「予防歯科」カテゴリーアーカイブ

ステルス虫歯の恐怖

今回は虫歯の写真が出ます。少々閲覧注意でお願いします。


一見虫歯が無いように見えたり、ほんの小さな虫歯に見える「隠れた虫歯」を英保歯科のブログでは「ステルス虫歯」と表現しています。
このステルス虫歯は衛生士が定期健診の時に目視やフロスを通した時の違和感で発見してくれることがほとんどです。


(第1問)下の写真を見て答えなさい。どこがステルス虫歯でしょう?

さて、どこがむし歯で、どの辺まで広がっているでしょう?

ここが小さなむし歯で、青い線の辺りまで進んでいると思った人は手を挙げて下さい。

実は、今手を挙げて下さった方は「ブブー」なんです。

よく見ると、この赤い矢印で囲まれたあたりまで、歯の表面(エナメル質)の色が白っぽくなっているのが解りませんか?この小さな穴から侵入した虫歯菌は、ここまで広範囲に内部(象牙質)を食い散らかしているんです。信じられないでしょう?

・・・。これが証拠です。内部はまだまだ虫歯菌だらけです。このままドンドン削っていったら歯の神経を取る事になりかねません。ご安心下さい。英保歯科では Let’s Save Pulp (神経を守ろう)をスローガンに、最大限神経を取らない治療を試みます。英保歯科ならば、この歯も神経を取らずに治療する事ができます。


(第2問)下の写真を見て答えなさい。どこがステルス虫歯でしょう?

わかりますか?ちょっと難しいかも。

この青いところがステルス虫歯。これを衛生士がフロスの引っかかり具合(手の感触)で発見してくれました。流石、歯科衛生士は予防歯科のプロフェッショナルだわ。

残念ながら、中で結構広がっているはずです。でも早めに発見できたから神経を取らずに治療ができます。

あの小さな黒い点からは、内部でこんなに虫歯が広がっているとは想像できないでしょう?
ちょっとショッキングですよね。


いかがでしたか?定期的にメインテナンスに通院しているからこそ「早期発見・早期治療」ができました。

あなたも是非、4か月毎、年3回のメインテナンスにお越し下さい。歯科衛生士による予防歯科治療を受ける事は、一生という長い目で見た時にはあなたに多大なる時間的・経済的・精神的・肉体的メリットをもたらしてくれます。

その歯を何歳まで使うつもり?

この写真(下顎の前歯の写真です)を見てどう思ったり、何を考えたりされますか?

どうですか?「歯の先っちょが欠けていて、ベロに当たって痛そう。」といったところでしょうか?


さて、私が自分の患者様に「歯をいたわって使って下さい。」とお話しする事が多いのですが、最初はほぼ全員が方がキョトンとした顔をして『この先生、何を言ってはるんやろ?』という反応を示されます。


40歳のAさん。「下の前歯が欠けたのでなおして欲しい」とのご要望です。

確かにここの部分が「欠けた」というか「壊れた」というか「壊した」というか、そういう状況です。

その他の部分にも目をやると、歯は縦にズバッとヒビが入ってしまっていますし、先っちょの部分はバキバキに破壊されてしまっています。

私:「人生85年として、今までの40年間でこの壊し方。同じような歯の使い方をして、後45年の間も、この前歯は耐えてくれそうですか?死ぬまでこの前歯が存在していますかね?無くなったらどうされるつもりなのか、教えて頂けませんか?」

