「予防歯科」カテゴリーアーカイブ

だいたい5回ですって・・・。

皆さんは、歯が虫歯になったら、歯医者に行けば必ず「治して」もらえると思っていませんよね?
どんな優秀な歯医者でも、元の状態に「治す」事はできません。所詮「虫歯になった所を修繕して延命する」事しかできないのです。
では、歯は何回でも修繕して一生使えると思っていませんよね?そんな事が可能なら、歯を抜かないといけないという事には一生ならないはずです。
悲しい事に、1本の歯はだいたい5回ぐらい修繕を繰り返すと、終わりになるようです。そのような統計が出ているそうです。
はじめは虫歯で詰める(1)。また虫歯になってもう一回、大き目につめる(2)。また虫歯しちゃって神経を取ってかぶせる(3)。また虫歯になってもう一回かぶせ直す(4)。最後に根っこの治療をやり直してもう一回被せる(5)。その次は、もう繰り返しの修繕で土台の歯がボロボロになってきているので、抜くしかないという事になります。
小さな虫歯の時から、保険のファスト治療ではなく、ちゃんとした治療を受ける方が、結局は賢明な選択である事に間違いないと思うのですが、皆さんはそれに気がつかれますか?

そろそろ気が付いて。

厚生労働省のエライ人達は、最近は歯科の往診に興味が湧いているようです。「今ではコンビニよりたくさん歯科医院ができて、歯医者が余っている。歯科医師国家試験を難しくして歯医者の数を減らそうとしているが、まだまだ余っている。 私達は頭いいので、現場なんか行かなくても何でもわかるぞ!そのエライ私達が統計のグラフを見ると、国民の虫歯の数は激減しているので、もう普通の外来で歯医者にさせる事は無くなってきたようだ。大成功だ。国民の歯の健康は俺様達のお陰だ。
それから、聞いた話によると、在宅の寝たきりの方などの歯の治療をすると、ちゃんと食事ができるようになって、元気を取り戻すので、医科の医療費が抑制できる!らしい。暇を持て余している歯医者を往診に行かせよう。やっぱり俺達って頭がいい!」という素晴らしいアイデアを思いつかれたようです。
でも、医療費抑制が大前提ですから、歯科医療費の総額を増やす気はさらさら無いので、普通の外来の歯科医療費を削って往診をする歯医者に報酬(お金)を大目に払いますよと、お役人様がお決めになりました。最近の出来事です。
具体的には、全く往診に行かない歯医者は普段の診療の報酬も低くしますよ。という事に決まったのです。
困っておられる患者さんのために往診・訪問診療する事はとても良い事だと思います。問題なのは、お金だけがモチベーションになって動いている人が少なからずいる事と、今回も治療中心の後手の政策という過ちを犯している点です。
訪問診療をまじめにやっておられる歯科医師や衛生士をたくさん存じ上げております。献身的で本当に立派で頭が下がります。本当に頭が下がります。
でも最近、往診をしたい歯医者や衛生士が妙に増えてきました。往診専門という歯医者や衛生士も増えています。これらの先生や衛生士が全員、倫理的にしっかりした考えを持って、まともに治療してくれていると信じたいものです。
それから、確かに平均すると虫歯の数は減っていますが、グラフに現れているのは、例えば三田の子供と、尼崎や大阪の子供の平均値なのです。まともな食事ではなくジャンクフードばかりで歯がボロボロになっている、悲惨な状況の恵まれない子供がまだまだいるのですよ。2極分化の平均値だけを見ていると何も読めませんね。分布も見ないとね。
今すぐに予防歯科にしっかりと予算配分をしても、20年後にやっと結果がでます。まだ全く始まってもいませんが。今回も大切なのは予防ではなく往診だそうです・・・。まだ予防ではなく治療主体で行くようです・・・。
予防歯科にしっかりと予算配分をして20年間我慢して結果を待つ事が必要です。
本気でまともな事をしようとするなら、日本の歯科医師の数は余っているどころか、足らないほどですよ。余っているなら何でこんなに歯で悩んでいる人が多い訳?
お役人様も、少しは現場の人間の話に耳を傾けて欲しいものです。

