これはアメリカの歯科医師会が約10年前に歯周病と全身疾患との関連性を広く知らしめるために大々的にPRしたスローガンです。
今ではお口の健康と心疾患、糖尿病、早産、低体重児、ガン、肺炎などとの関連は常識になっていますが、10年前は歯科医師自身でさえ「歯周病が糖尿病を起こす?糖尿病なら歯周病になるなら解るけど・・・。」と思っていた位です。
ところが今では、お口の健康が全身の病気を惹起する事は常識で、栄養関係者とスポーツ関係者、そして歯科関係者が予防医学のドアのカギを持っていると言っても過言ではないように思います。
10年一昔と言いますが、本当に、変わるものですね。
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恩師中の恩師
私が宍粟郡の町立山崎小学校の1年生の時の担任は岸野先生という凛とした女性でした。左利きの私は、この先生に鉛筆を右手で持つように矯正してもらいました。その一方で、お箸を左で持つことには寛大に見守って頂けました。そのお陰で完全な両手利きとなり、歯科医として非常に有利な素養を与えて頂いております。
また、宿題も沢山出して下さる先生で、皆良く勉強する習慣を付けてもらえました。私の学年からは塾も私立校も無い田舎であるにもかかわらず、東大、京大、一ツ橋大などに合格した人がいます。
今日はけやき台小学校の健診に行ってきましたが、6年生のあるクラスがとても素敵でしたので思わず担任の女性の先生とこの岸野先生をクロスオーバーさせてしまいました。「先生は宿題をたくさん出されるのですか?」と質問したのですが、不思議そうな顔をされていました。そりゃそうですね。
今は左利きを右に直す害とか、人権とか言われたりするようです。難しい問題ですが、教育者は自らの信念を持って突き進む強さがいりますね。
私も岡山大学の臨床講師として教壇に立つ身です。頑張ります!
昼休みに歯ブラシした方がいい?(子供の質問)
「幼稚園に通わせていた時は、園で昼食後もきっちり歯磨するように指導してもらっていたのですが、小学校に上がった途端に歯磨きできなくなって、とても残念ですし、急に虫歯ができてしまわないか心配です。先生が校医をされているけやき台小学校でも、昼食後に歯ブラシをするように働きかけて頂けませんか?」と。お母様に時々言われる事があります。
もっともなご意見です。
幼稚園で昼食後に歯ブラシをするのは、「毎食後に歯磨きをする」という習慣を体験を通して学ぶ事が目的です。子供自身の歯ブラシのスキルはプラークコントロールを行える程高くはないのです。
個人的な見解としてですが、小学生は昼食後に歯ブラシをしなくても唾液の量は大人より随分多く、歯肉の退縮もないので、食べかすが歯の間に詰まる事も考えにくいと思います。
朝夕の歯磨き、それよりなにより、プラーク蓄積の原因となるような食生活、食事の内容、摂取する食品を回避する事の方が大切ではないでしょうか?それは即ち健康な体と健康な心を育くむ食生活に他ならないのです。
昼休みに歯ブラシした方が良いですか?
抜くしか方法がないと思われる歯を3Di 治療で残す事ができた、ハンサムなミドルエイジの男性の患者さんが、歯の重要さ、歯の価値に気が付いて下さったようで「先生、昼休みにも歯ブラシをした方が良いですか?」と質問して下さいました。意識が高まってきているとわかって、私もとても嬉しく思いました。
ミドルエイジであればどうしても多少歯肉が退縮しており、歯と歯の間に食べかすがトラップされてしまいます。ですから、食後(可能であれば30分ほど間をあけた後)に少なくともフロスだけはやって頂きたいところです。食べかすが腐敗を始めると、かなり口臭がしだしますからね。(口がニオっていても、若くてかわいい部下たちはだれも指摘してくれないのが普通です・・・。)
それから、昼休みに歯ブラシをする事は「健康に気を使っている、デキるビジネスパーソン」というポジティブなイメージをあなたに与えてくれる事でしょう。若くてかわいい部下たちも「ステキ!」と思ってくれる事でしょう。
OLはみんな昼休みに歯を磨いています。男性でも恥ずかしがらずに、自分の価値観とポリシーを貫いて下さい。「他の日本人と同じ」であることが世界標準では無い事が、残念ながら、ほとんどです。
バナナの皮が歯を白くする?
