「院長日記」カテゴリーアーカイブ

リノベ(4・完):リフォームの光と影

私が33歳の時に建てた英保歯科の造作の装飾や丁寧な仕上げを、25年後の今現在に見た時に、「同じ職人として、この見事な仕事をやってくれた大工さんを尊敬するなァ。今頃何歳になっておられて、どうされているのだろう?」などと思ったりします。

今回のリフォームでもそうですが、そういった造作にも容赦なくメスが入ります。苦楽を共にしてきたこの造作が、あっさりと壊されて、捨てられて行くのを見ると、非常に複雑な心境になります。確かに新しくはなるんですけどね。

「英保先生、今回、院長室を大掛かりに改装して良かったと思っていますか?」という質問に対しては、「プラスマイナスを差し引きして、ややマイナスです・・・。」が正直な答えです。

このような葛藤や後悔を「予防」する方法がないか考えてみました。

①なるべく大掛かりなリフォームはしない。大掛かりに触ると見違えるほど奇麗にはなるけど、自分や家族の人生の思い出が完全に消し去られてしまいます(今回の私の経験から)。キッチンやお風呂等の水回りを交換して、壁紙を変えて、照明をLED に替えれば十分で、その方が良いかも。

②今の時代、不動産は負動産。高品質でコンパクトな家なら将来の改装の費用もコンパクト。私が今診療所を建てるとしたら、きっとミニマリストサイズにするでしょう。「家(負動産)を持たなければリフォームの悩みも無い」という極論さえ思い浮かびます。

まあ、やっちゃった事は仕方ない。私は「ここから新しいダイアリーが始まる」と思って、前を向いて行く事にします。

皆さんは慎重にお願いしますよ。頑張ってね。

リノベ(3):耳を傾けてくれるかどうか?に尽きる

リノベの業者選びも歯科医院選びと同じだと思います。つまり、友人知人が絶賛する業者でも自分には合わないという事が起こり得ます。それは何故でしょうか?
ある人は「アパート程度の簡素な内装で良いのでとにかく安い方が良い」と思うでしょうし、ある人は「体に優しい材料を使って、丁寧に仕事をしてくれるなら少々高くなっても・・・。」と思うでしょう。お客様の方にその辺の価値観の違いがあるのに、多くの場合は「あそこは良い、あそこは悪い」という一言で表現されてしまうからなのです。

歯医者選びと同じだね。

費用がとても安いのに、高級な材料を使って、丁寧な仕事をしてくれる業者は無いのです。高級な材料を買い、職人に丁寧な仕事をしてもらうための知識と技術と時間を買えば、自ずと総額は上がります。逆も真なりです。

歯医者選びと同じだね。

よく「少なくとも3社から見積もりを取りましょう」と言いますが、見積もりは値段よりむしろ、業者さんの哲学や価値観や人間性を見積もるのです。

まずはHPや友人の口コミなどから、その業者さんの価値観や哲学を知る事から始めると良いと思います。HPをご覧になる手間を惜しんではいけません。HPの行間には業者さんの哲学が垣間見え、社長のブログの行間には彼・彼女の価値観が滲み出ているはずですから。

そして実際に会ってみて、彼・彼女らがあなたの声について真摯に耳を傾けてくれるかどうかを確かめるべきです。むしろこれが全てではないでしょうか?

これも歯医者選びと同じだね。面白いね。

リノベ(2):業者選びは歯医者選びとそっくり

今回の私の経験から皆さんにお伝えしておきたいキーポイントは、「今の時代、建築やリフォーム、塗装業者さんなどの選択には、歯科医院を選ぶ時の考え方がそっくりそのまま当てはまる」という事です。覚えておいて下さいね。

建築業も歯医者も、材料を使って形ある物を作って報酬を頂くという点では同じです。(ちなみに、米国では歯科医師の事を面白おかしく表現する時に Tooth carpenter (歯の大工)と呼んだりするそうです。)

そして、実際の作業が一旦進み出すと中断は難しく、また、原状復帰は絶対に不可能で、やり直しも現実的にはほぼ不可能という点も歯の治療と良く似ています。

歯医者にもブランディングした大手歯科医院があるように、リフォーム業者にも大手で広告をバンバン打っている所がありますね。
また、小さな歯科医院にも色々な所がありますが、これも工務店さんなどと同じですね。

歯医者選びと同様に、皆さんも家を買ったり建てたりリフォームしたりする時は「慎重になってなり過ぎる事は無い」と思います。
同じ高価な買い物でも車は丸ごと買い替える事ができますが、家は歯と同様に「ずっと付き合わざるを得ない事がほとんど」だからです。

リノベ(1):3回も無理だって!

