Yahoo に記事が出ていました。半年に一度位はこの論争が出てきますね。読む度に、悩んじゃいますよね。
昼食後「すぐの歯磨き」は完全に逆効果
詳細は下記のリンクを見て頂ければと思いますが、この実験は象牙質を酸性炭酸飲料に90秒間漬けて行ったそうで、エナメル質ではないし、90秒も炭酸飲料でブクブクしてから飲み込む人もあまりいないと思うので、実際のお口の中の歯の状況にピッタリと当てはまるかどうかは微妙なところだと思います。
昼食直後の歯磨きより、毎晩、酎ハイ(炭酸と砂糖入り)をダラダラ飲んで、酔っ払ってから硬い歯ブラシで「ゴシゴシ」と雑に力任せに磨いている人や、拒食症などがあって、吐いた直後(胃酸は超強酸!)に気持ちが悪いので歯ブラシをする癖のある人などの歯の表面の劣化の方が心配ですが・・・。
30分待って磨くかどうかの論議の前に:
習慣的に摂取している食事内容はどうか(炭酸飲料・砂糖・柑橘類・酢・ビタミンCなど)?
使っている歯ブラシの硬さは?
歯ブラシのスキルは正しいか?
などもチェックする必要があると思います。
小児歯科学会の見解
保存歯科学会の見解
株式会社ライオンの解説
就寝前にステージ4のプラークをほぼ完全に除去できる人(就寝前の数分間の丁寧なブラッシングと、毎夜のフロスの習慣がある人)限定のアドバイス:食後に歯の間に食べかすが残らない年齢(40歳位まででしょうか)なら、昼食後は歯ブラシをスキップするか、キシリトールガムを嚙むだけでも良いと思います。その人は朝食後の代わりに朝食前にブラッシングをしても良いと思います。
歯肉が(加齢や歯周病で)退縮して、食事の後に必ずつまようじを使いたいような人やお茶や水でブクブクしてしまう人は、少なくとも毎食後フロスはして下さい。歯ブラシも毎食後にして、食べかすを除去した方が良いと思いますよ。昼食がカレーやうどんなら直後に磨いて良いですが、コーラとドーナッツを食べた時は(とりあえずキシリトールガムを嚙んでおいて)少し待ってから磨きますかね?
私なりの見解と意見を述べさせて頂きました。参考になれば幸いです。
以下はちょっと難しい話です。良かったら読んで下さい。今回の論争にも関係します。
最近特に「エビデンスに基づいた治療」が絶対視されています。ちゃんとした研究論文で効果が実証されている治療法(=エビデンス)が「絶体善」で、経験から得た「真実らしき事」に関して見解を述べるのは、もはやタブーのような風潮があります。
臨床家が長年の経験から「確かな手応え」を感じている方法であっても、権威からの「エビデンスが無い」の一言で、沈黙せざるを得ない空気があるのです。
エビデンスを作るためには「情熱・時間・資金・マンパワー」そして、しばしば「人脈・権威・政治力」などが必要になってきます。私達開業医がエビデンスを作る事の困難さはここにあります。
多くは「純粋な探求心」がエビデンスを作る原動力になるのですが、「後から地位や名誉や経済的見返りが得られる」ことが原動力になってしまうこともあるのです。大学の先生方の論文ねつ造や製薬会社の治験の不正が良い例でしょう。
実は、私は「エビデンスは無いが、長年の手応えから、絶対に効果がある」と確信する治療方法を持っており、歯科医師の裁量権として、自由診療ではそれを使っています。実際にそれで沢山の歯を救う事ができてきました。
エビデンスを作る事ができる権威(学会など)が「エビデンスが無い」と頭ごなしに言ってくる時には複雑な思いになりますが、誰が何と言おうと「面白いほど効く」と確信できた方法を簡単に捨てる気にはなりません。