全く虫歯にした事が無く、フロスも毎晩している成人女性。コロナの影響か予防での通院が途絶えていたのですが、1年振り位に「歯が痛い」との事で歯科医師のアポイントで来院されました。
「虫歯になる訳ないけどな。」と思いながら念のためにレントゲンを撮って顎が外れそうになりました。3本も虫歯ができおり、しかもその内の1本は神経に到達する勢いです。
彼女:「フロスも毎晩しているし、写真を見ても綺麗だから、この中が虫歯だなんて信じ難いです。だいたい、今まで虫歯になった事無いし。」
私:「食生活習慣で何か大きく変わった事が思い当たりませんか?」
彼女:「そうですねぇ・・・。何も変わっていないと思うけど・・・。」
私:「とにかく私を信じて治療を受けて頂けませんか?。それに、結構な痛みが出ているのだから何か治療をしないとダメでしょう?ステップバイステップで写真を撮って、後で説明させて頂きますから。」
彼女:「解りました・・・。お願いします・・・。」
私:「(これらの写真を見せながら)こんな感じでエライ事になってましたよ。」
彼女:「写真を見せて頂いて状況がよく解りました。実は、2年程前からスティックタイプの甘いカフェオレを毎朝飲むようになったんです。飲んだ後、歯ブラシもブクブクうがいもせず、そのまま仕事に行っていました・・・。それが悪かったのだと思います。」
私:「それですね!結果の解っている人体実験しているようなものですよ。ずっと無垢の綺麗な歯だったのに、そのカフェオレのメーカーを訴えてやりたい気分だよ。」
彼女:「でも、他にも砂糖が入っている食品は沢山ありますし、私の摂り方に落ち度があったのですから。」
私:「タバコには税金が掛けられている上にパッケージに健康被害の警告文を書く義務があるよね。真剣に予防歯科に携わっている歯科医師から言わせると、お菓子のメーカーにも同じようにして欲しいと思うけどね。」
彼女:「(英保先生、熱くなってる。)私、明日から無糖の紅茶にします。予防歯科にも年に3回ちゃんと通院してプロケアやフッ素コートを受けます。」
私:「それが賢明ですね。是非そうして下さい。」
皆さんもこのような落とし穴に落ちないように、しっかり気を付けて下さいね。
普通の硬さか、むしろ柔らかめの歯ブラシを使って優しく丁寧に磨いて頂きたいのですが、性格が真面目過ぎたり、清潔志向が強すぎると、ついつい力を入れてゴシゴシ。
このような磨き過ぎの事を「オーバーブラッシング」と呼びます。口臭を気にし過ぎて磨き過ぎると、皮がむけて出血するので口から「血の匂い」がするようになります。その匂いが気になって更にゴシゴシやって、益々口から血の匂い(これも口臭と言えます)をさせてしまうという、ウソみたいな悪循環が起こってしまうのです。特に若い女性に見られる現象です。
オーバーブラッシングで歯肉が減ると(上の写真のように)歯根が露出してしまうので冷たい水がしみ出します。知覚過敏です。「冷たい水がしみる。虫歯にしてしまったのかも?」と思ってますますゴシゴシやってしまって、ますます歯肉が下がって、ますます水がしみるという、ウソみたいな悪循環が起こってしまうのです。
これにジフまがいの安価な歯磨き粉を使うと、もうお手上げです。「虫歯になっているはず。だって、物凄くしみるから。」と、初診でお見えになった方に「虫歯はありませんよ。」と言っても「こんなにしみるのに虫歯が無いはずがない!」と、信じて頂けない事もしばしばです。
そして、これだけオーバーブラッシングしている方ても「フロスは邪魔くさいので、ほとんどしません。」という人が多いのです。そして本当に虫歯や歯周病にしてしまうのです。
歯ブラシとフロスを正しく上手に使いましょう。解らない事があれば担当の歯科衛生士の先生に気軽に尋ねてみると良いでしょう。
慢性う蝕という考え方があります。虫歯は虫歯なのですが、茶色ではなく黒くなっていて、ゆっくり、あるいはほとんど進行しない虫歯の事を言います。
予防歯科の考え方が無かった昭和の時代は小学生のほぼ全員が虫歯にしていました。前歯の乳歯などはサホライドという進行止めを塗られて真っ黒になっていました。「ラニングシャツに丸坊主の小学生がニヤッと笑ったら前歯真っ黒」という、例のやつです。ご存知?