リフォームの話です。

私の父親は高度成長期の人でしたから、隣接する土地が売りに出たら買って、家を増築したりしていました。中学生になって寮生活をしていた私は、久しぶりに家に帰ったら家の外観などが変わっていて、驚いたり、疎外感を感じたりした事を覚えています。
その父親が「なかなか思ったようにならん。家は3回立て替えたらやっと満足できるものができると言うんや。」と言っていた事を覚えています。そんなアホな事言っても、普通の収入の人間なら家を1回建てるのがやっとですよね。

25年間慣れ親しんだ空間がドンドン壊されてゆくのは、楽しみ半分、不安半分。

今回のリフォームですが、診療室の改装のついでに院長室にも手を入れてもらう事にしました。
徒歩通勤で診療所にやって来て、そのまま駐車場の掃き掃除をするのですが、今の季節だと汗だくになります。元々サーファーの私は駐車場でポリタンクの水を浴びて車の横で着替えるなんてお手のものです。ですから、去年まではテラスで水道の水を浴びて体を冷やしていたのですが、お隣にコンビニも出来ましたし、さすがにこの歳ではその姿も似合わなくなってきましたので、この機会にシャワールームを設置してもらう事にしたのです。

更に、25年間使ってヨレヨレになったオフィスキッチンも入れ替えてもらおうと考えたりして、ちょっとした秘密基地作りのようでワクワクです。何にでも拘る私はネットで色々と調べて「ここはこんな風にしてもらって、あそこはあんな風にしてもらって・・・。」と自分なりに色々と考えていました。

古い設備を断捨離しました

診療所の改装工事をしてもらっています。

今から25年前、私が33歳の時に三田の英保歯科を開設しました。診療所の規模や設計については私の父親の歯科医院を参考にして自分でゲラを書き、理想的なレイアウトにしたつもりでした。

10年ひと昔と言いますが、25年も経つと歯科医療も浦島太郎のように変化します。そこで、器具洗浄室や技工室の周辺を今の歯科医療の実状に合わせたレイアウトや動線に変更する事にしたのです。

何年も使っていない(高額)医療機器や、ほとんど使っていないエアコンなど、かなりの量の設備を断捨離してスッキリです。そういった設備モノはこんな機会にしか捨てられませんからね。購入時価格で考えると恐らく300万円相当は破棄したと思います。買わなきゃ廃棄のための費用すら不要だったと思うと悔しいですね。特に「大きなもの」はポチッとする前に良く考えないとダメですね。

大工さんに無理をお願いして、既存の家具を上手に流用してもらう予定です。

工事はほぼ完了したのですが、今回の改装工事の経験から色々と学んだ事が多かったので、次回からその辺についてお話してみたいと思っています。皆さんがご自宅をリフォームされる時に役に立つかも知れませんので。

台風一過の青空のように

やっと台風が去って、今日は本当に良いお天気です。久しぶりに自転車での通勤でしたが、爽やかな青空に顔を上げて、何度も深呼吸をしました。

地球環境問題や中国の軍事勢力拡大など嫌な事が多い今日この頃ですが、次の世代の子供達にはこの綺麗な青空のような希望ある未来を残してあげたいものです。

う蝕検知液の使用はMUST!

私がお客様の虫歯の治療をさせて頂く時には、防湿装置と「う蝕検知液」を必ず使うようにしています。今日はう蝕検知液についてご紹介しますね。

保険の銀歯の下側の歯に穴があいてきています。
銀歯を外してみたところ。いつもの事なので別に驚きません。
7割方、悪いところを削りました。雑にやると神経(青矢印)に当たっちゃうので、この辺から「う蝕検知液」を使って慎重に削って行きます。
う蝕検知液という赤い液体を塗って洗い流したところ。このように虫歯菌に感染している部分が赤く染まります。う蝕検知液を使えば虫歯菌の取り残しが無くなるし、歯を削る量を最小限に抑える事ができます。
神経に当たらずに、虫歯菌に感染している部分を完全除去する事ができました。う蝕検知液って凄いでしょ?(白い丸は神経ギリギリの所。でも何とか神経は見えていません。寸止め成功です。)
詰め物のベース(基礎部分)を重合収縮の少ないコンポジットレジンで作りました。これから削って型を取り、セラミックオンレーというものを作って行きます。

こんな風にこだわってキチッと治療をすると、素人目から見ても、結果が良さそうに思うでしょ?

