神戸からわざわざ三田まで通院して下さっているお客様がおられます。会社を経営されている新進気鋭の若手エリート起業家で、今や世界的に活躍されています。
その彼が先日「母親を恨んでいて、一切連絡を取らなくなった。」と、ポツンとおっしゃって驚かされました。
理由をお伺いしたところ、「子供の頃にメチャクチャな物を食べさされて、そのせいでこんなボロボロの歯になった。親なら子供の健康や将来の事を少しは考えてくれても良いだろうに。」との事。
両親も祖父母も、我が子や孫が憎くてラムネ菓子、ハイチュウ、ジュースや炭酸飲料などポンポン与えている方はいないと思います。しかし、その結果もたらされる彼・彼女達の将来の苦悩に想いを巡らせて、ここは踏ん張って「本当の愛情」を与えるようにしてあげて下さい。
彼の母親が「本当の愛情」を与えていたら、親子断絶などには至っていないはずです。
今朝、徒歩通勤の時に「まだ風が冷たいな」と感じて背中を丸めて歩いていたのですが、ふと空を見上げた時に、診療所の近くのハナミズキの芽が膨らみ始めている事に気が付きました。
「頭が良いな。もう春が来るのを知っているんだ。」と思うと、私の方まで明るく前向きな気持ちになって、元気が出てくるから不思議です。
今日は天気も良く、午後からは暖房もいらない程に気温も上がって、まさに「もう春がそこまでやって来ている!」という感じでした。
コロナの影響で静かな三田の街ですが、このハナミズキのように「もうすぐ良い時が来るよ。」と信じて、静かに待ちたいと思いました。
犬歯の後ろの歯が突然グラグラしだして、痛くて噛めないとおっしゃるお客様。その歯を抜いてみたらビックリ。根の大部分が真っ黒になっているではありませんか。この歯は神経を取って、その歯の中に金属の芯棒(メタルコア)を入れて、それの上に金属の被せ(クラウン)をしていた歯です。全ての手順は厚生労働省が認可し指定した「国のお墨付き」の方法(=日本の保険治療)に則って誠実に治療が行なわれています。
この歯には一体何が起こったのでしょう。皆さんには想像ができますか?普通の治療(エビデンスベースのグローバルスタンダードな治療)を行っている世界中の先進国の歯科医師にはわからないかも知れませんが、日本の健康保険で行われれるガラパゴス歯科治療に慣れ親しんだ日本の歯科医は「ピン」とくるはずです。
ガラパゴス歯科治療は非常にユニークです。ドンドン虫歯にしてくる日本国民の歯を「皆保険制度」で分け隔てなく修理するためには、使用する材料を「色々と工夫」してコストを抑えなければなりません。
金属アレルギーなどの知識が少なかった昭和の中期に開発された、銀を主体とした合金を心棒に使い、パラジウムを主体とした合金の冠を被せる等々、色々と「日本独自のスバラシイ工夫」をして医療費を削減し「世界に誇れる国民皆保険制度」を歯科の分野に於いても維持しています。最近は保険治療でも芯棒にコンポジットレジンとグラスファイバーを使う事が多くなってきましたが、今でもこれらの金属がたくさん使われている事も事実です。
銀のアクセサリーをお持ちの方は、それを水中に何年も漬けているとどうなるか想像できますね?
「先生、歯の中にピアスみたいに穴を開けてそんな金属入れたりして大丈夫なんですか?銀のイオンが歯根の表面までしみ出して入れ墨のように変色させているだなんて、何だか体に悪そうに思うのですが?」と聞きたくなるでしょう?
「大丈夫ですよ。日本の厚生労働省が認可・指導しているやり方なのですから、絶対に間違いありません。」とお答えしましょうか?
むしろ「歯の予防は簡単です。予防をして歯を悪くしなければ、このような日本独特の歯科治療を受けたり、金属アレルギー等々の心配をする必要もありません。お金も通院の時間も不要です。だから、予防なんです。」とお答えしたいですね。
そうそう、こんな日本を少しでも変えたい方は必ず選挙に行きましょうね。(私は必ず選挙に行きますが、白票を入れる事が多いです。)それから、フロスもしてね。
歯学部の6年間のカリキュラムの中で学生は、皆さんが思ってもいないような事も学んでいます。医学部のように、ご遺体による全身の人体解剖も行いますし、美大のように鉛筆を使ってデッサンをしたり、石膏のブロックを削って彫刻をしたりもするんですよ。
但し、その Art の対象はビーナスのような美しい女性ではなく、全て「歯」なのです。歯を芸術的にスケッチしたり、ミケランジェロの彫刻よろしく、四角い石膏のブロックをカービングナイフで削り出して歯の特徴を表現したりするトレーニングを受けるんです。
歯科医師は歯の治療をする時には常に「いかに自然の歯に近づけるか」の挑戦をしています。毎日毎日が芸術作品を作成している芸術家のようで、私も30年以上歯科医師をやって毎日挑戦していても「これで満足」という域には達していません。日々のこのような経験の中で、完璧にして最高の作品を創り出す手段を考え抜いた結果、到達したのが「予防歯科」なのです。
私が「これは最高に美しい。これで満足!」と思えるのは唯一「そこに元々ある自然の歯」だけなのです。私がいくら勉強し、鍛錬し、繰り返し挑戦しても「神様の創造物、母親が自らの体を削って与えてくれた愛に満ちた存在(=歯を含む子供の体)」の美しさには絶対に勝てません。
文系の人にお伺いしたいのですが、芸術家は 「Art が自然の美しさを超える日が来る」と思って挑戦しているのでしょうか?
