S660オーナーが語る中古車選び:マイチェン前後、買うならどっち?

最初に結論を言います。「開発者の魂を感じたいなら前期型(センターディスプレイモデル)を、ラグジュアリー志向ならマイチェン後のナビ付きを選択」して下さい。

S660の新車購入が不可能になった現在、入手するには中古車市場に出回っている約700台の中から選択しなければなりません。私は今月2回目の車検を受ける5年落ちのマイチェン前のモデルを所有していますが、運よく最終生産モデル購入権の抽選に当たったので、4月から当面の間、新旧2台持ちという「変態」の仲間入りを果たす事が出来そうです。光栄な事です。

ホンダの変態さん再登場 ホンダ S660 前期・後期マニアな比較
こちらの方も前期と後期の2台持ちの変態だそうです。

当然ですが、後期型の方が色々と改善されているようです。後期型は乗り心地が劇的に良くなって(マイルドになったらしい)、シートヒーターも付いているので「快適に乗りたいなら後期型一択」だと思います。センターディスプレイから換装すると「傾いている」と評判の悪いナビも後期型のナビ設置仕様車はまっすぐに設置されるようです。灯火類もクリアレンズになってモダンな感じです。

ただ、後期型はフロントガラスの枠がボディと同色になってしまいました。これは工程を減らしてコストダウンするためだと思われます。

しかし、後期型からは「ある匂い」がプンプンしてきます。販売のテコ入れをする為に当初の開発陣以外の人達の意見が入ってしまった事が伺われるのです。

「乗り心地はもっとマイルドにしないと売れないよ。こんな時代に硬いサスなんて古い、古い。」
「灯火類はもっとガンダムにした方がカッコイイよ。その方が受けるよ。」
「シートヒーターを付けて快適にしたらもっと売れるよ。左右のシートの色が違うなんて必要無いよ。そんな変な拘りは誰も興味が無いよ。」
「いくらスポーツカーでも、ナビが付かないようではダメだよ。テレビが見れないとデートもできないよ。」
「ハンドルにもアルカンターラを巻いてソフトにした方が高級感があって売れるよ。」
「フロントガラスの枠を黒にする為にコストをかけるなんて無駄だよ。誰も見てないよ。」

なんて言われたのではないでしょうか?
会議の間、当初の開発陣は下を向いて唇を噛み、帰りには旧スタッフでやけ酒を飲んだに違いありません。

そして帰宅後、
「スポーツカーには乗り心地なんか関係ない。足が全てだ。」
「灯火類はスパルタンであるべきだ。透明なんて、飴じゃあるまいし。」
「冷え切った車内は道場みたいなものだ、スポーツカーだぞ。」
「男の話を聞かずにテレビを見たがる女なんかをエスロクの助手席に乗せるな。そもそも車好きならナビなんかに頼らずに動物的勘で走れ。」
「ハンドルは本革だけであるべきだ。アルカンターラ巻いたF1のハンドルなんて聞いた事ないぞ。」
「色の付いた窓枠のせいで車高が高く見える。不本意だ!ああ、不本意だァァ!」
と、空の水瓶に頭を突っ込んで叫んだはずです。

私は本物の S660 と呼べるのは前期型だと思っています。上で紹介したYou Tube に出て来るホンダ変態さんも「前期型は貴重なのでカバーをかけて保管しておきます。後期型を日常の足に使います。」と言っておられます。私もそうするかも知れません。

私にそそのかされて前期型の初期モデルを買った場合、ホンダでヘッドライトモジュールを改善型に無償交換してもらう事が可能なはずです。私は(ディーラーさんからの提案で)そのようにして貰えました。ホンダさんは時々「損得勘定一切ナシ、採算度外視」で車好きの我々の期待以上の事をやってくれます。
最近経営方針が変わったようですが、HONDA DNA が変わらず引き継がれる事を切に願って止みません。

という訳で、「前期型か後期型か?」問いに対する独断と偏見に満ちた回答で御座いました。

でも、こんな事言いながらも後期型を注文しちゃいました。シートヒーターがあるといいなと思って。(S660 は後ろにエンジンがあるので暖房がとっても効きにくいのです。)

先で後期型だけ持っていたら、本当にごめんなさい。