スマホに操られてますよ。

特に高校生や、若い女性など、素直だったり信じやすかったりする人達が気の毒になる事があります。
歯科関係の情報をインターネット経由でたくさん収集して、まるで自分が歯の事を何でも知っているような錯覚に陥っているのです。
例えば、奥歯の咬み合わせの溝の色が黒っぽく変わっているだけで、虫歯だと「確定的に」決めつけて、しかもアポイントを早く取りたいために「痛い」「しみる」と、悪い言葉で言えば「ウソ」をつく人がおられます。
そこを削って詰め物をする事がベストであると、来院前に既に決めつけてしまっているのです。インターネットで手に入れた情報(本当は大部分は??な情報なのですが)を背景に自信満々です。
気の毒なのは、そういった方がスマホに操られたり、だまされたりしているとは思っていない事です。「自分が能動的に正しい情報だけを入手している。」と確信されています。あるいは真偽の程を考えた事もないのかも知れません。
私は、大学で6年間、大学院で4年間、計10年も歯科の勉強をして、それから更に何十年も、毎日毎日患者さんのお口の中を診ています。もっともっと奥が深く、深遠な判断をしています。
ここで説明し尽くす事はできませんが、こういう患者さんに私の考えを説明するのは、少し大変です。

立ち寄らないのが一番簡単。

ゴールデンウイークにダレた生活を送ってしまい、まだ、体調と心のパワーが100%ではありません。早く元に戻さないと。
数年前からアルコールは口にしませんが、ゴールデンウイークになるので、「たまにはリラックスしよーっと。」と、マックスバリューに行ってノンアルコール飲料のパックとナッツなどのおつまみを大量に買ってしまいました。
私も人間ですので、連休で、戸棚におつまみがあって冷蔵庫にビールが冷えていると、森恵さんのYou Tube 動画を見ながら、毎晩遅くまで「ポリポリ、ゴクゴク、ムシャムシャ。」とやってしまいました。
どんなに強靭な意志の持ち主であっても、目の前に魅惑の物があると、ついつい手を伸ばしてしまいます。我慢する、というより、ワナに陥らない一番簡単な方法は「コンビニなどに入いらない」事です。

今日3歳になったばっかりの子で、虫歯の穴が大きくなってしまいつつある子の、お母さんから相談を受けました。
「ゴールデンウイークでついついお菓子を食べさせてしまって。」「ヨーグルトなら大丈夫ですか?加糖ですけど。」といった質問でした。
私にも3歳の子供がいるのですが、基本的に砂糖の入った物は与えません。彼も自分の食べて良い物ではない事を知っています。かわりにイチゴやマンゴー、みかんなどを食べています。
砂糖の入ったおやつを買ってきて、傍にあるのに与えないようにするなんて、すごく難しいと思います。買わなければ家にないので、悩む必要もないのではないでしょうか?
私も当分は夜にマックスバリューやセブンイレブンに行かないように、したいと思います。
次はお盆まで我慢しよーっと。

 

 

 

野菜ジュースにまで砂糖が入っているのか・・・。

ゴールデンウイーク真っ最中で、炭酸飲料などが美味しい季節になりましたね。
ジュースには思っている以上に砂糖が入っているのですが、「野菜不足にならないように。」と思って飲んでいた、あの野菜ジュースにまで結構な量の砂糖が入っている事を知ってビックリ!
自家製の物以外は信頼するなという事でしょうかね。

100円程度の売価でも企業やお店が利益を出せるようにしようとすると、色々なカラクリがあるのは当然かもしれませんね。
正当な対価を払ってまともな物を出して欲しいものです。

若者がスポーツドリンクを飲みながら激しい運動をしても体調が悪くなったり病気にならないのは、若いからまだ余力があるのでしょうね。恐ろしい物を飲ませながら運動をさせるのは、もう勘弁してあげて欲しいと思います。

皆が病気にならないように、もちろん虫歯にもならないようにして欲しいと心から願っています。

 