絵画や写真をやっている芸術家は、いつかは森林の美しい姿やあの土や雨の匂いや肌に当たる風などを超えた表現ができると思って挑戦しているのでしょうか?
音楽家は鳥のさえずりや波の音、嵐や雷の音、雪の日の夜中の静寂などを超えて、彼らのサウンドで聞き手の感性に届ける事ができると思っているのでしょうか?
私は人間のやる Art が自然を超える日が来るとは思えないのです。皆さんはどう思われますか?
私がいくら鍛錬を積んでも元々そこにある歯の美しさを完璧に再現できるようにはなりません。なぜなら私は神でも母親でもないからです。
ですから私は歯を削るのが大嫌いですし、予防歯科が大好きなのです。
4年前に思う所あって断捨離を断行し、それを継続するよう努めて良い手応えを感じています。無駄な(=必要だと思い込んでいるが、実は全く必要が無い)モノやコトを断ち切るとストレスが減って楽に生きていけます。
思い起こせば、学生時代に私のアパートに遊びにきた友人がよく「英保の所には本当にモノが無いなあ。全然生活感がないなあ。」と言っていました。どうやら私は生来、無駄なモノやコトが嫌いな人間だったようです。
それが起業という一大事の際に「これからは一般社会の価値観に合わせて行動しないとビジネスとして成り立たない(本当はそうでは無かったようなのですが)」と無意識に思い込んで自分を見失い、色々と違う方向に迷走してしまっていたようです。
今は戻りました。快適です。
コロナの影響で不要不急のコトがことごとく中止され、街や身の回りが毎日静寂に包まれています。
ただ、家庭待機の子供達は家でゲームばかりしている事に飽きたのでしょうか、公園で集まって元気にサッカーなどをしている姿を見かけます。昭和なら野球だったのでしょうか。
今、皆さんはコロナによって強制的に社会生活の「断捨離」を経験させられているのです。交通、宿泊、イベント、外食などのサービス業の方々は死活問題である事は重々理解しておりますし、株を保有されている方は不安で大変なのだろうと想像しますが、そういった経済面(=お金の事)を頭で考えた時ではなく、自らの心や体の声に耳を傾けた時に、皆さんはつい先日までの喧騒に満ちた世の中と、今の世の中と、どちらがストレスが少なく、どちらが幸せと感じられますか?
私は今のような世の中の方がむしろ、人間(=勘違いしている one of living creatures)の身の丈に近いのではと思うのです。
先日、コロナ産業革命という言葉を書きましたが、全てに限りがある地球の上で、我々人類の子孫が末永く存在を許されるためにはどうあるべきかを考える一つの機会にできるのではないかと思っています。
この災いが転じて人類の幸福に繋がればと祈っています。
不思議な事に最近、街でお客様に出会った時や、予防治療にお見えになったお客様から「先生、元気そうやね!」と言って頂く事が確実に増えました。私って最近元気そうに見えますか?