Aさん:「・・・・。考えた事も無かった・・・、です。」

私:「人間は包丁やナイフと言った便利な道具を持っています。それらを上手に使って自分の歯を85年間使えるように工夫された方が賢明ですよ。」

Aさん:「解りました。これってヤバいですよね?」

私:「これから、歯をいたわって使うようにされたら大丈夫ですよ。」

もう一度この写真を見て下さい。今なら「歯の先っちょが欠けていて、ベロに当たって痛そう。」とは違った感想を持って頂けると思います。

「どうやったら85年間、死ぬまで自分の歯を使える?よく考えて、いたわって、大切にしよう。」

と思って頂ければ良いのですが。

「先生の作品ですよ」と言ってくれました

子供の頃に英保歯科で予防と矯正を受けていた子が35歳の素敵な女性になって再来院してくれました。

英保歯科は開業当初は「英保歯科・矯正歯科」という屋号で、私(英保裕和)はそのころ矯正治療を引き受けておりました。その当時は三田に私以上の矯正治療が出来る歯科医師がいなかったので、自分でやっていたのです。10年ほど前に優秀な矯正専門医の荒垣先生が三田市で開業してくれたのを境に、私は矯正を引き受けるのをきっぱりやめて若い荒垣先生にバトンタッチしたのです。矯正は10年前後の長い治療となります。「責任を持って引き受ける事ができるのは歯科医師が50歳前後までだろう」と考えての決断でした。

こちらの女性は英保歯科が開業したばかりの頃、5歳で英保歯科に来てくれて、私が予防歯科の重要性や歯並びの大切さをお話して、理解して着いて来てくれた女の子です。
それからずーっと予防歯科と矯正治療のために通院してくれていましたが、大学進学を境に三田を出てしまったので縁が途絶えてしまいました。

大学卒業後はある一流企業に就職。しばらくして、その企業の九州(博多)のブランチのスタートアップのメンバーに大抜擢されて九州に移住したそうです。

大役が終わったので再び関西に帰ってきて尼崎に住んでいるそうですが、「九州でも尼崎でも、近所の歯科医院に何軒か行ったが『ピンと来ない』ので、ドア to ドアで1時間半かかるのですが、英保歯科でメインテナンスを受けたいです。」と連絡をくれました。

私:「戻ってきてくれて感激ですよ。」

彼女:「本当ですか?!ずーっと長い間歯医者に行っていないから怒られるかなと思っていました。

私:「私も年を取ったから、昔みたいに怒ったりしないよ。で、長い間行っていないって、何年位?」

彼女:「本当にスミマセン。2年位行っていないんです・・・。」

私:「・・・。」

たった2年で「ずーっと長い間」と表現する価値観って凄いと思いませんか?英保歯科で予防の大切さを学んでいるからこそ、こういう言葉がスッと出てくるのでしょう。感激。

彼女の35歳現在のお口の中。2年間メインテナンスを受けていないから少し歯石は着いているけど大きな問題は無し。
過去に虫歯になった事も1回も無い。歯並びも完璧だ。しかし、我ながら上手な矯正治療をしているなァ(自慢)。

私:「お口の中の写真を見て。歯並びも良いし、虫歯も無し。素晴らしいよ。」

彼女:(自分の口を指さしながら)「先生の作品ですよ。」(と、とっさに答えてくれました。)

噛み合わせも良好。犬歯がしっかり機能しているから、奥歯を守ってくれます。
衛生状態も完璧。歯周病も無し。素晴らし過ぎる。

歯並びもそうですが、こちらの女性が35年の間に一回も、虫歯で歯を削られたり、歯周病で悩んだりする事が無く過ごせていて、学業や仕事、プライベートに集中して人生を謳歌されている事もまた素晴らしい事です。

彼女の人生の全てまでは私の作品ではありませんが、彼女が彼女自身の人生を良い作品にするお手伝いはできているのだろうと思います。

30年前の開業時から予防歯科にフォーカスし続けてきて本当に良かったと、感激した次第です。

口腔洗浄機を使用する際の留意点(閲覧注意)

口腔洗浄機の有用性を目の当たりにしてすっかり惚れ込んでしまった私は、20人以上のお客様にしろえのジェットウオッシャーをお勧めして使って頂いております。

そのような状況の下で2カ月以上が経過し、「これはちょっと(悪い意味で)予想外の歯肉の変化だな。口腔洗浄機も万能では無いようだ。色々と注意して使って頂く必要があるな。」と感じる場面を体験しておりますので、注意喚起の意味も含めて(緊急に)アップしておきます。