最近、バナナの皮を使った「歯のホワイトニング」がとても評判になっています。大流行の兆しあり。という感じですよね。
ググるとたくさんヒットしてきますが、歯の写真はレタッチされたもので、真実ではないと思います。歯科医の目から見ると、このサンプルのような美白効果はバナナを使っては得られないと思います。恐らく最初にフォトショップで修正した写真がポストされて、それがコピペされて広がったのではないでしょうか。
バナナに含まれる分解酵素が歯の表面に付いた食品などの有機物由来のステインや着色を溶かしてくれる可能性は多々あると思います。また、天然成分ですので、歯にダメージを与える事はほとんど無いか、皆無と言って良いと思われます。
研磨剤が多量に含まれる歯磨き粉(スーパーなどで売っている安物の歯磨き粉に多い。ライオンとかサンスターなどの一流ブランドが出している製品もあるので信じてしまうが、要注意です!)を使ってステインを落とすよりは、バナナの皮の方がずーっと安全で良い方法だと思いますよ。どうせ捨ててしまうバナナの皮ですから、10分間という時間を使って試してみる価値はあると思います。
でも、人によって肌の色が違うように、もともと持って生まれた歯の色というのがあります。これはむしろ内部の色によって決まります。真っ白白にするには強力な化学物質(漂白剤)で歯の中まで漂白する、歯を削って真っ白白なセラミックをかぶせるかのどちらかです。
未成年ののアイドルが、明らかにセラミックの歯だらけにされてしまっているのを見るとほぼ「虐待」と呼んで良いのではと悲しくなります。一度削ってしまった歯は元には戻せません。彼女達にはこれからも長い人生があり、自分の歯を使っていかなければならないのです。
アイドル本人の希望や同意があったと周囲の大人は言うのでしょうが、金儲けの材料にするために芸能プロダクションも、ひょっとしたら親までもそのように持って行ったとしたら、ひどい話ですね。
黄色人種も黒人も、もしも自分の肌の色を嫌がって変えようとしたら、色々な事を犠牲にしなければなりません。時には心を病んでしまう事もあるでしょう。
私は自分の患者さんには、虫歯と歯周病が無く健康で、歯並びが綺麗で、きちっとケアーされた健康な、「少しだけ黄色がかった日本人らしい自然な歯を」自慢できるような、賢明な紳士淑女であって頂きたいと思います。
モンダミンは、どうなんですか?
「お口クチュクチュモンダミン」ってキャッチコピー、凄いインパクトだったようですね。私がテレビを見なくなって15年以上になりますので、それ以前のコピーですが、脳幹に刷り込まれていますものね。
患者さんも、ちょくちょく、「モンダミンとかやった方がいいでしょうか?」と質問して下さいます。「リステリンをした方が良いですか?」とは聞かれないですね。全く。このコピーを考えた方は会社からボーナスをもらっても良いと思いますよ。
洗口液はプラークの形成を抑制する目的で使うのですが、歯科医も様々な見解を持っているようです。
私は以下の① ② ②’ ③ の順に重要だと考えています。
①プラークを作りにくい生活習慣と食習慣を心がける。
②機械的に(ブラッシングなどで)プラークを除去する。
②’ フッ化物で歯を強化する。
③薬剤でプラークを減少させる。
洗口液は③に相当する訳ですね。モンダミン、キャッチコピーのインパクトほどは、プラークにインパクトは無いのかも知れませんね。
フロスカット
虫歯や歯周病を予防するためにデンタルフロスの使用をお勧めしていますが、「フロスカット」という言葉があります。
真面目にフロスをするあまりに、歯と歯の間の歯肉にフロスで傷を付けてしまう事があります。顕微鏡で見ると歯肉が切れたようになっているので「フロスカット」と表現します。
デンタルフロスは、歯と歯が摂食している所を通過させる時に抵抗を感じますが、そこを通り過ぎると、急に抵抗がなくなります。それなのに力まかせに押し下げると歯肉に傷がついてしまいます。
フロスはお父さんの日曜日の仕事。子供が嫌がるような事にならないように、気をつけて、フロッシングの技術を向上させて下さいね。
日歯連盟またまた不祥事。その原因は?