医者の不養生

歯科以外のお医者様、特に内科系の少々年配の先生は「病気は自分達が薬でなおすもの」と思われているようです。
実際には食生活習慣や運動習慣、睡眠や休養、生活環境の見直しが大前提にあるはずなのですが、医学部で薬の素晴らしい効果を勉強し、毎日毎日薬を出していると、だんだん視野が狭くなってくるのでしょうね。
歯科医師も「歯の事ばかり考えている」という偏った人間かも知れません。特に私は父親も歯科医師でしたから、生まれたときからずーっと歯の事ばかり。既に「歯医者バカ」になってしまっている自信100%です。気をつけたいですね。

お医者様は人間の体の事は自分達が一番良く知っていて、(歯医者より)偉いと思っておられるので、私が(かなり気を遣いながら)歯磨きの指導をさせて頂いても、なかなかいう事を聞いてくれません。彼、彼女の歯周病や虫歯がドンドン進行して行くのですが、痛みがあったり腫れたりした時には、自分の診断と判断で、薬で何とかしようとされますね。
ただ単に衛生的にすればなおるのに・・・。薬を使う前に、まず歯を磨いてね・・・。

もちろん、広い視野を持った立派なお医者様も沢山おれれますよ。
ある糖尿病の権威、非常に謙虚で立派な先生がおられます。彼はインタビューの中で「生まれ変わったら歯科衛生士になりたい。そうすればもっともっとたくさんの糖尿病患者さんを救えると思います。」とおっしゃっていました。偉いでしょ?

私が歯科医師になって良かったと思う事の一つは、「もし医者になっていたら、糖尿病や心臓疾患などの病気になっていたかもしれない。」と思う事です。
皆さんも健康で長生きしたかったら、歯を大切にして下さいね。

マイナス金利の今こそ歯を磨こう。

銀行に貯金しても全く金利がつかず、むしろ預けると迷惑がられるような事になってしまいましたね。
私の母親が子供の頃に、彼女の父が「100円も貯金しておいてやったから、将来使いなさい。色々な事に使えるよ。」と言ったそうですが、その当時から貨幣価値が1000倍以上に変化してしまったようです。
同様に、子供のために、今1000万円貯金しておいてやっても、30年後に今の1万円位の価値になってしまったとしたら、泣くに泣けませんよね。
金でも買ってタンス預金でもしてあげるのも一つの方法でしょうか?
でも、もっと良い方法があります!子供の歯を予防歯科で大切にして将来、多額な治療費がかからないようにしておいてあげるのです。
歯は金と同様に貨幣価値の変化の影響を受けませんし、その上金と違って毎日使える役に立つものです。
今こそ歯を大切にして、無駄な出費を回避しましょう!

中学生の患者さんと、お母さんに質問しました。

昔からずっと英保歯科に通院して下さっている家族の話です。
本当は4か月おきに衛生士さんの治療(予防歯科)を受けて頂きたいのですが、中学生になった子供さんは、いつも痛みがある時だけ来てくれる感じです。今回は12歳臼歯が生える時に歯ぐきを破って出てくるので痛みがあったようです。
幸い今回は新しい虫歯は無かったのですが、小さな頃から、来院のたびに衛生士が、何回も、何回も、何回もブラッシングの指導をしているにも関わらず、今回もほとんどまともに歯ブラシしていません。歯垢だらけで情けないくらいです。
何とか歯ブラシをして欲しいので、意地悪な質問をしてモチベーションを高める事にしました。
その子に「それじゃ、クイズ出すね。歯1本の価値っておいくら、何円くらいやと思う?」
お母さんにも「お母さんは、歯は1本何円の価値があると思われますか?」と聞いてみました。
「えーわからない。」がほとんどの方の最初の返事です。今回もそうでした。そんな事考えた事もないんでしょうね。
私「自分で思う値段を言ったらいいんですよ。いくら?」
子供「1本1万円くらい。」
お母さん「もっと。1本10万円くらい。」
私「なるほど。では君に14万円あげるから、上顎の歯14本をぜーんぶ抜かしてくれる?お母さんには140万円あげるから上顎の歯をぜーんぶ抜かしてくれる?」
子供「えー絶対いや。」
母親「嫌です。」
私「だって1本1万円って言ったじゃない。お母さんは1本10万円って言ったじゃないですか。」
それから色々な話をしていくと、二人の顔が真剣になっていきます。(さてさて、いじめるのはこの位にしとかないと嫌われちゃうからね・・・。)

