昨日は朝から夕方まで大阪の国際会議場に居ました。インプラント学会近畿北陸支部大会に参加する為です。
月別アーカイブ: 2023年10月
玄関ドアだけ金ピカにする?
大阪大学のインプラント科の友人の紹介で、私とほぼ同い年、60歳 の男性が、三田の近隣の市から英保歯科にインプラントの相談に来て下さいました。
「右下の奥歯にインプラントをして欲しい」と(紹介状無しにいきなり)大学病院に行かれたそうで、忙しい大学病院では対応不可能との事で、インプラント学会の専門医である私が指名されたようです。
お口の中を拝見すると、長年、不正咬合と奥歯が抜けた状態に目をつむって、予防歯科学的アプローチをスキップして「悪くなった時だけ、その場しのぎの、その部位だけの治療」を行われてきており、患者様の方もそれを(当然の事・普通の事として)受け入れてきたために、典型的な日本人のお口の見本のような状態になってしまっていました。
英保歯科の価値観で治療をしようとすると、(最低限に見積もって)矯正、歯周再生治療、7本のインプラント、3本のセラミックで、約3年の歳月と400万円程度の費用がかかると説明しました。期間と費用も問題ですが、歯科医師と患者様双方の忍耐と強い想いと根気が要求されます。
60歳の彼の余命が20年程度である事や、治療を受ける忍耐のハードルが高い事を説明し「現実的には、ご近所の歯医者さんで保険の入れ歯を作り替えてもらいながら今後を過ごされるのが良いのでは?」とアドバイスしました。
大学病院に行く前に行った歯医者さんでは「(全体的な治療では無く)抜けているところに2本のインプラントを入れましょう!」と強く勧められたそうです。その案に関して私は「柱が腐って倒壊しそうになっている家屋の玄関に、金色の高価な新品のドアを付けてみても、ただ邪魔になるだけ。それはやらなくて良かったと思いますよ。」と説明しました。
彼は「このような話を聞けて本当に良かった。」と凄く感謝してくれて、検査費用の3000円少々を(快く)支払って下さいました。(良かった。グーグルの口コミで「英保歯科に行ったら上から目線で説教されて、その上お金はしっかり取られた。最低。☆1つ。」と書かれた事があります。まあ、色々な価値観があると思ってリプライせずに放置しておりますが。)
「本当は英保先生に診て欲しいんだけど。」とも言って下さいました。
私は「もうお互い60歳を越えていますよ。お住いの地域で『肌と価値観の合う』歯医者を見つけて一生面倒を見てもらう方が良いですよ。袖触れ合うのも何かの縁でしょう。今回の私のアドバイスが○○さんの今後の人生のお役に立てる事を祈っています。」と答えました。
さて、明日はインプラントの難しいオペがあります。ブログを書くのはこの位にして、CTや資料を見直してイメージトレーニングをしないといけません。では、今日はこれにて。
心に余裕を。そうすると、幸せが手のひらに。
英保歯科は開業当初、英保歯科・矯正歯科という屋号でした。しばらくして優秀な矯正専門医が三田で開業してくれたので、矯正は専門医にお任せしようと決心し、それまで勉強した矯正の知識と技術に封印する覚悟を決めて、屋号を今の英保歯科に変えたのです。
で、まだ矯正をやっていた20年ほど前の話です。フラワータウンに住んでいる大学生で、一生懸命英語を勉強している女の子が「将来、英会話のスキルを活かして海外で活躍したいので、(日本みたいに歯並びが悪いままで許されるような社会ではないので)歯並びをちゃんと直しておきたいのです。」と言って当院を訪れてくれました。
まずは予防歯科の重要性をしっかり説明して、年に3回のメインテナンスに必ず来院し、絶対に虫歯にしないようにと、まあ、教育しました。それから矯正治療を開始しました。
右の犬歯が骨の深い位置に埋まっており、しかも水平になって存在しているという超難症例でしたが、頑張って、どこの歯科医に見てもらっても恥ずかしくないように完璧に仕上げました。
その彼女は大学を卒業後に夢かなって香港に住み、キャセイ・パシフィックのCAとして数年間活躍し、エアラインからキャリアアップした後はパートナーにも恵まれて、現在は東京に住んでいます。
先日、その彼女から英保歯科に電話がありました。「『矯正のリテーナーに違和感が出て来た。東京から飛行機で三田に行くから、どうしても英保先生に診てもらいたい。』との事です。」と受付のスタッフから報告がありました。
私は受付のスタッフに「光栄な事だけど、わざわざ飛行機代を払ってまでウチに?まあ、実家に寄れるだろうから、悪くないだろうけど。」と答えました。
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私 :「わざわざ東京から飛行機で来てくれたの?」