昨年末と比べて随分トーンダウンしてしまって申し訳ないのですが、ここ2カ月間で色々と経験したので告知させて頂きたいのです。

1強力な水流によって歯肉退縮を誘発する事があるノーマルモード以下で使う
2長時間使い過ぎると歯肉退縮を誘発する可能性がある歯と歯の間の食べかすをザっと洗い飛ばす程度の使用とする
3強力な水流はインプラント周囲の歯肉付着を破壊する可能性があるインプラントの周囲は「弱」で洗う程度とする←非常に大切!
4「弱」では歯と歯の間の歯垢を洗い流せない事がある従来通り、あくまでも歯間ブラシやフロスの使用を基本とする
5「弱」では歯頚部の歯垢が残りやすくなる従来通り、歯ブラシで優しく丁寧に歯垢を落とす事を基本とする
口腔洗浄機を使用する際に注意すべき5つのポイント

歯科医師や歯科衛生士などの「お口のケアのプロフェッショナル」以外の方が口腔洗浄機をお使いになる時には「過ぎたるは及ばざるが如し」「過信は禁物」である事を理解して頂きたいのです。

最近の口腔洗浄機の性能は非常に高いので、強力過ぎる水流が仇となるという事を理解して、上手に使って頂く必要があると感じております。

では、「口腔洗浄機は無用の長物か?」と聞かれたら、「そんなことはありません。凹状になっているブリッジの部分や、深いポケットの部分など、歯ブラシや歯間ブラシやフロスでは清掃が不可能だった部位を洗浄する事ができる道具なのですよ。今までの清掃方法に加えて、上手に、賢明に使って下さいね。」とお答えしたいと思います。

以下に「どのような場所に対して口腔洗浄機が有効か。また、どのような場所に対して注意して使うべきか?」といった一例をお示しします。

実は赤矢印の部分の歯は抜いてあり、ブリッジが入っています。ブリッジの義歯部分の自然観を出す為に、ここでは「オベートポンティック」という手法が使われています。(ちなみにこの写真は仮の歯の状態です)
上の写真の最終のセラミックブリッジの構造はこんな感じ。このオベートポンティック部分は無垢のジルコニアが歯肉に接触しています。ここは口腔洗浄機を使って優しく洗うのが正解なのです。
このように、深い歯周ポケットに入り込んだ食べかすや歯垢は口腔洗浄機で洗い流すのが正解です。
歯が1本も無い方に入れている、インプラントの上部構造の内側。ここの清掃も口腔洗浄機の力を借りると良いでしょう。(黄色と緑は口腔内のインプラントに接続される部分。)赤の部分を洗浄機で洗って頂きたいのです。
上の写真の上部構造の緑と黄色矢印が接続されるインプラントのヘッド部分。インプラント周囲の歯肉は弱いので、ここに強い水流をあてるのは禁忌(ダメ)です!
インプラント2本で支えているブリッジ。緑の所にインプラントが入っています。赤の所はオベートポンティック。赤の所の下を洗浄機で洗って頂きたい。緑の周囲は「弱」で洗う程度にする。(ちなみにこの写真は仮の歯の状態です。。)
綺麗なジルコニアセラミックの歯が2本並んでいます。緑と黄色の下にはインプラントが入っていますので、「弱」で優しく洗うように。その間の部分も洗いましょう。
上のセラミックの歯の部分を外すとこのようになっています。ビックリでしょ?インプラント周囲の歯肉の付着は決して強くないので、ここをストロングモードなどで洗ってはダメです。強力な水流で無茶苦茶すると、インプラント周囲炎になってしまいます。

このような経験をすると、「弱い水流で除菌効果のある」パナソニックのナノクレンズ機に期待が出て来ます。様々な改良が為されたナノクレンズ機の新機種が発売されるのが楽しみになってきました。パナソニックさん、頑張って下さい。