また、昔の日本には「お歯黒」という習慣がありました。タンニンを塗布して歯を黒くするというファッションなのですが、歯のガングロだと思って下さい。時代と人によってはこれが美しかったのです。このお歯黒も虫歯の進行を止める効果があります。
黒い慢性う蝕を(茶色い普通のう蝕のように)削って詰めるべきかどうかは、かかりつけの歯科医院が「時間軸で経過を見る」中で判断すべきです。ですから、定期的に予防歯科に通院する中で慎重に判断する必要があるのです。
ややこしく考えずにドンドン削って詰めておいたら(頭を使う必要が無いので)簡単なのですが、歯を長ーく使って頂くためには、よーく考えて、慎重に、慎重に。これが英保歯科スタイルです。
「奥歯がしみる。知覚過敏?えぐれたようになっているから虫歯かな?奥の歯は黒い所もあるからきっと虫歯だ。削って詰めてもらおう。」
「そうですね。歯ブラシで力任せにゴシゴシやるからこんな風になるんですよ。もっと優しく磨いて下さい。後ろの歯の黒い所は虫歯になっているし、麻酔をして、両方削って詰めるようにしましょう。」
「有難う御座います。これで安心だ。」
歯医者でよくある会話を想像するとこんな感じでしょうか?
予防歯科を核に据え、歯をかけがえの無いものだと考えている英保歯科ではこんな感じで会話が進みます。
「歯の頭の部分はエナメル質という硬い構造で出来ていて、根っこの部分は骨に植わさってしっかりホールドされているので、噛む力によって折曲げられた構造の弱い場所が壊れてくるんです。氷をバリバリ噛んだりしてませんか?やっぱりそうですか。とにかく歯をいたわって使わないと90年も持ちませんよ。こっちの黒い方は慢性う蝕なので、削る方がかえって歯の寿命を短くする可能性が高いかもしれません。」
「選択肢として、①歯をいたわって使って、予防に通院して頂きながらこのまま様子を見る。②しみる症状が強ければ、知覚過敏の処置をするか、レジンでコーティグする。③良くやられているように麻酔をして削って埋める。の3つがあります。」
「先生のお勧めは?」
「①です。一旦手を着けたら2度と元には戻せませんから、慎重に行く事をお勧めします。」
「私もそれが良いです。来月また予防を受けてもいいですか?」
「どうぞどうぞ。感心ですね。それまでに何かあったら、遠慮なくドクターのアポイントをして下さい。」
「有難う御座います。」
皆さんのお好みはどちらでしょうか?
この自粛の時期に「伝染るんです」という言い方はちょっと無神経かも知れませんね。
今日は虫歯菌の話。虫歯の穴の中で増殖した虫歯菌が、お隣の歯に対しても猛攻撃して、お隣の歯まで虫歯にしてしまうという、(恐ろしい)お話をしたいと思います。
まずは、この写真を見て下さい。
そこが白っぽくなっているのが解りますか?これは「初期虫歯」といって、このまま対策を立てずに放置すると茶色くなって穴が開いてきてしまう緊急事態なのです。一生使う、大切な永久歯なのに・・・。
Eの虫歯の穴の中にいる虫歯菌が出す酸は、(当然ですが)接触しているお隣の永久歯の表面も溶かしてしまいます。
この白濁ですが、昨日のエナメル質形成不全と同様にしっかりケアーすれば大丈夫です。
この白濁はブラシやフロスで常にピカピカにしておけば、唾液中のカルシウムや歯磨きやホームジェルの中のフッ素によって、完全に元の状態(元の色)に戻す事ができます。(穴が開いてからでは絶対不可能ですよ。)
6歳臼歯とEの間を虫歯にするのは「大問題である」事が解って頂けました、ね?
