「院長日記」カテゴリーアーカイブ

秘密の殺人者

米「TIME」誌が2004年(かなり前ですね)に組んだ特集、「SECRET KILLER」(秘密の殺人者)についての話が出ていましたので是非読んでみて下さい。下にリンクを貼っておきますね。

歯科医が警鐘を鳴らす、食べていると確実に「死」に近づく食べ物とは?(オトナンサー) – Yahoo!ニュース

この日本語のタイトルからは「ある食べ物が体に悪い」ので気をつけよう的な内容になっていますが、元のTIME誌の内容とはズレているようです。

TIME誌の副題には「炎症と心臓発作、がん、アルツハイマーやその他多くの病気との驚くべき関係。あなたはそれにどう立ち向かうべきなのか?」とあります。

内容が難しいので私から少々解説しておきます。

「SECRET KILLER」(秘密の殺人者)とは、「自分が全く気がつかないうちに忍び寄る、命にかかわるような体の状況」と表現できると思います。

私見では、「SECRET KILLER」は2つのステージに分類されて、

①「生活習慣(口腔衛生習慣・食生活習慣・運動習慣・思考習慣を含む)」と
それら(①)が引き起こす「慢性の病気(糖尿病、高脂血症、歯周病など)や、心筋梗塞予備軍、ガン予備軍、アルツハイマー予備軍など」
の2つを表現するのに使えると思います。この点を頭に置いて記事を読んで頂ければ理解しやすいと思います。

簡単に言うと

タバコは論外ですが、「フロスをする習慣がなく、夜遅くまでスマホをいじりながら砂糖菓子やポテチやカップラーメンを食べて、運動を全くせず、人の悪口や会社への不平不満ばかり言っていると、自分では気が付かないうちに、歯周病と高脂血症になって、やがて脳や心臓の血管が詰まって、そのころには大腸などのガンにもなって、そのうちアルツハイマーにもなって、自分が想像していなかったような、困った老後を送るようになる」という事です。

私も自分の生活に思い当たる所が多々ありますので、自分を戒めて「ちゃんとする」ようにガンバリマス。

機能美は普遍的

「飛行機に乗るたびに、右下の奥歯に激痛が出るんです」とのご相談で初めて英保歯科に来て下さったご婦人。右下大臼歯の神経が死んでしまって空洞ができているのが原因ですよと説明しました。飛行機で高く上がった時に周囲の気圧が低下するので、神経が入っていた空洞の中の気体が膨張して高圧になるので痛みが出るのです。ダイビングをした時に歯が痛い方も似たような歯をお持ちの事があります。

完璧な殺菌を行うために保険外の薬を併用する 3Di 根管治療をお勧めしました。ご主人様が英保歯科のお客様である事もあって、自由診療ではありますが、精密な治療をご希望なさいました。

3本の歯のうち、真ん中に写っているのが原因の歯です。左の小さな歯は過去に他の先生が根管治療をして下さっています。

i Mix とバイオセラミックスは保険が使えないので自由診療で顕微鏡を使った根管治療を行いました。レントゲンで白く写っているのは歯の神経が入っていた空間を密閉するのに使ったお薬です。

術後のレントゲン写真をお見せしたところ、「素人でもこの写真を見れば、ちゃんと治療して頂いた事がわかります。だって、美しいですから。」と言って下さいました。

機能美といいますか、ちゃんとした「型」には無駄のない「美」が伴ってくるのですね。

新刊入荷

英保歯科の待合室の本棚に、歯と全身についての本が増えてきています。自分で買うほどではないけれども興味はあるなあというあなた!御来院の際には是非手に取ってみて下さい。歯の大切さが良く解る内容になっていますよ。

私も皆さんと同じです


先週の土曜日も超多忙でした。お昼ご飯も食べずに1日働き続けてヘトヘトになって家に帰り着きました。家族と外食に出かけたのですが、「1日頑張った自分へのご褒美に」と、これをやっちゃいました。
フードコートでこれを持って歩いている時には英保歯科のお客様に目撃されないかドキドキもんです。だって、食育の話をしている歯医者が、マクドとアイスじゃ、カッコ悪過ぎでしょ?

