「院長日記」カテゴリーアーカイブ

少しは役に立ったかな、と。

被災家屋の撤去費用だけは国が全額負担してくれるのですが、順番が回ってくるまでに2年もかかるそうで、早めに自分で業者に頼もうとすると、一旦自己資金を用意して立替払いをしないといけないそうです。また、庭の石や植栽の撤去は自己負担になるそうです。
無事更地にできたとしても、そこに家を新築をしようとするとその費用は全額自己負担になります。

2年前に頑張ってローンを組んでマイホームを購入した若い夫婦や、30歳代の頃に購入した普通の庭付き一戸建てで無事子育てが終わって、その後質素に暮らしていた70歳代の夫婦が被災した事を想像してみて下さい。

氾濫した河川から無情に流れて込んできた泥水で、目も当てられないほど壊れて、ドロドロに汚くなってしまった我が家でも、経済的理由や自分の年齢など、様々な要因で清掃して修理して暮らしていくしかない人達がたくさん、たくさんおられるのです。

私達は今回、床下の「泥かき」という作業と柱などの木材にこびりついた泥を雑巾で取り除く作業を黙々と行ったのですが、やってもやっても元の美しい状態になるはずもなく、無力感すら感じました。
それでも、1日頑張れば「見違えるように」からは程遠いですが、結構きれいになりました。

何より、被災された方々の所に行けば「私は一人ぼっちではないんだ。手伝いに、助けに来てくれる人がいるんだ。」と少しは安心して頂けると思うのです。私達が掃除して、たとえ建物が元のようにピカピカに奇麗にならなくても、そう思って頂けるとしたら、それだけで意味のある事だと思うのです。

これが、今回初めてボランティア活動というものを経験させて頂いて、気がついた、学んだ事の一つです。

役に立つ自信がなくても、迷惑だと思われそうで不安でも、実はそんなことはなくて、誰でもお役に立てるように思います。

岡山は第ニの故郷

今日は5時に起床し、子供と一緒に倉敷市真備町に行って来ました。災害復興のボランティア活動に参加させて頂くためです。想像以上の惨状で、被災民家の写真を撮影する事などできません。

岡山大学出身の私にとって、岡山は第二の故郷です。今日の活動が少しでも真備町の復興の役に立つ事を願っています。

現場に入って活動する事で、学ぶ事や気が付く事が沢山ありました。今回、勇気を持ってボランティアに参加して良かったと思っています。

聞いてないよ。(閲覧注意)

英保歯科ではお客様によくインタビューをさせて頂きます。生まれてから今までどこに住んでいて、どのような歯科医院にかかってきたか。どこでどの治療を受けたか。それについてどのように感じているか。といった内容が含まれます。最初はビックリされますが、私にとっては必修の情報なのです。

昨日は、服装も雰囲気も質素な感じの75歳の常連のお客様にインタビューをしました。旧三田市街の方ですが10年ほど前から英保歯科に予防のために通院されているファミリーステータスの方です。お互いの信頼関係はバッチリできております。


「20年前に、ある歯医者に行ったら、右前歯が駄目になっていると言われて抜歯され、横の健康な歯の神経の抜かれてこんな不細工なブリッジの歯にされた。」とのコメントでした。当時担当した歯科医師はお客様の質素な雰囲気から勝手に「保険の治療が最適だろう」と判断してしまったようです。

手を着ける前に、40分ほど時間を割いて検査と説明ではなくてインタビュー(=お客様の声に耳を傾けること)をしていれば、彼が「お金がかかっても良いので神経を取らずに治療を受けたい。お金がかかっても良いので自然で美しい歯にしたい。」というご希望をお持ちであったと汲み上げる事ができたはずです。20年前ならインプラントの技術も確立されておりましたので、もしもこの歯科医師がインプラントができなくても適切な歯科医院を紹介できたはずです。

何を大切と思い、何にお金を使うかはその人価値観によります。服装や車や雰囲気で勝手に推測するのは横暴です。聞いてあげないとわかりません。

また残念な事に、いまだに歯の本当の価値に気がついていない人や歯科医師すらも沢山います。

一日でも早く、一人でも多くの人に、歯の大切さに気がついて頂けるようにと頑張ってせっせとブログを書いております。

わかる?

私は「可哀そう」と思いました。

ゴーン氏が逮捕されて話題になっています。ニュースを聞いた時皆さんはどう思われましたか?
「お金に汚い奴」「悪い奴」「欲な奴」「沢山リストラしたくせに」などなど。色々あると思います。

私は「可哀そうな人」だと思いました。

歯科医師の平均年収は現在の所、公認会計士と同等だそうですが、これからはもっと減少するといわれています。
一方、最近は企業の上層部の人達や時流に乗って起業した人達は「月でも行ける」収入を得る人が出てきています。
つまり、金持ちになるために医学部や歯学部に行く時代はとっくに終わっており、金持ちになるには「京大以上の大学を出て一流企業に入るか起業する」のが良いのでしょう。恐らく。

医者の家庭に生まれた子は親の姿を見て育っていますので、医者がそれほど「楽して儲かる仕事」ではないことを知っています。歯医者の家庭も同様です。ですから「親の後を継ぐ」時には「お金以外のものを大切だと思う」という、それなりの覚悟ができています。歯医者の子供に生まれた私もそうでした。

50億円などといったお金で何が買えるのか知る由もありませんが、お金がたくあさんあって、モノを買っても買っても幸せに辿りつかない人って「可哀そう」だと思いませんか?

