10年前に前歯の歯ぐきがひどく腫れて、レントゲンで根っこの先の骨が炎症を起こして溶けてしまっていた患者さんがおられました。根管治療というのをやってみて、治るのを期待していました。この写真で、白い物が歯の中に入っている部分です。根の先の黒くなっている円形の所は骨が溶けてしまっているのです。たかが虫歯と思うでしょうが、結構怖いでしょ?
10年経ってレントゲンを撮ってみました。かなり骨が治ってきています。更に10年経ったら跡形も無く治っていると思います。
「歯根嚢胞」で抜歯です!と言われて、抜かれていた可能性のある歯です。根管治療をきっちりやれば、残せる可能性が出てくるという良い一例です。
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マイナス金利の今こそ歯を磨こう。
銀行に貯金しても全く金利がつかず、むしろ預けると迷惑がられるような事になってしまいましたね。
私の母親が子供の頃に、彼女の父が「100円も貯金しておいてやったから、将来使いなさい。色々な事に使えるよ。」と言ったそうですが、その当時から貨幣価値が1000倍以上に変化してしまったようです。
同様に、子供のために、今1000万円貯金しておいてやっても、30年後に今の1万円位の価値になってしまったとしたら、泣くに泣けませんよね。
金でも買ってタンス預金でもしてあげるのも一つの方法でしょうか?
でも、もっと良い方法があります!子供の歯を予防歯科で大切にして将来、多額な治療費がかからないようにしておいてあげるのです。
歯は金と同様に貨幣価値の変化の影響を受けませんし、その上金と違って毎日使える役に立つものです。
今こそ歯を大切にして、無駄な出費を回避しましょう!
前歯が折れても接着すれば・・・。
フッ素で真っ黒けの前歯?
今日、3歳の子供さんの前歯の治療をしました。1年位前に前歯の虫歯の所にサホライドという、虫歯の進行止めを塗って精神的な成長を待っていたのですが、3歳になって、いよいよ頑張って歯を削ったり詰めたりできそうだったので治療の器械やステップを説明してトライしたところ大成功!頑張って治療を受けてくれましたのでサホライドで真っ黒になっていた歯が白い自然な感じによみがえりました。
ちなみに、サホライドと虫歯予防のフッ化物は別物です。サホライドは塗った所が真っ黒になりますが、フッ化物は全く変色しませんのでご安心を。
幼稚園児でも自分の前歯が黒くなっていると、口にはしなくても気に病んで消極的になったり、口を大きく開けて笑わなくなったりする事があるようです。虫歯になる年齢が低いと治療ができずに、止むをえずサホライドを塗る訳ですが、できればまともな治療ができるような年齢、4歳か5歳までは虫歯にしないでやって下さいね。
体重の3倍
歯科の3大病は「虫歯」「歯周病」「咬み合わせ病」です。
咬み合わせ病には「歯並びが悪い」だけでなく「寝ている間の無意識な歯ぎしり・食いしばり」があります。
寝ている時の歯ぎしり・食いしばりは、歯に体重の2〜3倍の荷重をかけると言われます。例えば、体重60kg の人なら180kg の荷重が歯にかかっていると考えてみて下さい。
長年、毎晩毎晩それが続くと、あの硬い歯でも耐えられません。少しずつクラックが入って、そしてある日突然、何の前ぶれも無く「バキッ!」と。
このように、虫歯でも何でもない歯が突然割れてしまうのですから、患者さんは訳がわかりません。
ストレスの多いビジネスパーソン、それも昔で言う「中間管理職」的な方に多く見られるように思います。
治療としましては、夜寝る時にマウスピースを入れて頂いて、歯を守るようにします。これも「予防歯科」と呼んでよいのではないでしょうか。
親知らずの移植症例
神経を取って、銀歯を被せていた6歳臼歯が割れてしまい、抜くしか方法がなかった患者さんの症例です。
3年前に割れてしまった歯を抜いて、すぐに親知らずを移植しました。
3年経過した今では「全く違和感も無く、快適に使えています。」とおっしゃって下さいました。
インプラントにしていたら何十万円もかかった上に、所詮自分の歯ではありません。親知らずでも、虫歯や歯周病にさえしていなければ、立派に役に立ってくれる事があります。この親知らずがもしもボロボロの虫歯になっていたら、インプラントしか方法がなかったかも知れません。
「予防が大事!予防が全て!」分かって頂けますよね?