何度も書いておりますが、小学校に上がるまでは砂糖の味を覚えさせない方がその子の将来の幸せに繋がります

私も多くの読者の皆さん同様に、小さな頃から砂糖甘いお菓子などを大量に与えられた人間です。脳味噌に砂糖の味が刷り込まれてしまって中毒になっており、絶対に抜ける事ができません。
特に強いストレスがかかった日などには暴飲暴食をしてしまいます。そういった時にどうしても手が出てしまうのが「砂糖」なんです。歯医者ですので、砂糖に関しては普段は相当頑張ってセルフコントロールしているのですが、この土曜日のようにストレスと低血糖のダブルパンチの日には我慢ができなくなります。

その点、我が家の子供達は上手く育ってくれたので、私と違って「砂糖」に執着する事はありません。この調子だと、きっと一生健康で過ごしてくれると信じております。

我が子が羨ましいなあ。でもまあ、たまにはいいか。

季節のパワハラ


今日は節分ですね。巻き寿司の丸かじりが季節の風物詩(?)になっています。個人的には企業の商売に付き合うのが嫌なので、ハロウィンもバレンタインも、この恵方巻も興味が無いのですが、恐らく多くの家庭ではこの「季節のプチイベント」を楽しまれる事でしょう。

ところで、総入れ歯の人がこのイベントに笑顔で参加できるかどうか考えた事がありますか?
例えば、たまたま節分の日にミドルエイジ方々の集まりがあって、だれかが「今日のお弁当は巻きずしの丸かじりを用意しておきましたよ。皆で“ガブリ”を楽しみましょう!」と言ったとします。
何割かの方は健康な歯を見せて大笑いしながら「よっしゃ!やろうやろう!」と言うと思いますが、何割かの方は、表情を曇らせてうつむき加減になると思います。

困った顔になる人は、

①総入れ歯が入っていて、ガブッとやったら入れ歯が飛び出してバレてしまう。というか、そもそも総入れ歯では巻きずしをガブッとできない
②前歯に部分入れ歯が入っていて、ガブッとやったら入れ歯が前にズレてバレてしまう
③前歯が差し歯かブリッジになっていて、「今度壊れたら、もう修理ができないので抜いて入れ歯にしましょう」と歯科医師に宣告されていて、怖くて前歯が使えない
④歯周病が進行して上下の前歯がグラグラになっており、がぶっとやった拍子に公衆の面前で前歯が抜けてしまう恐れがある

ような人達です。

これらの人達は、予防歯科という概念に触れる機会が無いまま年月を過ごして、気の毒にこのような状況になってしまった人達です。もう(インプラントにする以外は)二度と恵方巻を丸かじりできるようになる術(すべ)はありません。

あなたやあなたの家族が、一生、絶対にこの「弱者」にならないと自信を持って言えますか?
そんな事、考えた事も無いのでは?

このブログの読者なら大丈夫。正しい予防歯科を実践さえすれば、一生恵方巻を丸かじりできますよ。

一つお願いがあります。相手の弱点を配慮せずに、無理難題を押し付けるのは、「パワハラ」ですよね。あなたが健康な歯を持っていて「丸かじり」できても、顔を曇らせている人の前でドヤ顔するのではなく、黙ってそっと包丁を持って来てあげる優しさを忘れないで下さい。歯を失ったつらさは想像以上のものなのです。
「相手の気持ちがわかる事。それが教養(養老孟司)。」なのですよ。

そろそろ変わりませんか?


有名な「ホリエモンの近大でのスピーチ」はご覧になった事がありますか?

日本の価値観はバブル直後の頃からほとんど変化が無いのが実情だと思います。変わったのは「転職に抵抗が無くなった」ことくらいで、日産やシャープのように抜本的な改革を明日へ明日へと先延ばしにして、それでも、いまだに日本が「一番スバラシイ」と思い込みたいのですが、はっきり言って無理があります。

歯に対しても、(英保歯科のファミリーのお客様は非常に特殊であって)一般的な日本人の多くは、相変わらず昭和の終わり頃の考え方を引きずっています。心のどこかで、「歯が悪くなっても、保険証持って歯医者に行ったら、まあ、何とかなるか。」と思っているんですね。

東南アジア諸国は物凄い勢いで追い上げて来ています。歯の衛生状態や美しさなども、皆さんが思っている以上に良好で、日本はいよいよ「逆転」されつつある感があります。

海外旅行に行った時に現地の人の歯が日本人と同じように銀歯だらけかどうか、気をつけて見てみれば、日本人の歯がいかに「特別スバラシイ」かがわかると思いますよ。

生産性、勤勉さ、問題解決能力、将来への客観的な見通し、そして歯に対する考え方など、東南アジアの人達に負けないように変わらないと、日本が世界で最低の国になってしまうのではないかと心配になります。

私は、あらゆる事に関して、本気で変わるつもりです。

そして日本人の歯への意識を何とか変えたいと願って、毎日ブログを書いています。

 