「また歯医者が悪い事をしている。また歯医者か。」という声が聞こえてきそうです。
日歯連盟は歯科医師の政治力を高めるための組織で、日本歯科医師会とは別ですが「関連がある」組織です。
今回の原因は・・・
①日歯連盟の上層部が高齢で今の世の中で透明性とコンプライアンスがどの程度強烈に求められているか理解できなかった。愚かですね。
日本では上の人が言う事に自由に発言できない空気が蔓延していますものね。個人ではちゃんとしたいと思っていても、会社や組織の上層部が言い出すと東芝や日歯連盟のようになっちゃうんですね。
②過去20年間以上、歯科医師があまりにもお人よし過ぎた(間抜けで世間知らずのバカだった)ため、せっせと患者さんを診る仕事だけをやってきて、気がついた時には、国が保険のルールを決める際のチームから完全に外されていた。
東大や慶応出身のお国の偉い方達と、東大や慶応出身のお医者様だけで医療費の配分を決めるようになってしまった。(東大と慶応に歯学部が無いので、東大や慶応出身の歯科医師が存在せず、その結果、歯科科医師は霞が関では人間扱いされないと聞いた事があります。)
③国と政治家と官僚は歯の重要性を全く理解できていなくて、国民の歯を本気で守るという気が全く無い。
勉強ができて東大か慶応に入り官僚になる事が人生の価値観の全てだとしたら、歯なんかどうでも良い事かも知れませんね。(今でも「子供の歯や歯並びなんてどうでもよいから、とにかく灘中から東大か医学部進学を目指して勉強させる」という考えの方がおられます。将来子供から恨まれないようして下さいよ。勉強と健康とどっちが大切?)
その結果、保険の歯科医療報酬は異常な程低く抑えられています。そして、国民は医科では保険で十分な治療が受けられるのに、歯科では昭和30年代のような治療をいまだに強いられています。パラジウムという金属がいまだに口の中に山ほど入っている国民は日本人以外いませんよ。
歯科医師も保険でも良い治療をしたいと思っているのですが、「格安の中国食材で10分で最高の料理を作れ!」と国から命令されても、無理なものは無理なのです。
国民の皆さんはもっと怒って良いと思いますよ。「歯科でも医科と同様に保険でも質の高い治療が受けられるように、医科の医療費の無駄を減らして、歯科に配分してほしい」と。
体重の3倍
歯科の3大病は「虫歯」「歯周病」「咬み合わせ病」です。
咬み合わせ病には「歯並びが悪い」だけでなく「寝ている間の無意識な歯ぎしり・食いしばり」があります。
寝ている時の歯ぎしり・食いしばりは、歯に体重の2〜3倍の荷重をかけると言われます。例えば、体重60kg の人なら180kg の荷重が歯にかかっていると考えてみて下さい。
長年、毎晩毎晩それが続くと、あの硬い歯でも耐えられません。少しずつクラックが入って、そしてある日突然、何の前ぶれも無く「バキッ!」と。

このように、虫歯でも何でもない歯が突然割れてしまうのですから、患者さんは訳がわかりません。
ストレスの多いビジネスパーソン、それも昔で言う「中間管理職」的な方に多く見られるように思います。
治療としましては、夜寝る時にマウスピースを入れて頂いて、歯を守るようにします。これも「予防歯科」と呼んでよいのではないでしょうか。
この方はナイトガード(マウスピース)が身代わりとなって歯を守ってくれています。
ナイトガードが歯ぎしりでボロボロになっているのがわかりますか?
低炭水化物ダイエットの落とし穴
最近、low carbohydrate diet (低炭水化物ダイエット)の利点が注目されていますね。確かに40歳を超えたあたりから、この考え方を食事に取り入れるのは賢明な事です。
しかし、ある程度の炭水化物や糖質は体の活動性を維持するために必要な物です。糖質制限をして体の脂質を燃やすには代謝のエンジンをフル回転させなくてはなりません。これは即ち、老化を早める事になります。
全く炭水化物と糖質を摂取しないような極端な食生活を何年も送っていると、一気に老け込みますよ。
何事も極端な事を避けて「バランス」を保つ事が大切です。
私も「カーッ」となる性格で、何でも極端にやってしまい、疲れ果ててピタッと止めてしまう方なので偉そうに言えませんが・・・。ジョギングとかゴルフとか色々。
賢明な大人でありたいものです。
皆さんはいかがですか?