下顎の6番にインプラントを入れて6年経過した結果

お口の中で6番と云う歯は最も大きくとても大切な歯です。その後ろの7番も大きくて大切な歯ではありますが、例えば75歳を越えた辺りの年齢になった頃に7番を失っても、残りの20年足らずの人生では頭を抱えて悩む事も無いと思われます。

7番が抜けていて、前歯から6番までが存在している歯列 (dental arch) の事を「短い歯列」 (shortened arch) と呼びます。75歳以上であれば、(主に経済的理由からですが)この Shortened arch に治療目標を設定する事もしばしばあります。

下顎の6番と7番を失っておられた患者様の6番に対してのみ、1本のインプラントを入れて6年が経過しました。Shortened arch にした訳です。本日定期検査を行いましたが、問題はありませんでした。良かった。

こちらの患者様の歯列の治療ゴールを Shortened arch に設定した理由は主に(その時点で私が勝手に推し量った)経済的要因なのですが、同時に、こちらの患者様が英保歯科のメンバーになられて間も無かったので、どこまで歯に対して投資される意志があるのかを私が推し量れなかった為です。

インプラントは経過良好ですが、その奥の下顎の7番が無いために上顎の7番がこの6年間の間に下に降りて来てしまって、下の歯肉を噛みそうな様相です。

6年前に下顎の7番にもインプラントを入れておいたら、このように「噛みあう相手の歯を探してのびてくる」事も無かったのです。

悔やまれるのは、6年前に下顎の6番と7番に合計2本のインプラントを入れる案を、もう少し力説しておくべきだったという事です。

ずーっと昔からお互いを知っていたら、お互いの信頼関係が出来上がっているので、そのようなご提案を遠慮なくしてみる事ができたはずです。そして彼はきっと「英保先生が言われるなら2本入れてもらいます。」と、私を 100% 信じて、そのように答えて下さったはずです。

痛い所が無くても、あらかじめ年3回の予防歯科治療に通って、病院側も患者様側も、お互いの人となりを良く知っておく事べきですね。

きっと、この事例からもそれが解って頂けると思います。