「予防歯科」カテゴリーアーカイブ

悔しいけど・・・。

歯科医師の私も3か月に一度は必ず歯科衛生士の先生の予防治療と指導を受けています。
歯科医師になってからは歯の大切さに気が付いて、かれこれ30年以上新しい虫歯を作っていなかったのですが、先日の衛生士の先生の診察で、ついにエナメル質の表面が荒れてきている歯ができてしまった事がわかりました。ショック!!まだ削らずに予防治療だけで経過観察すれば良いそうですが、心配です。
私も人間ですのでストレスがかかると無性に甘い物を食べたくなってしまいます。去年の暮れから完全に断っていた白砂糖入りのスイーツを最近また食べ始めていたのがいたのが原因だとわかっています。因果応報。とても反省しています。イチローのように強くならないと。
衛生士の先生が注意して下さったおかげで、また以前のように夕食後に白砂糖系の物を食べなくなりました。血糖値スパイクが無くなってみるみる体調が改善し、日に日に心も体も軽くなるのが自分でもわかります。白砂糖は本当に怖いですね。
患者さんに「食生活習慣が大切ですよ!」と強く指導していたのですが、これからは「少々マイルド」にしたいと思います。
他人に厳しく自分に甘いと、最近の政治家のようにブーメランが帰ってきてしまいますからね。

宍粟市山崎町から通院

私の故郷、宍粟(しそう)から高速道路で来て下さる患者さんがおられます。私の父親の患者さんだったのですが、彼が他界してから息子の私を頼って来て下さっています。
10年以上前にインプラントを2本埋入して以来、4か月に一回必ず衛生士の先生の予防治療とメインテナンスを受けに来て下さっています。ご主人も一緒に。「二人で出かける事がないので、これがデートだと思っています。楽しみにして来ています。」とのこと。
「歯石を取ってもらうようにしてから、虫歯にならなくなりました。不思議でしょうがないです。」ともおっしゃって下さいました。確かに10年間新しい虫歯は全くできていませんね。
実は歯石を取っているだけではなく、歯科衛生士の先生が同時に予防治療をしてくれているのです。
英保歯科の予防治療の価値を再確認させて頂けた会話でした。これからも新しい虫歯は作らずに行きましょうね。

口腔崩壊の原因は?

20108410_1371473332949397_6539635415790804216_n私の友人がフェイスブックに上げてくれていた写真です。NHKの放送で兵庫県の児童・生徒を対象に調査した結果、「口腔崩壊」と呼べるほど、ひどい虫歯だらけの子がいて、それらの原因と家庭の環境とを調べた結果だそうです。
最初から研究者の頭の中に「家庭の社会的な背景と子供の虫歯の多さを関連付けたい」という意図があって、統計が進められた感がありますね。
経済的には、兵庫県は子供の医療費が無料の所が多いので関係ないはずです。それに、本当に貧困ならお菓子なんか買えないから、少なくとも虫歯にはならないはずです。栄養失調にはなるかも知れませんが。
本当は「家庭の社会的な状況」ではなくて「家庭を構成するメンバーの価値観」が原因ではないのでしょうか?
「その家庭の大人が何を大切と考え、どのような事やモノに時間とお金を費やしているか」が原因だと私は思います。
「家族・家庭という共同生活体を正しい方向に導く判断力、責任感と実行力を大人のメンバー(保護者)が発揮しているか?」と言えば良いでしょうか。

 

8020 達成者 51.2%

平成28年の調査で、80歳で20本以上の歯を維持している人が過半数になったとの報告がありました。喜ばしい事です。
英保歯科の患者さんに関しては、ほぼ100%ではないでしょうか?予防歯科をフル活用して「何歳になっても自分の歯があるのが当たり前」になるのは、そんなに難しい事ではありません。

らくれん 8020ヨーグルト

面白い商品をフラワータウンの生協さんで見つけました。ネーミングで話題になっているノンアルコールビールの「シラフ」とらくれんの「8020ヨーグルト」です。「8020ヨーグルト」は健康な子供のお口の中から採取した乳酸菌でできているそうです。
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生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中は無菌状態ですが、色々な所から色々な菌が口の中に入って来て、それが定着してゆきます。できれば善玉菌が住み着いてくれれば良いのですが、多くは運任せといった感じでしょうか。ある親は良かれと思って子供にヤクルトを飲ませたり、ビオフェルミンを飲ませたり、その他の乳酸菌のサプリメント飲ませたりして気を付けていますね。善玉菌を植え付けるという考えそのものには賛成なのですが、私はヤクルトに含まれる「とんでもない量の砂糖」に非常に問題があると思っております。批判を覚悟で言うなら、「ヤクルトは、含まれる砂糖のせいで虫歯製造機になっている。」と考えています。

さて、一体、虫歯菌や歯周病菌はどこから感染するのでしょうか?虫歯がある母親が、自分の口の中でかみ砕いた食べ物をスプーンに出して子供の口の中に入れて食べさせたらどうでしょう?歯周病のおじいさんが食事中に自分のお箸で孫に食べ物を食べさせたらどうなるでしょう?「不都合な真実」というタイトルの映画がありましたが・・・。
r-IMG_5478この「8020ヨーグルト」の乳酸菌は健康な子供の口のなかにあったものですから、最初に赤ちゃんに植え付けるには良い選択肢かも知れません。また、感染している虫歯菌や歯周病菌を減らす効果も報告されています。
でもこの商品、残念ながら砂糖が含まれております。砂糖を添加しないと味が悪いので、無糖の商品は廃盤になったそうです。精製白砂糖の恐怖を身をもって体験している健康オタクの私は残念で仕方がありません。私のような健康オタクはL8020マウスウオッシュの方を購入したら良いでしょうね。
商品の名前も良くないですね。「8020ヨーグルト」だと中高年向けの商品のように感じてしまいます。もっと、「最初に赤ちゃんのお口の中に住み着いて欲しい良い乳酸菌が入っているんですよ。若い人から高齢者までどうぞ!」といった情報が伝わるネーミングにして欲しいですね。「Sirafu(しらふ)」の名付け親に相談したらどうかな?