私は50億円は持っていませんが、私の事を心から信頼して下さるお客様、私の理念を信じて協力してくれているスタッフ、そそして暖かい家族に囲まれて暮らしています。自分は大金持ちのゴーンさんよりずっと幸せなんだろうと、心から、思います。

トクヤマデンタルの小川氏が来てくれました。

ケミカル分野では世界的に有名な、トクヤマソーダという会社があるのですが、その会社の歯科材料部門の上級研究員の小川様がわざわざ三田まで来て下さいました。
先日新潟で開催された接着歯学会での私の質問をお聞きになって、その質問に対して社内で確認の実験を行ってデーターの説明のために訪問して下さったのです。
3年前の他の学会で知り合いになって以来の再会ですが、どういう訳か、毎日毎日会っているような気がするのは、何でだろう?

とんでもない!

予防歯科という概念がなかなか伝わらずに、「痛いときだけ歯医者に行く」女性のお客様が数年ぶりにお見えになりました。
81歳になられたそうですが本当にお元気そうで、しっかりと歩かれて、理解力も完璧ですし耳も良く聞こえています。

随分治療がされていて、パッと見はくたびれた感がありますが、81歳なんですよ。優秀なほうです。歯肉も数年間お手入れを受けていないのに、結構きれいな状態です。
ご自身の歯も沢山残っています。24時間いつでもコンビニでおやつ(ジャンクフード)が買えてしまう今の若い世代の人が81歳になった時にこれだけの歯が残っていますかね?

しかしながら、今回の御来院の理由は「歯を積極的に抜いて入れ歯に替えて欲しい。」とのご希望でした。
話を聞くと「体があちこち悪くなって入院した時に、同室の人に自分の口臭で迷惑をかけたくない。母親が入院していた時に隣の人の口臭がひどかった経験があり、今から入れ歯にしておいたら清掃が容易なので良いかと思って。介護をしてくれる若い人に迷惑をかけたくないので、そのようにしたい。」
との事でした。
私:「今の歯があるからそんなにお元気でしっかりされているのですよ。歯を抜いてしまったら本当に寝たきり入院になりますよ。

たった年に3回で良いので、衛生士の先生の予防歯科治療を受けて下さい。今の歯を大切に使っていれば、一生入院なんてなりませんよ。私が保障します!」
彼女:「何だか先生の催眠術にかけられたような感じで、心配していたことが吹っ飛んでしまいました。衛生士の先生のお手入れを受けて自分の歯を使えるまで使って、ピンピンコロリで行きます。」
私:「歯を抜いたら、歯の事での迷惑は若い人にかからないかも知れませんが、副産物として生まれる状況で経済的・人的に余計に迷惑がかかる可能性がありますよ。若い世代の事を思って下さるのでしたら、とにかく自分の歯を大切にして下さい。」
彼女:「良く分かりました。」

持って生まれた自分の歯を大切にする事が、社会的な視点からもどれだけ意味がある事かわかりますね。

淡路島に行ってきました。

今日は末っ子の七五三のお祝いの為に淡路島に行ってきました。絶好のドライブ日和の中、明石海峡大橋を渡って1時間少々で伊弉諾神宮に到着。しっかりと御祈祷をしてもらいました。

今思えば些細なことなのですが、私自身、兄弟3人の中で一人だけ七五三をしてもらった事がなく、子供の頃に「自分だけ何故?」と、とても気にしていた事を覚えているので、我が子には「絶対全員にお祝いを」と想っていました。伊弉諾神宮という最高の神社で、末っ子まで4人の義務を果たせてホッとしています。

帰りには Ikoi Japanese Cuisine でランチを頂いて来ました。

 

Ikoi 御膳という1800円のランチがインスタ映えするようで、女性に人気です。淡路ビーフの丼などもありますので、皆さんも是非行ってみて下さい。平日でも予約をしておいた方が良いですよ。

勢いのある淡路島にはついにこんな物まで登場しましたよ。淡路ハイウェイオアシスにありますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。

車に?旅行に?それとも健康に使う?