「先生、これって虫歯ですか?乳歯?永久歯?3人目の子供がお腹から出てくる前に診てもらっておこうと思って。」
妊娠最後期のお母様が6歳の長女さん(と次女さん)を連れて、時間通り来院して下さいました。天気が悪い中、身重で二人の手を引いて大変だったでしょう?お子様達に対する深い愛情を感じますね。素晴らしいね。
「どれどれ、ちょっと見せてね。」と私。長女さんのお口の中を拝見すると、下の写真のような感じでした。
新しく生えてくる永久歯は乳歯より少し黄色いのが普通で、「先生、新しく生えてきた前歯の永久歯の色が黄色いので心配です。」との質問はしょっちゅう受けます。
でも、今回は少々問題が複雑です。生えて来た6歳臼歯の表層が上手い具合に出来なかったようです。エナメル質形成不全ですね。ご覧になってわかるように、残念ながら色合いが通常より褐色ですし、残念ながら強度も通常より弱いのです。
歯の最表層はエナメル質と呼ばれ、ハイドロキシアパタイトと言う固い構造で出来ています。生えたての歯はこのアパタイト構造の成熟が不十分なので、まだカチカチではありません。でも、そこにフッ素(正確にはフッ化物)を上手く利用すると、ハイドロキシアパタイトがフルオロアパタイトになってくれて、虫歯菌の出す酸に非常に負けにくい強度にアップします。フッ素コートをイメージしてもらったら解りやすいと思います。
最近の若い人の虫歯が激減している理由の一つは、マーケットで普通に販売されている歯磨きペーストのほぼ全てにフッ素が添加され出したからなのです。
エナメル質形成不全のこの6歳臼歯ですが、気にならなくても、悲しんでも、とにかく何があっても一生この6歳臼歯と付き合っていくしかありません。
でも、大丈夫ですよ。対策はあります。
おやつは時間を決めて一日一回。冷蔵庫にジュースを買い置きしない。この歯にホームジェルを毎晩塗り込めば、そう簡単に壊れたりしませんから。
これを機会に食生活習慣を見直して(ジャンクフードを断捨離して)、3人のお子様の歯だけでなく、体も心も健康に育てて上げて下さい。
告白すると、食生活習慣については「おまえの家族ゆう」なんですけどね。
・・・。ゴメンナサイ!
夏休みに入って子供達が家にいるようになっています。
我が家も同様で、息子二人が全然勉強せずにラジコンで遊ぶか、勝手に自転車で出かけてお昼時にも帰って来ないか、朝から床にゴロゴロして本を読んでいるかで、全然言う事を聞かないので妻が壊れかけております。(「女には解らん男の価値観ってもんがあるんじゃ。もっともっと好きにやって、女に教えてやれ!」と、息子達を心の中で応援しつつ、怖いので自分の部屋に逃げ込んでこのブログを書いています。)
さて、学校に行かないと生活リズムが崩れます。それから、暑いから冷たい飲み物が飲みたくなりますね。
①1リットルのパック入りのジュースは野菜生活であってもなるべく買わないように頑張ってあげて下さい。
②もし魔が差して1リットルのオレンジジュースなどを買ったとしても、「飲むのは朝ごはんの時だけ、後は昼も夜も麦茶しかダメ!」と指導してあげて下さい。ジュースをダラダラ飲むと前歯が確実に虫歯になるし、血糖値が高いままになってご飯をまともに食べなくなり、体や心にも悪いから。
③アイスクリームもたまには良いけど、6本入りのパックが冷凍庫に入っていて毎日食べるような状況にするのは避けてあげて下さい。(1日2、3本とかは論外ですよ!)
子供の体は大人と違って小さいし、成長発育の過程にあります。体と心の成長が完了する時まで、一日、一日を大切にしてあげて下さい。
無限の可能性を秘めた、彼、彼女の将来の為にね。
イヤー、部屋に籠っているから、筆が進むわ。
最近は三田市の3歳児健診に出務しても虫歯を見つける事が無い程に、若いお母様方の歯に対する意識が高まっています。世の中、変われば変わるものです。
さて、今日の予約の中に「○○様(3歳・初診・虫歯)」という方がおられました。約束の時間ピッタリに、小さな、とても元気なお子様3人をお連れになったお母様が申し訳なさそうに入って来られました。初めまして、ようこそ英保歯科へ。
お母様:「先生、虫歯ができちゃったんです・・・。」
私:「ホンマに虫歯ができたの?3歳で?穴が開いてるの?」
お母様:「スミマセン・・・。奥歯が茶色くなっているんです。」
私:「どれどれ?とにかく、ちょっと見せてね。」
私:「虫歯じゃないよ。ちゃんとできていますよ。お母さん立派なもんだ。しかし、最近の若いお母さんは本当に偉いね。30年前の子供は虫歯だらけだったけどな。これからはもっと積極的に予防して、3人のお子さん全員、虫歯ゼロの人生にしてあげて下さい。難しい事じゃないよ。」
お母様:「良かった!これからはちゃんと予防に連れて来ます。」
最近の若い世代は凄いな。地球環境の先行きにも不安があり、経済が停滞してあまり贅沢もできないのに、「本当に大切なものは何か」をしっかりと見抜いてクレバーに、クールに、確実に生きている人が多い。
おっさんの英保先生ですが、私の価値観はむしろ今の若い人達に近いかな?なんて、感じています。
矯正治療は保険が効かないので、なんやかんやで100万円位かかります。でも、人生90年として1日30円程度の投資なら私は安いと思います。皆さんの価値観からするとどう思われますか?
