を夜寝る前に使用するようにします。
フッ化物についてはそのうちお話をしたいと思っています。

子供を虫歯から守ってあげる事の意義

前回、歯の価値は1680万円+消費税だというお話を書きましたが、このような視点で見ると、自分の子供や孫の歯を虫歯にしないという事はどうなるでしょう?誰も自分の子供が憎くて飴やチョコレートを与える訳ではありませんが、歯が溶けてしまうほど与え続けるということはかなり残酷な事をしている可能性があります。
おじいちゃんやおばあちゃん、あるいは両親が死んでしまった後もその子の人生は続きます。歯を修理するために、場合によっては自分の貯金を崩さなければならないかもしれません。
子供を虫歯から守ってあげる事は、その子に、極端な話、1680万円+消費税の貯金をしてあげているのと同じです。
歯を大切にせずに悪くしてしまって大変後悔されているお母さんにこのお話をしたところ、「お金で何とかなるならまだいいけど、お金では、もうどうしようもない事ですよね。」とおっしゃいました。その通り。インプラントは所詮インプラント。自分の歯とは比べ物になりません。人工臓器なのですから。
このお話から、虫歯になった事のない無垢の歯をプレゼントしてあげる事がどれだけ価値があるか分かって頂きたいのです。
今は虫歯を完全に予防する事は、真剣に取り組むなら難しい事ではありません。
それが新しい学問“予防歯科”なのです。

歯の価値はおいくら?

まず、歯の価値は値段がつけられないほど高いという事を知らなければなりません。
次に、歯医者に行って治療を受けても歯は元に戻せる訳ではなく、虫歯菌が溶かしてしまった部分を金属やプラスチックで修繕して延命しているだけだという事を認識しなくてはなりません。
日本人は、小中学校の間は無料で歯の治療が受けられたり、小さな虫歯なら保険でとりあえず何千円かで治療ができてしまうので、今後もずっと同じような値段で歯が“なおる”と勘違いしてしまうのです。それで本気で予防して絶対に虫歯や歯周病にしない、歯を大切にしようという気が起こらなくなってしまうように見えます。“なんだ、虫歯になっても歯医者に行ったら保険で歯がなおる。簡単ジャン”と思いこむのですね。これが日本人の不幸の始まりと言っても良いかも知れません。
どんどん歯がダメになっていって、1本、2本と歯を抜くようになっても、まだ保険のブリッジで、“とりあえず”安くで歯が入るので、この段階でもまだ歯の価値に気がつく日本人は少ないです。
悲劇はこの後に始まります。たくさんの歯を失っていよいよ部分入れ歯になった時に、愕然となります。金具が見えて格好が悪い上に、喋りにくい、食べにくい。同窓会や外食に誘われても断る事が多くなってしまします。急激に生活が変わってしまう患者さんを山ほど知っています。保険が効くせいで歯の大切さを忘れてしまう日本人は本当に気の毒だなと思う事がよくあります。
昔のように60才過ぎたらリタイヤして、お口には入れ歯が入っているのが当然な時代ならいざ知らす、今は70才を過ぎても元気で社会生活を送る事が期待されていますので、例えばインプラントで失った歯を補うような事を考えるようになります。でも、そういった状況ですから、残っている歯も神経を取って銀歯になっており、その歯の寿命も近付いている事が多々あります。歯の全滅が近いという事です。
英保歯科ではインプラントは1本35万円+消費税(から)という設定ですが、大阪の一等地のあるインプラントセンターでは1本60万円+消費税がかかるそうです。
人間の歯の本数は通常28本ですから、極端な例えですが、28本全部をこのインプラントセンターでインプラントに置き換えると1680万円(!)+消費税が必要になります。夫婦で治療するとなると、家を売却しても足らない位ですね。
逆に言うと、歯を大切にすることはものすごい額の貯金をしているのと同じ事になります。
予防の治療をしてくれるのは歯科医師ではなく歯科衛生士さんです。私は“歯科衛生士の治療を定期的に受ける事は歯科医師である私の治療を受けるより1000倍大切です。”といつも患者さんに言っています。だって、予防さえすれば、1680万円がタダになるのですから。世界一周旅行をしてポルシェを買ってもまだお釣りがきますよ。
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インプラントの一例。(最近はインプラントの性能が向上しましたので、もう少し本数を減らしてブリッジのようにします。)治療に結構なお金と時間がかかりますよね。手術も受けないといけませんよ。
この上に人工のセラミックでできた歯を取り付けると、リタイヤした野球選手や昔、八重歯だったアイドル歌手のように信じられないほど綺麗で真っ白な歯並びになります。でもしょせん人工臓器です。自分の歯のような「歯ごたえ」はいくらお金を積んでも、もう戻ってきません。

台湾からのお客様をお迎えしました

IMG_2370英保歯科が開発した防湿装置ZOOの優れた性能が認められ、台湾でブレークしています。今日は台湾の歯科関係の紳士がお二人、ZOOの事をもっと詳しく知りたいと来日して下さいました。3時間以上の会議で、お互いにとって前向きな話をする事ができました。お互い違う母国語を持っていても英語という共通言語で話をする事ができるのは本当に便利ですね。