口腔洗浄器の威力を見た。(閲覧注意)

歯ブラシや歯間ブラシやフロスではセルフケア(家庭で自分で清掃)が不可能な状況でも、シロエの口腔洗浄器を使ってもらったら家庭で清掃ができて、炎症と痛みが完全に消退した例を示します。

「歯肉が痛い。普段から歯間ブラシを使って清掃しているが、今回はなかなか痛みが消えない」との主訴で来院されました。
「どれどれ・・・。ちょっと拝見しますね。」と、私。

歯と歯の間の深い場所に食べかすが詰まっています。こりゃ痛いわ。歯間ブラシやフロスではこの深い場所の食べかすを取り出すのは(物理的に)不可能だ。歯間ブラシを通しても、この食べかすの上をかすめるだけしかできないよね。
探針という歯科用の器具でほじくり出した食べかす。出てくる、出てくる。
ウヒャー・・・・。一応全部ほじくり出したけど・・・。どうやってセルフケアしてもらおうか・・・。

こちらのお客様にこの写真を見せながら、シロエの口腔洗浄器を紹介して、購入して頂き使って頂く事にしました。口腔洗浄器ならば歯間ブラシやフロスが届かないような、深い場所でもしっかり洗い流す事ができますからね。

シロエの口腔洗浄器を毎日使い始めて約2週間後の状態。炎症も痛みもすっかりなくなって快適だそうです。仮に修理しているセラミックのブリッジに対しては、いずれ抜本的な修理をしなければなりませんが、ひとまずはこれで大丈夫です。

口腔洗浄器は我々の想像を超えるポテンシャルを持っている可能性があります。従来なら諦めて抜歯していたような歯でも、口腔洗浄器を使って、家庭でのセルフケアを真面目にやって頂く事によって保存できる可能性があります。

口腔洗浄器、凄いね!

「最後の10年分の余力」が残せる歯の予防を

前回大阪で万博が開催された、1970年の男性の平均余命って何歳ぐらいだと思いますか?
大体、75歳位だと思いませんか?

正解は69.31歳だそうです。何と半分の男性は60歳代で死んでいたんですね。

今が1970年なら、私の余命も残りたった8年しかない事になります。

一方、2022年の平均余命は男性が81.05歳、女性は87.09歳だそうです。随分と長生きになりましたね。

これを頭において、予防歯科について考えてみましょう。

1970年なら、死ぬまで、日常の歯の手入れが自分自身で(若い頃と同じように)ちゃんと出来ていたはずです。

2023年の今は(80歳を超えた頃から様々な体と頭の機能が低下するので)最後の10年位は歯の手入れがちゃんとできなくなってしまうと考えられます。

若い人には想像もできないと思いますが、80歳を超えると、一生懸命に若い頃と同じように歯の手入れをやろうとしても、体や頭がついてこないのです。しかも唾液量も減るので、ますます虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます。

そのようになると、どうしても80歳を越えた頃から「歯がどんどん悪く」なっていってしまいます。これは仕方が無い事なんです。

この最後の10年の間に歯がどんどん悪くなってしまっても、「死ぬまで何とか苦労なく噛める」ようにするためには、70歳の頃に(今後歯の状況が悪くなっても大丈夫なように)ある程度の余力・余裕を持った状態を保っておかなければなりません。解りますか?これが今日私が言いたい事なんです。

80歳の時にこれが噛めなくなる事が想像できますか?現実には、日本人にはそういった人が本当に多いのです。

そのためには60歳の頃にはどうにか何でも苦労なく噛める状態、40歳の頃にはほぼ問題のない状態、20歳の頃に至ってはほぼ虫歯ゼロの状態でなければならないのかも知れません。