さて、小学校1~2年の頃に上下の前歯が生え代わります。上の1番という前歯が表側に、下の1番という前歯が内側に位置する事が上下の顎の骨の成長を理想的な方向(上顎はしっかり外に大きくなり、下顎は必要以上に出てこない)に導くために非常に重要です。(ちなみに2番は顎の成長方向にそこまで決定的な影響を与えません)
なお、既にかなり歯が生えてしまっており、完全に逆になってしまってロックしている場合にはこんな方法では絶対なおりません。潔く矯正歯科医に相談しましょう。この写真のようなタイミング(時期)限定ですよ。
注意!:色々な考え方があり、ここで紹介している事が絶対では無いので、必ずあなたのかかりつけ歯科医に相談し、その指示に従って下さい。
この子とその保護者には、そのように指導させて頂きました。又の機会に経過をレポートさせて頂きますね。きっと上手く行くと思っています。楽しみです!
学校健診で①歯垢②CO(虫歯になりかけの歯がある)③永久歯の虫歯の3つにチェックされてしまった、けやき台中学校2年生の男子生徒さん。今日お母様と一緒に来院されました。小さな頃から英保歯科のファミリーでずっと予防歯科の為に通院されており、過去に虫歯にした事は無いのですが、中学校に入って部活や勉強が忙しくなってきたのか、コロナせいで遠慮されたのか、ここ半年ほど予防の為の来院が途絶えていたのです。
お口の中の写真を撮って、それを見ながら本人と母親と私の3人でディスカッションしてゆきます。
私:「最近、塾や勉強が忙しくなってきた?ジュースやスナック菓子を食べながら勉強したりしていない?」
母:「塾には行っていません。小さい頃に英保先生からハイチュウはダメと言われてから本人がやめましたし、親もその類のものは気を付けるようにしています。」
私:「部活は運動部?スポーツドリンクを毎日飲むようになったとか?」
母:「剣道部ですが、そこではお茶しか飲みません。」
私:「それは賢明だね。テニス部に入ってスポーツドリンクを飲むようになった途端に虫歯にしだした子がいるんですよ。」
母:「実は・・・。この子コーラが大好きで、半年前まで毎日飲んでいたんです。でもこのままじゃダメって話し合って、『炭酸は(旅行などで)三田から出た時だけにしよう』という約束にして、半年前から飲むのを完全にやめました。コロナ自粛で旅行にも行けないので、結局最近は全然飲んでいません。」
私:「偉いね!少しは嗜好品を楽しむ時も必要だから、そのルールって天才的に素晴らしいよ。今日のブログで紹介させてね。ところで、このCO って指摘されたのは下顎の一番奥の歯なんだけど、そうなったのは半年前までのコーラの習慣のせいだろう。今から気を付けたらほとんど進まないと思うよ。」
母:「良かった。(子供に向かって)頑張ろうね。」
私:「ただ、(写真を指しながら)歯磨きはもうちょっと丁寧にやってね。それから年に3回は予防治療を受けて下さい。」
母と本人「ハイ、わかりました。有難うございました。」
家族の為に(ちょっと不便だけど)環境の良い三田に住む事を選び、剣道部での心身の鍛錬と自宅での自発学習という文武両道のバランスがとれた導きをされ、心と体の健康に留意して子育てをされているお母様。本当に偉いと思います。
子供に対する「真の愛情」を見ました。我が家でも見習いたいと思います。
兵庫県三田市の歯科医院 予防歯科を主軸に顕微鏡やルーペによる精密治療・MI接着修復・MIインプラント治療を提供 ラバーダムやZOOなどの防湿装置使用率100% i Mix(改良型3Mix法)を開発