私から子供に「先生のお話、解ったね。じゃあ今は、歯の値段はいくらだと思う?」
子供「1本100万円以上!」

皆さんは私がいくらあげたら上顎の歯をぜーんぶ抜かしてくれますか?それを14(本)で割った数字が、あなたの歯1本の価値観です。
私は1億円もらっても抜かれるのは嫌ですね。「歯は値段なんかつけられない位、かけがえの無い物」です。私にとっては。

この後、彼に岡山大学方式を改良した歯ブラシの仕方を実際にやってみて説明しました。きっと今度は、少しはまじめに歯磨きをして来てくれる・・・かな?

 

「安かろう悪かろう」これが患者さんが望む道だったのかな・・・?

先日のある患者さんの話です。
小臼歯(前歯と奥歯の間にある小さめの歯)の、他の歯医者で保険でしてもらったという白いかぶせが取れたと来院されました。
残念な事に、かぶせの中の歯自体がボロボロでまともに修繕できそうにありません。
この保険でできるプラスチックの白い歯、「安かろう悪かろう」の代表のような経過をたどる事が多いです。
詳細は避けますが、大量に削って、保険の費用の中で治療しなくてはいけませんから、「そこそこの適当な」接着をするようになります。その結果、歯とかぶせに隙間ができて、その隙間から虫歯菌が侵入して、かぶせの中のかけがえの無い歯をボロボロにしてしまっています。特に雑に治療と接着をされた場合には・・・。保険で丁寧にやってたら大赤字なのは解るけど・・・。歯科医師ですから、数年で歯を抜くようになるような事をしたくはないですね。
「この歯は抜くようになります。」と説明すると、この患者さんはとても辛そうでした。「矯正と、MTAセメントや歯周外科手術、それにセラミックのかぶせなど、保険外の治療技術を総動員すれば、残すことができますが、お金と時間がかかります。」とも説明しました。
この患者さんは「詳しく説明が聞きたい」と次のコンサルテーションのアポイントを取って帰られましたよ。
前の歯医者さんが最初からこの「そこそこ(実はそこそこでもないんですけど)の治療」ではなく「ちゃんとした治療」をご提案してあげていたら、矯正や手術などをスキップできて歯も長持ちしたのに。
前の先生、患者さんの歯の健康に対する考え方を聞いてあげる事が欠けていたのかもしれませんね。
誤解のないように書いておきますが、保険だから悪いというよりは、ちゃんとした仕事には良い材料と手間をかける時間が必要だという事です。
時には「この場合は、保険では、まともな事は無理」という事になるのです。

やっぱり「3・3・3」ですよね?

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歯周病の治療と予防の基本はプラークコントロールにあります。この患者さんの歯と歯ぐきとの境目に歯垢がたくさん付着しているのがわかりますか?

65歳の非常に真面目なご婦人がお見えになりました。歯周病と虫歯が気になるとの事でした。
半年に1回近所の歯科医院で歯石取りをしてもらっているとの事です。
お口の中を拝見したところ、歯垢が結構付着しており、磨き忘れをする部位が多いようでしたので、岡山大学予防歯科の渡邊教授が開発された「つまようじ法}をベースに英保歯科風にアレンジした方法をお伝えしました。
患者さんは昔習った「3.3.3」法式(1日3回、食後3分以内に3分間歯磨きをする)が正しいですかと質問して下さいました。
残念ながら、今なら、さしずめ「1.30.10」とでもなるでしょうか?
1日1回は完全にプラークを落として下さい。夜寝る前がベストです。
食後30分間は歯ブラシを歯に当てない方が良いと言われています。
完全に汚れを落とすために、場合によっては10分位かかります。
それば実行できれば、朝や昼間の歯磨きはザッとでもOKです。
といった感じですね。