彼女:「ハイ。どうしても英保先生に診て欲しかったので。メインテナンスは東京で年に3-4回受けています。」
私 :「どれどれ。虫歯は1本も無いし、素晴らしいね。流石〇〇さんだね。違和感のあるリテーナーは適切に対応しておくね。」
彼女:「有難う御座います。私、英保先生の事を『第2の父親』的な存在だと思っているんです。今朝、実家の両親にもそう言ってから出かけてきました。」
私 :「おお、それは光栄な事やな。まあ、人生しっかり楽しんで下さいね。」
彼女:「ハイ!」
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その彼女ですが、海外やエアラインといった華やかな世界に身をおいたからこそ見えてきたものがあったのでしょうか?今後は福祉や子育て支援などの(より深遠な)分野で自分の能力を発揮してみたいと考えているそうで、資格取得の為に猛勉強をしているそうです。
長年歯医者をやっていると、悲しい事や辛い事も少しはあるけれど、こんなにジンと来る事を言ってもらえる事や嬉しい事が沢山あります。でもそれは私が More や Bigger を優先しない生き方のスタンスだからこそ、自然に天から舞い降りて来てくれるのだろうと思っています。
「真のミニマリスト」とは「本当の自分に到達した状態」である
長らく不義理をしている先生に贈り物をしようと思って、昼休みにサントアンに行ってきました。その時にたまたま Tune in した 802 に四隅大輔さんという方が出演されていて、お話を興味深く拝聴しました。
四隅大輔さんは私も大好きな絢香さんや Superfly のプロデューサーだったそうです。その後ニュージーランドに移住してサステナブルな生活を送っておられるそうです。
それらの経験から得た知見を「超ミニマル主義」という著書で紹介されています。
幸せになるために、どうしたら良いか? 少なくとも他人との競争に勝ったり、他人より多くのお金やモノを手に入れる事では無い事は確か (The more materialistic, the more unhappy.) だと思うのですが、この書籍ではどのように解説してあるのかな?
この動画を見たり、彼の著書を読んだ後に「ミニマリストとしての生き方」をどう捉えるかは、各個人の価値観によって全く異なると思います。「単にストイックなだけで息が詰まりそう」と思う人や、「これこそ理想的。早速そうしてみよう」と思う人など、色々だと思います。
今日聞いたラジオ放送の中で四隅さんがシンプルとミニマルの違いについてお話されていたのが印象に残りました。シンプルは単に個性の無い状況、ミニマルは色々な事をそぎ落とした結果「自分らしさ」だけが残ってくれた状態で、まさに「自分そのもの」である。つまり、非常に個性に満ちた状態である。といった要旨の内容でした。
昔からミニマリストの傾向がある私ですが、断捨離を行って何年か経ってみると、(手にするのは無駄とはわかっていても)どうしても「もう一度触れたい、手に入れたい」と思うモノやコトが出て来ましたので、この解説に非常に納得がいきました。
こんまりさんも「現状の断捨離をやめた」といった要旨の事を言われていますが、彼女も自分そのものに素直になれる領域まで辿りついただけではないかと、私は思います。
つまり「真のミニマリスト」とは「本当の自分に到達した状態」である。と理解しましたが、皆さんはどう思われますか?
最近「無駄とは重々承知で」買ってしまった車。でも、日を重ねるにつれ「これは無駄な物ではなく、むしろ自分が本当の自分らしくあるために必要な物であって、我慢してはいけなかったんだ。」と強く感じています。昔から車が好きなんでね。この Audi 最小サイズの SUV は往年のゴルフⅡみたいで、もう幸せ。
最近、「人生は短い。断捨離の結果、自分自身や、自分が本当に好きな事が見えてきたら、それをとっとと始めたりそれにお金を使ったりしないと、単に我慢だけをして死んで行くことになる。色々と急ごう。」と、思っております。
淡路島・郡家のビーチでまったり
今日は木曜日で休診です。
愛車SQ2やS660のコンディションを良好に保つ為に、休診日には洗車をしたり、高速道路を一定の巡航速度で走らなければなりません。洗車機とかは使えないし、エンスーは何かと忙しいのです。
そんな訳で、今日は淡路島迄SQ2で行って来ました。
明日から又頑張ります。来週は月曜日が祝日ですから、2日間はトップギアで飛ばしますよ。
「最後の10年分の余力」が残せる歯の予防を
前回大阪で万博が開催された、1970年の男性の平均余命って何歳ぐらいだと思いますか?
