「必ず保険の範囲内で」≒「カップラーメンしか食べません」かも

誤解のないようにお断りしておきますが、今回のブログの内容は「保険の治療は全然ダメで必ず自費治療を選択して下さい。」という事ではありません。実際に英保歯科でも、お客様の治療費の総額を抑えて経済的負担を減らすために保険の銀歯を使う事はよくあります。インプラント2本で100万円近い出費になるのに、それに加えて他の歯は全部セラミックになんて、三田の歯医者では現実的ではありませんから。

今日、こんな事がありました。

「奥歯の銀歯の所が痛いんです。しみるっていうより、咬むと痛いというか、何か変。診て頂けますか?」との主訴で来院された英保歯科のファミリーのお客様。

私:「拝見しますね。どれどれ・・・。」

右は10年以上前に他院でやってもらった保険の銀歯。よく持っています。突っ込みどころはありますが、概して良い治療がしてあります。
左は数年前に当院で治療させて頂いたジルコニアセラミックの被せです。

私:「銀歯の所の歯肉に炎症がありますね。写真を撮って説明させて頂きますね。」

保険の銀歯は昭和の時代からずーっとパラジウムという、ロシアから輸入されているメタルが使われています。昭和の昔はパラジウムが安かったから「この金属、安いし悪くないから、ゴールドの代替金属として保険の歯の治療に使おう。」と当時の厚生省が決めたんですね。それが(日本らしく、変わる事ができずに)ずーっと使われ続けているのです。現在の状況下でパラジウムの価格はべらぼうに高騰しましたが、確かに歯の治療に使うのには「悪くない」んです。

左右の歯肉を比較して下さい。色やブヨブヨ感の違いが判りますでしょうか?

日本人にはパラジウムアレルギーが突出して多い事が明らかになっています。理由は何でしょうか?
厚生労働省は最近、相次いで CAD/CAM 冠というプラスチックでできた被せやチタン合金製の冠を保険導入させました。でもこれらにはまだまだ技術的な問題が多く、理想的なパラジウムへの代替法とは言えない状況です。

今は何でもネットで検索できて、事実を知る事ができる時代です。今回の内容も同様に調べれば解る事です。

あなたの体に何を入れて欲しいのか、自分自身で調べてみて、考えて、歯科医師と相談する努力も、多少は必要かも知れません。今のウクライナの状況ではありませんが、安全や健康は「ぼーっとしていても、誰かがくれる」ものではないのです。

元々そこにある自分の歯が一番安全です。ですから、とにかく予防に努めて下さい。予防すればタダで最高のものを手にし続ける事が出来るのです。