「先生、上の顎にガンがアァァ・・・。」
上顎に大きな「できもの」ができてしまい、ガンだと思って心配なさったのでしょう。でも大丈夫ですよ。単なる骨のふくらみができているだけで、悪性のものではありませんよ。
原因は「はぎしり・くいしばり」だと言ったら信じて頂けますか?それとも眉唾のヤブ医者になっちゃいますかね?
くいしばりは、咬み合わせ病の一つです。インターネット社会の現代では、一旦ネット上にで公開された情報は永遠にアーカイブされるため、「人生において、一切の失敗が許されない」という、人間には絶対に不可能な事が求められています。その他の多くの要因で、あり得ない程のストレスがかかって、それを回避するために、夜中や昼間のくいしばりや歯ぎしりが起こります。
寝ている間は意識がありませんので昼間の、何と3倍の力が歯にかかり、それが骨に伝達されて反応性に骨が膨らんでくる訳です。
ご自身の上顎の同様の硬いふくらみがある方は、「はぎしり・くいしばり」を疑ってみるのが良いでしょう。
「一度かぶせたら、もう虫歯にならないと思っていました。」
患者さん「一度歯医者さんで金属を入れてもらったら、もうそこは虫歯にならないと思っていました。素人考えだったんですね。」
歯は生体で金属などの詰め物は人工物です。その全く異なる性質のものを接着するわけですから、相当に繊細に作業をおこなわなければ上手くいきません。具体的には治療の時に防湿をきちっとして、接着剤の特性を最大限に発揮できる環境を整える事が大前提です。
金属の詰め物が外れて来院されました。外れただけでは無く、金属に覆われていた内部の所がひどい虫歯になっていました。
歯科医師も「患者さんの歯と健康を守りたい」との高い志を持って日々の臨床に望んではおりますが、保険診療では治療にかける事のできる時間や使える材料の制約があまりにも大きすぎて、妥協の産物になってしまう事が多々あります。
防湿が最重要
下顎の奥歯の治療で、ラバーダムやZOOなどの防湿装置を使用しないという事は、唾液の中の細菌が治療中の歯に「かかり放題」になっているのに治療を続けている事になります。細菌が残ったままで詰めてしまったり、神経の治療をする事はとても恐ろしい事です。
名医を自称する歯科医は多いですが、「100%防湿をします」と宣言している歯科医は少ないはずです。このハードルは低くないからです。
一から十まで、何から何まで自由診療のセラミックやインプラントを勧めてくるわりに防湿をほとんどしない歯医者がいるとしたら、、どうなんでしょうね。
本当に患者さんの事を思うなら、まず歯の大切さと予防歯科の重要性を強調し、保険で何とかできるところは保険でもきっちり治療をしてあげて、ちゃんとしなければいけないところは、言いにくいけれども自由診療のご提案をすべきだと思います。
それこそが良い歯科医だと、近頃、心から思い始めました。
保険の治療と自費の治療の分かれ目
たとえ保険の治療であっても、下顎の奥歯の治療の時にでラバーダムやZOOなどの防湿装置を使用しない歯科医院はその時点で見切りをつけた方が良いと、はっきり言えます。
「先生やスタッフが優しい」「いつでも診てくれて親切」など、いろいろな長所があったとしても、防湿をせずに治療をする点で、「本心で患者の利益、歯を本気で守る事を考えていない」と断言して良いでしょう。
学校健診などで「C1」と表現される初期の虫歯、しかも、噛み合せの面に限定した、本当に小さな虫歯の場合には、きちっと防湿をしてていねいに治療をすれば保険でも充分な治療ができます。
それ以上のサイズの虫歯になってくると、保険の治療と自由診療の治療では長い目で見た時に差が出てきてしまいます。チョイチョイで済む保険の治療でとりあえずお茶を濁した場合には、将来必ず、リカバリーのために想像以上の時間と苦痛と出費を強いられる事になります。
要は、100%防湿をするドクターが状況に応じて「これは保険でも充分しっかりと治療ができます。(あるいは黙って保険で治療をしてくれた)」とか「この歯の治療には自由診療の方がメリットが多く、結局はお得になります。そして、かけがえの無いこの歯を長く使う事ができるようになります。」といった説明をしてくれる時に、耳を傾けてみる事が大切です。