大体、75歳位だと思いませんか?
正解は69.31歳だそうです。何と半分の男性は60歳代で死んでいたんですね。
今が1970年なら、私の余命も残りたった8年しかない事になります。
一方、2022年の平均余命は男性が81.05歳、女性は87.09歳だそうです。随分と長生きになりましたね。
これを頭において、予防歯科について考えてみましょう。
1970年なら、死ぬまで、日常の歯の手入れが自分自身で(若い頃と同じように)ちゃんと出来ていたはずです。
2023年の今は(80歳を超えた頃から様々な体と頭の機能が低下するので)最後の10年位は歯の手入れがちゃんとできなくなってしまうと考えられます。
若い人には想像もできないと思いますが、80歳を超えると、一生懸命に若い頃と同じように歯の手入れをやろうとしても、体や頭がついてこないのです。しかも唾液量も減るので、ますます虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます。
そのようになると、どうしても80歳を越えた頃から「歯がどんどん悪く」なっていってしまいます。これは仕方が無い事なんです。
この最後の10年の間に歯がどんどん悪くなってしまっても、「死ぬまで何とか苦労なく噛める」ようにするためには、70歳の頃に(今後歯の状況が悪くなっても大丈夫なように)ある程度の余力・余裕を持った状態を保っておかなければなりません。解りますか?これが今日私が言いたい事なんです。
そのためには60歳の頃にはどうにか何でも苦労なく噛める状態、40歳の頃にはほぼ問題のない状態、20歳の頃に至ってはほぼ虫歯ゼロの状態でなければならないのかも知れません。
どんなにボロボロになっても、あなたは一生その歯と付き合っていくしかないのです。歯は売っていませんから。お金を出して買えるのはしょせんインプラント止まりです。
70歳の終わりに「最後の10年分の余力」が残せるような、余裕のある歯の予防を目指して下さい。その位に思っておいても、人間は弱くて愚かなものですから、丁度、何とかなる位になるのです。
若いうちから歯を大切に、いたわって使って下さい。80歳を過ぎてから死ぬまでの生活が楽になりますよ。
人生色々あるけれど
自分の過ごしてきた人生を振り返ると、想像していたよりも全然輝いていないなと悲しくなる事がありませんか?
私もそうです。
自分はアメリカで国際的な医師として活躍し、国際結婚するという夢があったのですが、周囲からの同調圧力や周囲の人々からのプレッシャーに屈して、(思い通り羽ばたく事が出来ずに)普通に日本人の女性と結婚して普通の町の歯医者として平凡な日々を送っています。
日本で歯医者をやっていくのは本当に大変です。歯医者の数もコンビニより多く、「歯医者の患者様は神様だ」と思っている方も少なからずおられます。(正確には、英保歯科に於いては「おられました」です。8年前に看板を取っ払ってから状況が激変しておりますので)
ついつい「俺の人生ってこんなはずじゃ無かった」とか、現状に対して「これがイヤ」「あれがイヤ」と思ったり口にしたりしてしまいがちです。
でも、よく考えてみたら、いくらそんな事を思ってみたり、考えてみたり、ブツクサ不平不満を言ってみても、現状が変わる可能性は1ミリもありません。
結局、幸せになるためには「何も言わずに、大き変化を起こすための行動を起こすか(男は黙って実行するのみ。女でも)」「現状を変える勇気が無いなら、現状の中で良い点だけを見て肯定的に、前向きに生きるのか(置かれたところで咲きなさい)」の2択しかないのです。
私は現在の所、英保歯科を閉院したりしてまで自分の生活を変える勇気が無いので、「今の人生の中で良い点だけを見て生きていく」事にしました。昨夜布団の中で思いついてからなんですけどね。
子供達が羽ばたいていって、歯医者をリタイヤして、全ての責任が無くなった時には、大きな変化を起こすかも知れないので、英会話の勉強は(細々とですが)続けておこうと思います。
海外移住の野心は還暦過ぎても未だに消えず。