早く気が付いて、日本

英保歯科にプロの表現者(アーチスト)が通院されています。大きなシアターで芸術的なパフォーマンスを見せて、魅せる仕事です。
昨日、その彼女が「銀の詰め物が取れた」との事で来院されました。今回は銀歯ではなく、コンポジットレジンを使って綺麗な白い歯に修復してあげましたよ。

ただ、お口の中を見渡すとあちこちに銀歯の詰め物や被せがしてあります。「プロのアーチストの口が銀歯だらけ・・・。日本って・・・。」と心の中で溜息をつく私。

①予防歯科の概念がもっと普及し、日本社会(日本人)がそれを実践していたら、彼女の歯はすべて真っ白の無垢の歯だったはず。
②お客様の社会的な立場に想いを馳せる余裕すら無い日本の歯科医師事情。虫歯を削って保険の銀歯を詰めるだけで、時間的にも経済的にも精神的にも精一杯。

次期総理大臣がどなたかは存じませんが、日本が少しでも良くなるといいですね。

土曜日らしい土曜日でした

今日は土曜日。本当に忙しかった。今日も例によって昼食を食べる時間さえ無く、家族が待つ自宅に帰って4時半頃にお弁当を開きました。塾に行く子供の早めの夕ご飯と一緒になる始末です。
「日本国民の2%に支持されれば上出来だ。」と思ってやっている歯科医院ですが、こんなに沢山のお客様に来て頂けて本当に有難いなと感謝しています。
7時前には家族と晩御飯を食べてお風呂に入ってそのまま布団へ直行、バタンキューです。

数年前に「私の考えに心底共感してくれる人のためだけに私の人生を捧げよう」と決心し、英保歯科の看板を取っ払うと同時にブログで思いを綴り始めました。その結果、最近は英保歯科と価値観の合う方だけが来院されるようになり、「歯医者になって良かった」と心から思えるようになりました。

自分のためなら絶対にここまで頑張れませんが、皆さんのためなら頑張れます。だって、皆さんは私の「ファミリー」なんですから。

磨いた自己には自信を持て

お隣のけやき台こども園の送迎に駐車場を使って頂いているのですが、「駐車中は許可証をフロントガラスの所に提示してハザードを点灯しておいて下さい」というルールを設定しています。
私が毎朝、白いTシャツとジーンズと長靴で汗だくになって駐車場の掃き掃除と草引きをしていると、若いご両親や子供たちが「いつも有難う御座います。本当に助かります。」と挨拶して下さって、元気を貰っています。

ところが今朝、許可証が無く、ハザードも点灯していない白い車が送迎のために止まっていたので、注意しようかどうしようかと思案しました。いちいち目くじら立てる程の事では無いのですが、当院の駐車場に無断駐車されて黙っているのも変な話です。

お父様が車に戻って来られたので話しかけました。
私「ここは英保歯科の駐車場です。許可証が無い方の駐車はご遠慮頂いています。」
男性「許可証は持っています。今日は忘れて来ました。」
私(冷静に)「許可証を提示してハザードを点灯させる事ができる時にだけ使って下さい。そういう約束で、それがけじめですから。」
男性「あ・・・。ハイ・・・。」

皆さんならどうされますか?和を保つために何も言わない人が大半でしょうが、中にはカッとなって声を荒げて注意する人もいるでしょう。

私はこの出来事を振り返って、「やっぱり言って良かったな。」と思いました。その理由?この歯科医院の先生が、どういった価値観を持っており、何を大切と思って生きているかをこの男性に伝える事ができたからです。(勇者の和

日経新聞より

皆さんも怖がらずに、頑張って磨いた自分の、その自分らしさを堂々と見せて生きてみて下さい。数年もすれば自分に合う僅かな数の人だけが残ってくれて(人間関係の断捨離)、今までの対人関係のストレスが嘘のように無くなりますよ。