お客様とのお付き合いを重ねてゆくと、私のブログについての感想や、自分自身や自分の家族の事について自らお話して下さるようになってきます。心を開いてもらっているようで嬉しいな、有難いなと思って拝聴しています。
日本はほぼ単一民族が住む安全な島国なので、いまだに「黙っていても理解してもらえるはずだ」という「浪花節」(演歌の世界)で生きている人が大半なのですが、米国のような多民族・銃社会の国では「自分はこういう価値観を持った人間で、あなたの人生や生命に危害を与える可能性が無いですよ。」とお互いに表現し合う努力をします。浪花節が通用しないのです。
例えば、米国で開催される学会に参加した時、隣の席に座って来た初対面の人が私に向かって握手の手を伸ばしながら「私は○○です。宜しく。」と(美しい歯を見せながら)笑顔で話しかけて来てくれます。早朝でまだ目が覚めていない時でも、ちょっと頑張って相互理解の機会を作ってくれるのです。
これをスモールトークと言います。宗教や年齢、既婚未婚などのtouchyな話題を避け、楽しく上品な話題で数分の短い会話を行い、お互いの相互理解を助ける行動です。浪花節の日本人はこれが非常に苦手で、私も(言葉の壁もあって)米国での学会では汗だくになりながら悪戦苦闘しています。
バブル時代の終焉までは良くも悪くも日本国中、ほぼ全員がお祭り騒ぎで、まだまだ浪花節が通用していたのですが、バブル崩壊後は教養(≠学歴)の格差と価値観の多様化が日本国内でも爆発的に起ったため、「黙っていても解り合える」ような演歌の世界は消え去ったと思っています。
歯科医療に於いては価値観の相違が大きいとお客様を幸せにして差し上げる事がしばしば困難になります。ですから、お客様の声に耳を傾け、お客様とのスモールトークを通じてお互いの価値観を確かめ合う事は楽しみでもあり、大切な事でもあるのです。