根面う蝕(こんめんうしょく)の治療について

日本が長寿大国になった事は喜ばしい事ですが、令和の現代病とも呼べる「根面う蝕(こんめんうしょく)」という虫歯が高齢者に発症して、患者様も歯科衛生士も歯科医師も頭を悩ませています。

少し前のブログにも根面う蝕について解説しましたので、是非読んでみて下さい。↓

根面う蝕は令和の新しい現代病?


今日はその治療の実際をお見せしたいと思います。患者様は82歳の女性。「自分の足で歯科医院に通える年齢の間になおしておいて欲しい」というご要望です。

↑これが根面う蝕です・・・。


こちらの女性、歯磨きはとても綺麗にされていますし、3か月毎のメインテナンスにもちゃんと来院されています。それでも、年齢と共に唾液量が減ってくると露出した歯根がこのようにとけてきてしまいます。まずはしっかりと原因を説明して、削って詰めてもその周囲から根面う蝕が再発する可能性が高い事などをお話し、全て納得の上で治療を受けて頂きました。

根面う蝕は必ず歯肉の中まで進行しているので、麻酔後に「歯肉圧排(※)」という操作をしてから治療をします。(※)歯周ポケットの中に専用の糸を挿入して歯肉を押し広げる。青い線の所に直径 0.8mm 程度の糸(歯肉圧排糸)が入っています。

虫歯の部分を慎重に削り取ります。

コンポジットレジンを充填して、歯肉圧排糸を撤去して治療完了です。

とりあえずは綺麗になったのですが、根面う蝕の原因(=唾液量が減っている事)を取り除く事は困難です。しばらくすると、またこのコンポジットレジンの周囲から虫歯が再発する確率が高いのです。悩ましいでしょ?

なお、漢方薬では麦門冬湯(バクモンドウトウ)というお薬が「潤す」薬として有名です。ドライマウスにも有効だと言われています。