ショッキングな写真ですが、80歳くらいの女性が「おせんべいを食べたら突然前歯が折れた」といってお見えになりました。一見何ともないような、普通の歯が3本突然根元の所からポキッと折れたようになっています。歯の頭の部分と根っこの部分のつなぎ目を「頚(くび)」と呼びます。その頸の部分で歯が突然折れたものですから、ビックリなさって来院された訳です。
歯の頭の部分はエナメル質という硬い構造でできており、フッ化物配合の歯磨き粉を使うとそこは更に硬くなって虫歯になりにくい状態になります。油断して甘い物をダラダラ食べていると、年齢と共に唾液量が減ってきますので高齢になってきた時に歯の構造が弱い所が簡単に虫歯になってしまいます。それがこのネックの部分なのです。ここはエナメル質でカバーされていないのでフッ化物の効果もあまり期待できません。
年齢が上がってブラッシングのスキルが低下してくる頃に、この根面う蝕が増加してしまうという、何とも悲しい現実が起こってきます。
これは介護の分野でも非常に悩ましい問題の一つです。