昔、他の歯科医院で前歯4本をセラミックで治療したとの事ですが、向かって右の前歯の歯茎が腫れています(根っこの先のあたり)。

こちらのお客様は、英保歯科に予防のためにずっと通院されているお客様でお互いの信頼関係は充分確立されています。
抜歯してインプラントやブリッジという事も含め、治療の選択肢をいくつかご提案しました。何度も何度も相談の時間を取って話し合いました。彼女にもしっかりと考えて頂きました。

最終的には、この悪い歯だけではなく、前歯4本とも 3Di 根管治療とジルコニアクラウン(Basic Class)で治療を受けたいとのご希望が決まりました。4本で総額74万円弱という高額な治療になりますが、こちらのお客様は「自分の歯を長く使う事は、お金をかける価値がある」と判断なさった訳です。


行われていた根管治療は、最近の医療水準からみると少々古めかしい感じがします。腫れている歯の根っこの先には大きな歯根嚢胞がありますね。
金属の土台を外すだけでも大変な労力となります。考えただけで死にそうです・・・。


何回も何回も来院して頂いて、延べ数時間以上かけて、クラウンと金属の土台と中のお薬を全て取り除きました。歯を壊してしまわないように細心の注意を払いながら、顕微鏡を使って少しずつ、少しずつ、行いました。忍耐が必要でしたが、私もお客様も頑張りました。


3Di 根管治療をして、2年後のレントゲン。
病巣(歯根嚢胞)がかなり小さくなっているのがわかりますか?。


何とか無事に2年間が経過しました。74万円もかかった治療ですが、お客様は喜んで下さっています。

この事例から、3つの事が言えます。

①予防をしてもともとそこにある自分の無垢の歯を維持していたなら、1円もかからなかった。虫歯にした事が始まりで、今回のように、お互いの時間を大量に使い、お客様のお金が無駄になった。予防の方がはるかに安全で簡単である。

②初回の治療にある程度の時間とお金をかけて、きちっと行っていたら、困難なやり直しの治療の可能性が低くなった。初回に手を着ける前に、歯科医師がそういった選択肢についても丁寧に説明すべきだった。自分ができないなら他の歯科医院を紹介するという選択肢もあるはず。

③かかりつけの歯科医院として長年通院して頂いているファミリーメンバーなので、高額な治療のご提案でも、信頼し、安心して選択して頂けた。

私も彼女を信頼して、勇気を持って治療を引き受けました。普通の会社なら「この金属の土台を外したりする作業には大きなリスクがございます。申し訳ありませんが、弊社には責任がございませんので、施工した会社にご相談下さい。」と言うのではないでしょうか?

このようなお互いの信頼関係の構築には年単位の時間がかかります。ですから、予防のために通院して英保歯科のファミリーになっておいて頂きたいのです。

更なる医科歯科連携を!

昨日所用で新大阪にある大阪回生病院に行ったのですが、糖尿病の患者様に対する栄養指導室の入り口に、管理栄養士の先生のお名前と「よく噛む」事のメリットが掲示されていました。

そこには、私達歯科医療関係の人間でも気がついていないような素晴らしい内容が書いてありました。「さすが医科。さすが管理栄養士。プロは大したものだなあ。」と非常に感心して勉強になりました。

ここに書いてある事は7項目とも、即実践して欲しい素晴らしい事です。

特に、お口に入れる量を少し少なくするだけで、自動的に噛む回数が増えた事になる。とか、一口5回だけで良いので多めに噛むようにしてみる。などは今後の指導に応用させて頂きたいと思います。

歯科医療従事者は、自分たちが「咬むことのプロ」だという自信を持っていますが、「井の中の蛙大海を知らず」で、しっかりと医科の皆さんの知見やご意見に耳を傾けるべきですね。
それに、管理栄養士の先生は「噛む」という文字を使っておられます。私達は「咬む」という文字を最初に選択する事が多いですね。この時点で「口と歯を使って食べたものの栄養の事、全身の事に目をやっている」のか、「主に上下の咬み合わせで食べ物を小さく砕く」事に注目しているのかの「視野の大小」が見えてしまいます。猛反省したいと思います。

このような小さな経験からですが、更なる医科歯科連携の努力が国民の健康(病気の予防)に寄与するのだろうと感じました。どういう訳か、医科と歯科の垣根は高く、困難な道ですが「一歩一歩」歩んでみたいと思います。

武士は食わねど高楊枝

私の実家では私が子供の頃に朝日新聞を購読していました。「知識層は朝日新聞を読むんだ。」と父親が言っていたのを覚えています。

その後しばらくして、朝日新聞が家から消えたので父に理由を聞くと、「記者の考え方がどんどん偏って来たので、子供に読ませたく無くなったから止めた。」との事でした。これはもう40年以上前の話です。

最近では従軍慰安婦の捏造報道で評価を下げました。「歯医者はコンビニより多い」というフレーズも朝日新聞の作品だそうですが、歯科医療従事者が努力している場面には一切眼を向けずに、「経営のために必要の無いインプラント治療でお金を稼いでいる」などと、まるで大多数の歯科医師が「お金の事を第一に考えている」かのような論調で、一般人の不安を煽るような報道をしている感があって、良い印象がありません。

その朝日新聞から「インプラント特集にお金を出して病院の名前を載せませんか?」とダイレクトメールが来ました。速攻でゴミ箱に放り込みましたが、お金を得るためなら普段の物言いは棚に上げて何でもありの態度は、尊敬に値しませんね。

武士は食わねど高楊枝という言葉がありますが、マスコミの方も自尊心を持って一貫した考え方を通して下さい。