どんなにボロボロになっても、あなたは一生その歯と付き合っていくしかないのです。歯は売っていませんから。お金を出して買えるのはしょせんインプラント止まりです。

インプラントの上端の写真です。この構造の上にセラミックの歯をネジ留めするのです。何でも噛めるようにはなります。
お金と時間と手間をかけて、手術まで受けてインプラントを入れても、しょせん自分の歯に戻せるのでは無いのです。
若い頃から自分の歯を予防して大切にすれば「タダで最高」のものを維持できます。

70歳の終わりに「最後の10年分の余力」が残せるような、余裕のある歯の予防を目指して下さい。その位に思っておいても、人間は弱くて愚かなものですから、丁度、何とかなる位になるのです。

若いうちから歯を大切に、いたわって使って下さい。80歳を過ぎてから死ぬまでの生活が楽になりますよ。

歯にも疲労破壊が起きます

今日は土曜日。一週間で一番忙しい日で今日もフルブッキング状態です。でも、午前中に80歳の女性のお客様から「歯がひどく疼くので、何とか今日診てもらえませんか?明日は日曜日だし。」という電話がありました。彼女は20年以上年3回の予防にずーっと真面目に通院されている方です。「先生、何とかしてあげられますか?」とスタッフ。「ロイヤルファミリーメンバーだろ。当然診させて頂きますよ。」

という訳で、特別に私のお昼休みの時間に来て頂く事にしました。これで今日も昼抜きかも知れない。頑張ろう・・・。

お口の中を拝見すると・・・。

痛みの原因は虫歯ではなく、歯が割れてしまっているせいですね。80年も使っているのだから、そんな事が起きても当然ですね。黄色で囲んだ所にクラックライン(破折線)が見えます。
下の歯が噛み込んで歯を割る方向に力がかかります。このベクトルが80年間もかかり続けているんだ。そりゃ割れる事もあるよね。
やむを得ず削ってみたのですが、内部の深い所まで破折線が存在しています。割れ目が神経まで到達してしまっているのですから、そりゃ「突然痛い」はずだわ。
こちらは40歳代後半の男性の歯。7番が抜けたまま放置しているので手前の歯の負担が増大しています。黄色の矢印のあたりをバキバキに壊してしまっているのが解りますか?歯は滅茶苦茶な使い方をすれば壊れるものですが、具合が悪くなるまでそんな当たり前の事すら意識できないのが人間。でも、誰かが説明したり教育したりする事によって簡単に気が付きます。人間はバカじゃないから。

歯は噛んだり喋ったり笑ったりする時に使う道具です。一生歯で苦労する事無く過ごしたいならこの道具を85年以上間使い続ける「工夫」が必要です。いたわって大切に使わないといけません。いたわらずに使って歯を壊してしまってから買おうと思って、いくらお金を積んでも売ってくれる人はいません。車や家と違うのです。

「硬い食べ物が大好きで思いっきりバリバリやっちゃう。やめられないわ。」「夏は氷をバキバキ噛むよ。長年やってる。」「前歯で栓を抜く事ができるんだ。凄いだろ!?」←自己責任で好きになさったらよろしいが、後悔のないようにね。

現代人は歯を90年近く使おうとしています。縄文時代の人間の倍以上の期間です。宝物のように大切にして、いたわっていたわって使っても、それで丁度良い位なんですよ。若いうちに虫歯にするなんて、如何に恐ろしい事をしているか解って頂けます、よね?

歯を抜いたまま放置すると・・・。

「歯を抜いたまま放置すると咬み合わせに悪影響を与えますよ。」との説明を受ける事があります。

確かに、歯を抜いたまま放置してしまうと、その抜いた歯と咬み合う位置関係にある歯がニョキニョキと伸びてきてしまうのです。一対のカップルなので、相手が無くなるとそれを探して伸びてくるんですね。

