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親知らずはいつ抜くか?

抜かないといけないような親知らずを持っていたら・・・

大学の1年生から3年生の間に抜きましょう。
そのチャンスを逃しても、妊娠するまでには抜きましょう。

今日、三田市の歯科健診に来て下さった40代の女性の患者さんですが、全体的には虫歯を治療した歯は少なくきれいな状態でした。
ただ、一番奥の歯だけが神経を取った上に、銀歯のかぶせになっていて、そのギャップが変な感じです。
歯科医の私にはこれが「親しらずが悪さをした結果」であることはすぐわかりました。
中途半端に生えていて、一部だけが見えているような親知らずの周囲は清掃ができないので、手前の歯までひどい虫歯にします。この方のように、お口の中に虫歯菌が少ない方でも、やっぱり清掃できない所は虫歯になってしますのです。
予防歯科の見地からも、ちゃんと生える見込みの無い歯は、適切な時期に抜いておく方がずっと賢明です。

これから、何回か親知らずについて連載したいと思います。抜歯のタイミングの理由についてもお話してゆきますね。

子供の歯ぎしりについて

結構な頻度で、「子供が歯ぎしりするんですけど、どうしましょう?」と相談を受ける事があります。
比較的良くまとまった記事がありましたので、まずはこちらを御一読下さい。
ほとんどの場合は心配しなくて大丈夫です。ドンドン歯が生えてきて、体も成長して、大人からは想像がつかないくらいダイナミックに顎も咬み合わせも変化しているのですから、歯ぎしりで位置などの「確認作業」をしても不思議ではないでしょう?
不幸にして、咬み合わせや姿勢の異常などが原因の歯ぎしりだとしたら、その誘因の一つに「普通の子供らしい生活をしていない可能性」がありますので、今一度問題がないか見直しをしてあげて下さい。
食事の内容は問題ありませんか?かんで食べる食事を与えていますか?飲めるカレーを作っていませんか?
夜は7時半に寝ていますか?エンジェルタイムに寝ておくことは、体のと心の正しい成長に必要です。顎の骨も体の一部であることを忘れないで下さい。 ブルーライトの影響を避けたいような時間になってもスマホを見せたりしていませんか?子供はとても敏感です。不自然な状況は避けてあげないと体内時計が狂ってしまいますよ。
などなど。例を挙げればきりがありませんが、人間として普通の暮らしをしていれば、多くの場合は子供は元来、正常に成長するポテンシャルを持っています。
不幸にしてそのポテンシャルが少ない時には歯科医師の出番ですが、まずはお母さんとお父さんの正しい知識と実行が先決です。
ただ、余計な事をしなければ良いだけなのですから、さほど難しい事ではありませんよ。「僕たちにもうモノはいらない」も流行っていますね。

PFA 国際歯学会

今日は土曜日ですが、臨時休診させて頂き学会に参加してきました。
歴史あるピエールフォシャールアカデミー国際歯学会で歯周組織(歯の回りの骨や歯肉)の再生をさせる治療法の最前線に関して講演を聞いてきました。
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専門的な話になりますが、興味のある理系の方のために書いてみます。
iPS細胞までさかのぼって使用しなくても、もっと分化した細胞を刺激する成長因子を応用すれば失った組織が再生できる時代が近くなってきました。
リコンビナントのFGF2という成長因子を手術の時に塗るだけで良いのです。大腸菌で発現できるのであれば製品化されても比較的安価で、保険導入も夢ではないかも知れませんが、その辺はまだ不明です。
科学の進歩は素晴らしいですね。

女子高生のDMFT増加?そうかも知れない。

友人が「選択」という月刊誌の記事をSNSにシェアーしてくれていました。この雑誌はスポンサーがの影響を受けない、中立の立場で書かれる雑誌で、この記事も歯科関係の人が書いたものではありません。
日本の保険歯科医療の崩壊は私も述べてきましたが、同様の事が書かれています。
神戸の先生が日本人のDMF指数は増加しており、特に女子高生に顕著だとおっしゃっている点が興味深いと思います。
雑誌「選択」の記事
友人の大阪の先生も、尼崎の先生も「痛みさえとれたらアポイントをブッチして来ない患者さんも多いよ。」と言っています。
三田(特にウッデイタウン)ではそういう感じは少なく、やはり虫歯もDMF指数も減少していると思いますが、それは健康志向の強い家庭が三田に住んでいるからだと思います。

ありがとう。英保歯科のファンの皆様には感謝の思いでいっぱいです。

歯は予防が大切と言ういう事を、この何か月か毎日強調してブログを更新してきました。毎日毎日書いていると、わずか何か月かの間でも、自分の考えや思いにブレがあることが分かって冷静になれることに気がつきました。
読者の皆様には乱文にお付き合い頂きましてありがとうございました。
お陰様でお伝えしたい「思い」のある程度は表現できたかなと思っています。
11月からは少しペースダウンさせて頂こうかと思っています。これからは週1回程度の更新になるかもしれません。
でも内容は厳選し、より皆様のお役に立てるように努力してまいりますので、今後ともご愛読の程、宜しくお願いします。
あまり楽しくないブログを読んで下さった、英保歯科のファンの皆様に感謝の思いを込めて。