乳歯は捨てずに歯髄細胞のドナーに?

長い間グラグラして食べにくかった乳歯。やっと抜けてくれたので庭にポイ!でも時代は変わりました。iPS細胞と同様の、あるいはそれ以上の価値のある細胞が、その捨てようとしている乳歯の中にあるのです。
抜けた乳歯の中にあるわずかな細胞を培養して保存し、将来の歯科治療や脳梗塞などの神経疾患に使う事が可能になってきているようです。
保管費用が平均すると年間2-3万円ということで、スマホ代を大手キャリア年間数万円払うよりはずっと安く、それなりの価値がありそうです。自己の細胞ですから拒絶反応も起こませんし、充分視野に入りそうな選択肢ですね。
乳歯の他に親知らずの細胞も使えるそうですから、興味がおありの方は、乳歯が抜けそうになったら、あるいは親知らずの抜歯手術の日が決まる前にセルテクノロジーに連絡して、あらかじめ段取りをしたおいた方が良いですね。新鮮な細胞をすぐに届ければ培養に成功する確率は跳ね上がると思います。
そう考えると親知らずがある人はラッキーかも知れません。
重篤な病気なら、その病気にかかってからでも、どこかの歯を抜いて細胞を使うという手があると思います。
多くの歯を虫歯にしてしまって、ほとんどすべての歯の神経を抜いてしまっている方には、残念なニュースです。「こんな所でも普段の予防歯科の実践の価値が生きてくる!」と思った情報です。

今の時代に「口腔崩壊」が起こる原因は?

兵庫県の調査結果だけにショッキングですが・・・。
子どもの虫歯二極化、口腔崩壊も 経済格差背景か
私が校医をしている若草保育園やけやき台小学校では「口腔崩壊」どころか虫歯になっている子を見つける事が難しいくらいです。ウッデイタウンは兵庫県の中でも特別な場所なのかも知れませんね。
虫歯が多い子供の背景について、足立了平先生は「仕事が忙しく、子どもの歯磨きに気を使ってやれない親もいる。」森信弘先生は「背景に貧困などの厳しい社会状況がある。」と述べられています。
虫歯が多い=歯磨きができていない
虫歯が多い=治療に行くお金がない
という、(非常に古典的な)考え方に、私は違和感を覚えます。
お金が無くてお菓子すら買えない家庭なら虫歯になっていない可能性すらあるのではないでしょうか?
口腔崩壊を起こしている子供の将来は本当に悲惨なものになると思います。予防歯科の考え方が身についていないと将来は歯周病にもなるでしょうし、歯だけでなく、糖尿病や心疾患、早産や流産など様々なリスクを背負った人生を歩むようになり、考えただけでかわいそうです。
このようなニュースがスマホで見れるようにどんどん情報発信してもらって、親が食育に対する考え方に自ら変化を起こしてもらいたいと思います。
私も含めて、人間は、自分で自分の過ちに気がつかないと変わることができない、その程度の生き物ですから。
35%の学校で「口腔崩壊」

 

LDHコレステロールと砂糖摂取

歯科医師でありながらお恥ずかしい話ですが、私も高度成長期の昭和30年後半の生まれなので、子供の頃には、同じ世代の方々同様に「砂糖漬け」の食生活が当たり前でした。もっと言うと小さいころに「チクロ」「サッカリン」と言った発癌性のある代用甘味料を食べさせられていた世代で、当時の友達で「三角ジュース」を箱買いしていた家庭の子は肝臓が悪くなって死んでしまいましたね。今なら原因の想像がつきますが、何しろ恐ろしい頃に幼少時代を過ごしたものです。
そう云う訳で、私も甘いものが大好きな大人になってしまいました。5歳までに脳味噌に刷り込まれた嗜好は永遠に消えませんので、ストレスが溜まったり疲れたりすると(皆さん同様に)甘いものを食べてしまいます。

でも、思うところあって、昨年末に一念発起して「妻か娘が焼いてくれたケーキやクッキー(精製白砂糖は全く使わない)以外は砂糖甘いものを口にしない事を基本とする」という決心をしました。18歳で肉類を断ち、37歳でテレビを断ち、46歳で酒を断ち、次は54歳で精製白砂糖断ちです。お付き合いが大切なビジネスマンだったらこんな変な人間はクビになるかもしれませんね。もっとも、自営業が多い歯医者仲間に於いても、私は少々浮き気味ですが・・・。

予想していなかった良いことが起こりました。毎年3月に血液検査を受けているのですが、数年来高めだったコレステロール値が今回は正常になっていました。たった3か月精製白砂糖を断っただけで、です。
子供に与えたくない精製白砂糖が大人にも悪影響を与えることを、身をもって経験した次第です。

食後30分歯磨き禁止は「ガッテン」状態でした。

ここ何年かマスコミから得た情報を基に「食後30分間はハミガキをしない方がエナメル質のために良い」と指導をしてきました。
ところが・・・。
最近、非常に権威ある小児歯科学会やその他の歯科学会が公式にこの考えを完全に否定してきております。
酸蝕症などの非常に特別なケースを除いては、やはり食後にすぐにフロスと歯ブラシをして清潔にした方が良いそうです。
マスコミのネタを単純に信じてお話してしまった事は、プロとして恥ずかしい限りです。お許し下さい。
NHKですら誤った健康法を放送する時代です。マスコミやネットの情報に操作されないようにお互い気をつけましょう。