青い点々で描いた所の歯を抜いて放置していました。上の歯が伸びてきて下顎の粘膜に当たって止まっています。
カップルの相手を失った一番奥の歯が、相手を探して伸びてきています。大きな段差が出来ている事が解りますか?
一番奥(左側)の歯に注目。一見、下に銀歯があって上に白い歯があるように見えますが、実は下の歯は無くて、上の歯がこーんなに伸びてきているんです。銀歯が下顎の歯肉に咬みこんでいるのが解りますか?
その銀歯が噛み込んでしまっている場所の歯肉が周囲に比べて白っぽくなっています。歯肉の「角化」という現象が起こってしまっているのです。

歯肉に歯の鋭利な部分が慢性的に当たる状況を放置した場合、最悪の場合にはそこの歯肉がガンになったりする事があります。不潔な口腔内や、喫煙や飲酒の習慣がそのリスクを助長します。

こういった事例からも解るように、定期的に歯科医院に行って予防衛生管理をしてもらったり、歯科医師の精査を受ける事は「人生の質を保つ」為にも役立ちます。

最後に。いつものセリフですが、しっかり予防して、歯を失うような事にならなければこのような心配からも一生無縁です。やっぱり予防が一番ですね。

下顎の奥歯の内側も、磨こう

昨日「上顎の一番奥歯の外側を意識して磨こう」という話をしましたが、今日は「下顎の奥歯の内側も意識して磨こう」という話をします。

「何となく歯の調子が悪い。ここ数年間は歯医者に行っていません。1日2回歯磨きをしています。」と、教えて下さった30歳代の男性。どれどれ。

下顎の奥歯の内側に磨き忘れがあります。ベロがあるので、よっぽど意識して歯ブラシを当てに行かないと、このようになります。

ベロが接触している場所は意識して歯ブラシを当てに行かないと当たらないのです。

今日、彼に私が行った治療は「岡山大学式、術者磨き」だけです。歯ブラシだけを使ってドクター(私)が、この部分も含め、お口全体の歯垢を完璧に落としてあげて、スッキリ感を経験してもらうのです。フロスなどは使いません。彼にとっては予防歯科教育とモチベーションの最初のステップだからね。

「岡山大学式、術者磨き」をしたらこのようになりました。歯肉の中に隠れていた歯石が露出してきました。

正しく歯ブラシをしただけですけど、如何ですか?」とお伺いしたら「何か、全然違う感じになりました。スッキリしてビックリです。」との事。

この後、彼はこれらの写真を見せられながら40分間に渡り、予防歯科の重要性を(私から)説教されてしまった事は言うまでもありません。皆さんが経験されたようにね。

素直で頭の良い彼は、私の話を聞いて、予防歯科の重要性を100%理解できた様子でした。

これでまた一人の若者の人生を変える事が出来ました。ヨカッタ、ヨカッタ。

上顎の一番奥の歯の外側を磨こう

結構真面目に歯磨きをしている方でも磨き忘れしやすい部位があります。それは「上顎の一番奥の歯の外側」なんです。

理由は単純。上のそこのすぐそばには頬っぺたの粘膜があるので、よっぽど意識して歯ブラシを当てに行かない限り自然には歯ブラシが当たらないのです。死角っていうやつですかね。

普段からしっかり磨いてくれている若者ですが、上顎の一番奥の歯の外側(普通、磨き忘れになる所)に穴があいています。トホホ。

歯科衛生士の先生が予防治療の時にこの虫歯を発見してくれました。

麻酔をして削り始めてみて、ビックリ。

予想以上に進行しています。虫歯菌を染め出す赤い液を付けて確認したのですが、ご覧のようにまだ虫歯菌が感染した部分(赤く染まっている部分)があります。少なくとも赤く染まった部位は削り取らないといけません、トホホ。
虫歯菌を完全に除去し、ZOOを使って完全に防湿し、コンポジットレジンで修復しました。

神経を取らずに修復を完了する事が出来ました。ヨカッタ、ヨカッタ。

予防の為に歯科医院に来ていなかったら、「痛くなってから歯医者に行って、神経取って、銀歯の被せ」というお決まりのパターンになるところでした。

早期に発見してくれた衛生士の先生に感謝、ですね。