風邪?ひかないなあ。

インフルエンザが猛威を振るっていますね。

英保歯科のお隣の岡本小児科の岡本先生が「インフルエンザはJRに乗って大阪から三田にやってくる。」と言われた事があって、非常に印象深いので忘れる事ができません。

電車の中のつり革やポールに触れた手はインフルエンザウイルスで汚染されている可能性が高いので、帰宅後は直ちに洗い流さないといけません。家の玄関のドアノブに触れる前に手を洗いたい位ですね。

もちろん、人混みへの外出時はマスクをしたり、度々うがいをしたりするのも大切です。帰宅時だけでなく食事後の歯磨きの時にガラガラうがいもついでにやりましょう。

私は滅多に風邪をひきません。3年に1回位かかる事がありますが、大体はかからないと自信を持っています。歯科医師になってから風邪をひきにくくなったと思います。

1日3回歯磨きをして、口腔内を常に清潔に保つ習慣がついている事と、風邪をひきにくい事とが無関係であるとは思えません。

もし、内科医がお読みになったら「また歯医者が寝言を言って。」と思われるかもしれません。確かにエビデンスがありませんので。

皆さんはどう思われますか?

追記;今日、この話を英保歯科のお客様にしたところ、「殿ビルの山本先生はインフルエンザの患者様に『歯をちゃんと磨いているか?歯をちゃんと磨かないとインフルになるぞ。』と言われていますよ。」と教えて下さいました。山本先生、流石ですね!

ペーロンの街から

今日はペーロンで有名な相生市からお客様がお見えになりました。前歯のブリッジを接着技法で修理できないかとの相談でした。

相生駅は岡山大学時代に実家の山崎から一番近い(といっても車で1時間かかりますが)駅だったのでちょくちょく利用していたので親近感があります。かつては造船で栄えた街ですね。

前歯だけでなく全体の事について1時間半ご相談に乗って差し上げました。せっかく遠方からお越しになるのだからとお時間を長めに押さえておいたのが役に立ちました。

ブログをご愛読下さっているとの事で、「三田だけでなく、日本のどこかの誰かの役に立っているのかも。」と思うと夜中にコツコツとブログを書いている事が報われた気がしました。

いつかはゼロに

残念な事に、今月はインプラントのオペが多いです。多いといっても3回だけですが。お三人共6番に1本だけ埋入という小さな手術です。手術の時間は長くありませんのでお客様の苦痛は少ないと思います。

ただ、手術までの下準備(術前計画)にはかなりの時間を費やしています(術前検査、診断用ワックスアップ、ステントの作成、CTの撮影、等々。ラボに籠ったり、パソコンの前に座り込んだりして色々な事をやります)。

術前に計画された位置にインプラントが埋入できました。(これは近年新しく開発されたインプラントなので、より一層の機能美が感じられます。マニアックな話でスミマセン。)

約15年前の英保歯科はドクターが3人もいる「大手歯科医院」でした。若い代診の先生に虫歯治療の患者さんをお任せして、自分はインプラントの手術を月に8回程度行っていました。

しかも一人の患者さんに複数のインプラントを埋入するような大きな手術が多かったのです。

その頃に学会発表などを積極的に行い、インプラント学会の専門医を取得しました。全く噛めない患者さんが何でも嚙めるようになるので、「インプラントは最高の治療方法だ」と感じていました。

私は、皆さんがが思っておられるほどの「ストイックな完璧主義者」ではなく普通の人間なのですが、常に上を向いて「もっともっともっと良くありたい」と思い続ける傾向は強いと思います。インプラントの大きな仕事しながらも、インプラントよりもっと優れた治療方法、究極の治療方法がないかを考え続けていました。「もっと簡単で、もっと素晴らしい結果が出る治療方法がないものか?」と。
ありましたよ。その治療方法は「予防歯科治療」だったのです

現在の英保歯科でのインプラントの位置付けは「残りの歯、周囲の歯を守る」ための戦略になっています。インプラントを使えば前後の歯を削らずに済みますし、周囲の歯の負担を減らす事ができます。英保歯科では予防歯科のためにインプラントを使うのです。

開業してから20年以上も経っているのに、「年間1000本の手術実績!」などと自院のインプラントの本数を自慢している歯科医院はダメな歯科医院です。だって、歯を残す努力や、お客様の歯を予防する努力が足らないから、そんなにたくさんのインプラントを使うようになるんでしょ?

英保歯科では年々インプラントの手術数が減っています。いつかは「年間0本の手術実績!」と自慢できるようになりたいですね。