「歯を削らない虫歯治療」ってどうなの?


皆さんがきっと興味を持たれるであろう記事がありましたので紹介しますね。詳細は↓をクリックして読んでみて下さい。

歯を削らずに虫歯が治る!?歯科でドリルを使わない治療を受けてみた

天野歯科医院(天野聖志院長)で行われている、歯を削らない治療法「ヒールオゾン治療」や「カリソルブ治療」などが紹介されています。天野先生の著書もあるそうで、テレビでも紹介されているようですよ。

著書:『歯を削らない、抜かない、だから痛くない、むし歯・歯周病の治し方』(現代書林)

これらの治療法、歯を削るのが大嫌いな歯医者(私)としては、興味がある事は事実です。

この記事を読んで、英保歯科のファミリーの皆さんや、私のブログの読者の皆さんが、どう思われ、どうお考えになるかが気になるところです。私と同じ考え方であることを期待しています。

私が思うのは、
①これらの治療法が20年後(つまり、特許が切れてしまって企業に旨味が無くなった後も)ドンドン広がって行くほどに本物の治療なのか?
最初は話題をさらったのに、20年経ったら全く聞かなくなった高価な機械や治療方法を山ほど知っています。その点、ラバーダムなどの防湿装置や歯科用接着剤などは地道な進歩を遂げながら確実に生き残っています。

そして、最も思う事は、
②この記者さんのような、ファミリーではない「いちげんさん」に対して「これで虫歯菌がいなくなりますよ。虫歯になりにくくなりますよ。」と言っても大丈夫なのか?
生活習慣や衛生習慣などの、本当は触れて欲しくない核心部分への改革に一緒に取り組めるようなお互いの信頼関係(ファミリーの関係)があって、お客様に、その方向(抜本的解決の方向)へ進む意志が無ければ「話が始まらない」ように思うのですが。

歯を守るような食生活習慣は体も守ります(砂糖は毒)。体を守る事は人生を守る事(病気と無縁で幸せ)です。ですから歯がドンドン虫歯になるような人は衛生習慣にもまして、まず、食生活習慣を変えないといけないのです。このような根本的な点をスキップして3万円出して「オゾン」を吹きかける事が人生を守る事に繋がるのかどうか?と思ってくれましたか?

以下は興味がある人だけ読んで下さい。長いからね。

医療の器具や治療方法を開発して広める時に、発端は歯科医師の純粋なひらめきであったとしても、そこに企業が絡んでくると「最終的にはその企業が投資を回収できて、なおかつ充分な利益が上がる」事が必須条件となります。ですから企業は「最新・革命的な器具や治療方法で、素晴らしい夢のような効果がありますよ。」と、マスメディアなどを上手に利用して販売促進をします。
特に、それらに対して特許が取得できた時には「知的財産」に対する対価が上乗せされるので、機械や薬剤が非常に高価になり、その結果末端のユーザーに求められる「お金」も高くなります。
記事を読む時は、その記事が書かれた「経済的」社会背景や「利害関係」の可能性の有無にまで思いを馳せて下さい。疑いすぎも良くないが、妄信は禁物です。マスコミ、特にテレビは新興宗教のように「知らないうちに」あなたを信じさせる力を持っています。家にテレビがある方、特に、過去にバナナや炭酸水や納豆を買いに走った事がある方は気をつけて下さいね。

ちなみに「ヒールオゾン治療」は高価な機器を歯科医院が購入しないと施術できません。私は現時点ではそれほど興味がありませんが、特許が切れた頃にこの(手の)方法がしっかりと生き残っているかどうかを観察しておきたいと思います。

「カリソルブ治療」の原型は30年以上前から日本にもあり、多少の形を変えて、流行の波が来ます。現在でも考え方自体はしっかりと残っていて、英保歯科でもその考え方は保険治療の中でさえ、ちょくちょく応用します。
「カリソルブ治療」は上記のような原型のままだと企業に旨味が無いので、工夫を加えて新しい製品として海外の企業が売り出したものです。悪くないと思いますが、もしも私が「カリソルブ治療」の薬剤を(結構な値段を払って購入して)自由診療で提供するなら、こちらも信頼関係が確立された「ファミリー」の方にのみ使用して、「いちげんさんはお断わり」とするでしょうね。東京の便利な所に天野歯科がありますので、英保歯科のファミリーではない方はそちらの受診をお勧めすると思います。
こちらも特許が切れた後でも「カリソルブ治療」というシステム名で、日本でしっかりと定着していたら「本物だった」という事になるでしょう。