一生持てば、それでいいんですから。

予防が大事、予防が全て。歯科医は歯を元に戻す事ができないので、歯を大切にして欲しい。
それをお伝えしたくて毎日ブログを書いてきました。
でも、歯医者はこわれた歯を修繕するためにいるのです。上手に修理して、当分使えるようにできますよ。
平均からして、90才で死ぬとしましょう。90才まで、虫歯ゼロの完璧な、モデルさんのような真っ白白の歯がズラーッと並んでいて、20歳の子のように、歯ぐきが全然下がっていない状態なんて不可能ですし、その必要もありません。
皆様には歯を大切にして頂きたいですし、歯科医は一生懸命歯を修理します。そして、死ぬまで(だけ。それで充分。)、皆様にそこそこ不自由なく健やかな人生を送って頂く事が目的なのです。何百年も歯を持たせる事ではないのです。歯は、死ぬまでさえ何とか持ってくれれば、それで充分なのですよ。
みーんな頑張って、長い人生を過ごしているのです。その間に体も壊れてきますし、心も傷んできますよ。もちろん歯も悪くなって当たり前なのですよ。
銀歯があったり、抜けたところにブリッジやインプラントが入っていても恥ずかしい事ではありませんよ。それで普通です。
自分の歯が汚いと思っても、それは頑張ってきた、人生の勲章と見ても良いではないですか。
でも、できれば一生、取り外しの入れ歯にだけはならなくて良いようにしたいですね。歯医者も技工士も頑張って作るのですが、所詮入れ歯は入れ歯・・・。
入れ歯は別名「義歯」と言います。義眼や義手や義足と同様に、無くてはならない大切な物ですが、自分の臓器のようには行かないのですよ。

だからこそ、生活の基本を身につけさそう。

昨日、フッ化物が添加された歯磨き粉が危険という記事を紹介しましたが、私も含めて誰もがこいうった記事を読むと不安になりますよね。
特に歯科医師は指導的な立場にあることから、背筋が冷たくなるほど責任を感じつつ、こういった記事を読んでいます。
何度も何度も繰り返していますが、例えば神戸友の会幼児生活団で指導しているような「早寝早起き、一日4回食」といった生活のリズムが確立されている子供には2-3歳からフッ化物を与える必要は少ないと思います。実際に私の2歳の子供は歯磨きをしてやろうとしても歯垢がほとんど付いていません。唾液のおかげも多々ありますが。
6歳臼歯が生えてくる頃からは、レノビーゴを使うようにさせています。
大昔の食生活には戻れませんが、基本を知る事でフッ化物の使用を6歳まで延期する事は可能でしょう。

フッ素入り歯磨き粉は危険!は本当か?

歯磨き粉に添加されているフッ化物の危険性を指摘する記事が時々出てきて話題になります。
フッ素入り歯磨き粉は危険!ガンや骨肉腫、ダウン症の原因との指摘も
という記事がありますので紹介しておきますね。
こういった議論 がしっかりなされる事は良い事ですね。
基本的にマスコミは不安を煽るような内容や他人の不幸を記事にする事が多々あります。
記事を書いている人の資質や、引用されたデーターなどの信ぴょう性などもしっかりチェックした方が良いですね。
もともとは「ひょっとしたら危険かもしれない。」とあったデーターを記事に書き直す時に「危険であるので止めた方が良い。」と書き直す人もいますよ。理系の科学論文を書きなれた人はそういう事はしませんが、
私はフッ化物の社会的メリットも大きいと思います。親の予防歯科の知識が低いために良くない砂糖の与え方をされている子供もたくさんおりますので。
レノビーゴは安全な濃度に抑えてありますので、ハイリスクの小児と6歳以降のお子様にお勧めしています。歴史のある製品でもあります。

歯周病がないのに歯ブラシ30分は長いかも。

今日、歯がしみると言ってお越しになった患者さん、非常にまじめで几帳面そうな方で、歯がしみるとの事でした。
虫歯は無いようでしたが、色々とお伺いしているうちに、過去に歯周病だと言われたので30分位歯磨きしているとの事。歯磨き粉は石鹸歯磨きをお使いとの事で、かなりの健康オタクとお見受けしました。
歯ブラシは普通の堅さだそうですが、30分間も歯をナイロンたわしでゴシゴシやっているのと同じ。
「歯周病があれば30分でも良いでしょうが、この健康な歯肉で30分は長いのでは?」とアドバイスしたところ、「では何分が良いのですか?」と質問して下さいました。
お家には(もちろん)歯垢染色液があるとの事で、「染め出しをして、それが全て落とせるまでの時間を測って下さい。それが丁度良い時間です。」とお答えしておきました。
歯ブラシだけでなくフロスも使って欲しいとか、フッ化物の話とか山ほどしたい事がありましたが、時間に限りがあるので一旦お別れしました。「英保歯科のHPで予防歯科のヒントを読んでね!」と心の中でつぶやきました。

歯は一生買い替えのきかない包丁みたいなもの

歯学部の学生だった頃、20歳になったばかりの頃に、友人と下宿に集まってビールとチキンとピザでパーティをした事があります。
歯学部の同級生の一人がビールの王冠を歯で開ける事ができるのが自慢らしく、何度もそれをやって見せてくれました。私達もその時は「スゴイ奴だな!」と思っていました。
歯科医師になった今では、歯の貴重さに対する認識が変わりましたので、「バカな奴だな!」と思うと思いますし、彼もそんなバカな事はもうしていないと思います。後悔もしていると思います。
歯は道具です。食べ物を切ったり、すり潰したり、しゃべったりするときに使う大切な道具です。
包丁を無茶苦茶な使い方をして、刃がボロボロになったり錆びてしまってどうしようも無くなったら買い替えができますが、自分の歯はいくらボロボロになってもそれを使い続けるしかないのですよ。一生。