「どこか外見が変わったのかな?」と、そのように言って頂ける理由を考えてみたのですが、一つは2020年という美しい年の初めを境に玄米を食べるようにして、体重の増減や体型の変化に一喜一憂せず「自分の体と心からの声に静かに耳を傾ける」生活を始めて3カ月経ったお陰かなと思いました。
体重計を片付けてしまったのでわからないのですが、少し体重が増えていると思います。少々ふくよかな方が元気そうな印象を与えるのでしょうかね。
考えられるもう一つの大きな理由は「私の理念を理解して信頼して下さる素晴らしいお客様と、私の理念を理解して協力してくれている素晴らしいスタッフに囲まれて、毎日理想的に仕事ができている事だと思います。有難い事だと感謝しています。
「元気そうやね!」と言って頂けると、「そうか、元気そうに見えるんだったら、俺ってきっと幸せなんだ。明日からも頑張ろう。」と思えて力が湧いてくるから不思議です。
あなたも久し振りにお友達に会ったら(ウソでも良いので)「元気そうやね!」と言ってあげてパワーを与えてあげて下さい。
パンデミックが起ころうとしています。
自由経済が極端に行き過ぎたアメリカでは貧富の差がトンデモナイ事になっています。裕福な人でも貧困な人でもコロナやインフルエンザに感染したら基本的には安静にして自己免疫力で克服するしかないのですが、貧困な人は普段から過酷な労働に従事したり、食べ物がファーストフードやジャンクフード中心だったり、住環境が悪い(かなりの数のホームレスもいる)ので「普段から慢性的に体調が優れず」ウイルスにやられてしまって命を落とす事があります。
日本人は今のところ概ね国民皆保険制度によって、まるでアメリカとは別世界のように守られています。教育制度も優れているので衛生観念や体調を維持するための生活習慣についても正しい教育を受けてきています。ただ、若者を中心に終身雇用を否定して(ドンドン転職するのは当たり前)実力主義の社会を望む人が増えてきたせいで格差が酷くなって、今後は「アメリカ的」になってくるだろうと思われます。
この日本の国民皆保険は医科の分野では現在の所までは何とかほぼ良好に機能しているのではと思います。ところが歯科の分野では(恐らく歯科分野の政治力の弱さが原因だと思うのですが)保険で「世界基準の普通の治療」を行う事が事実上困難な構造になっています。医科歯科格差と呼ばれています。
ただ、最近は消費税を上げても上げても社会保障の費用が不足する事態に陥りつつありますし、例えばインバウンドの旅行者や日本に帰化していない外国人の医療費まで日本人がせっせと働いてカバーしている実態があるそうですので、この国民皆保険制度いつまで維持できるのかは不明でしょう。
日本人は元来頭が良いので維持できる可能性はあると思いますが、
①医科の分野では普段から健康に気を付けて不要不急の受診を極力控え医療費の増大を社会全体で努力して避ける。薬をもらっても飲まずに捨ててしまっているようでは「サステイナブルな社会保障制度」を期待する事など不可能でしょう。
②写真入りマイナンバーカードと保険証を一体化して外国人や保険料を払っていない人の「なりすまし受診」を回避する。一枚の保険証で何人もの外国人が「なりすまし」してもザルのシステムではチェックのしようが無い。
③歯科の分野では健康保険制度を使って予防(簡単な事です)を徹底し、虫歯や歯周病を激減させた上で、「多くの歯の病気は自己責任」であるという観点から社会で論議して制度を再構築する。
(番外)タバコを吸う人はガンになるので、タバコに医療費の上載せをしたり、砂糖入りジャンクフードなどの虫歯を引き起こす食品に歯科医療費の上載せをしたりして、口にする人に自己責任で医療費を負担してもらう工夫をする(そうすれば値段が高くなって口にしなくなり、結果的には国民の幸福につながる)。
といった事が必要ではないかと思います。
原子力発電による放射能の問題でも医療費増大の問題でも、実は「節制、節約をしなかった国民自身」によって引き起こされているのであって、「政治ガー」「東電ガー」「医者ガー」とネガティブな事を言っていても前には進みません。
国民一人一人が前を向いで努力しないとね。
個人的な感想ですが、日々お客様と接していると、ある年齢以下の方とそれより上の世代の方の間に一つの境界(ボーダー)があって、人生に対する価値観や年上の人(つまり私)に対する反応、プライドや自信などが随分異なると感じています。
これはただ単に年齢を重ねたら変わっていくだけなのかも知れないのですが、デジタルネイティブ世代とそれ以前のデジタルイミグラントの世代の違いのように思っています。
ある年齢以下の方達は概して自分に自信満々に見えるのですが、恐らく「あらゆる情報はネットで収集できるので私は全てを知っている。だから自分に自信がある。」と潜在的に思えるのではと思うのです。
初診時のインタビューでお話を聞いていると「バイアスのかかった他人の言う事よりネットの情報の方が信頼できる。そのネットで情報収集をして良い歯科医院を選んできたから、そこでの治療は間違いが無いはずだ。」と信じこんで、(ブランド)イメージで歯科医院選びをしている人が多いように思います。
そのような方がお選びになるのは、概してタウンペーパーに広告を出していたりする大手歯科医院の事が多いですね。それだけブランドイメージを訴求できているという事は、ビジネスという点では成功と言えるでしょう。
どうなんでしょうね?
兵庫県三田市の歯科医院 予防歯科を主軸に顕微鏡やルーペによる精密治療・MI接着修復・MIインプラント治療を提供 ラバーダムやZOOなどの防湿装置使用率100% i Mix(改良型3Mix法)を開発