大失敗・・・。

毎朝フィリピンの先生に英会話を教えて頂いているのですが、コロナの影響で出勤できる先生の数が激減し、初めて出会う先生に担当して頂く事が増えました。

先日偶然担当して下さったのは20代前半の男性の先生で、教え方も上手で良い先生だったのですが、前歯がひどい虫歯で、歯科医師の私はそれが気になって気になって授業に集中できず、正直、英会話どころではありませんでした。前歯を失うと発音に影響が出て、職を失う事になりかねないと若い彼の将来を心配したからです。

授業の後に非公開のメッセージで「早目に歯をなおした方が良いですよ。」と送った事が悪夢の始まりでした。
「歯の事は自分でも気が付いている。しかし私の外見は私の英語教育能力とは関係が無い。あなたに degrade(~の体面を傷つける)された。」と激怒の返信があり、私は即座に「実は、私は歯科医師で、貴方の外見や見た目では無く、貴方が歯を失っていく事にって英語の発音に悪影響が出る事を危惧してコメントしたのです。傷付けたようで、心から謝ります。」と返信しました。

自分には国際感覚がある方だと慢心していたのが失敗の原因です。国民皆保険制度で守られた、裕福で平和な国、日本に住んでいる日本人の感覚でうかつに発言してしまったのです。
オンライン英会話の先生方のほとんどは、実は驚くほど貧困で、家にシャワーすら無い人も多いのです。海外では、歯をなおすにはかなりのお金がかかる事をうっかり忘れていました。

日本人が使い古して捨てるようになった総入れ歯を集めてフィリピンに送るボランティア活動があるのを御存知ですか?その入れ歯をどうすると思いますか?想像を絶する世界です。

そのような国の人達でも、日本の大学生ですら知らないような難解な単語も良く知っているほど英語能力は高いのです。「彼らの将来が歯を失う事によってダメになるのはもったいない。フィリピンでも予防歯科を普及できないものか?貧困な国にこそ予防がピッタリなのだが。」とも思いました。

その一方で、正直なところ、(目の前に彼が現れる訳が無いのですが)なぜか非常に強い恐怖心を覚えて、それ以降オンライン英会話の授業を受ける事ができていません。メールの強烈な文章がかなりのトラウマになったようです。SNSでディスられて自殺する子供の感覚が理解できました。

日々の診療に於いても相手を傷付けないように言葉を選んで発言しなければと反省した次第です。「歯の大切さに気が付いて欲しい。将来の苦悩から救ってあげたい。」と思うのは私の勝手なのですから。

でも、こんな性格だから、ついつい熱く語ちゃうんですよね。このブログのようにね。