季節のパワハラ


今日は節分ですね。巻き寿司の丸かじりが季節の風物詩(?)になっています。個人的には企業の商売に付き合うのが嫌なので、ハロウィンもバレンタインも、この恵方巻も興味が無いのですが、恐らく多くの家庭ではこの「季節のプチイベント」を楽しまれる事でしょう。

ところで、総入れ歯の人がこのイベントに笑顔で参加できるかどうか考えた事がありますか?
例えば、たまたま節分の日にミドルエイジ方々の集まりがあって、だれかが「今日のお弁当は巻きずしの丸かじりを用意しておきましたよ。皆で“ガブリ”を楽しみましょう!」と言ったとします。
何割かの方は健康な歯を見せて大笑いしながら「よっしゃ!やろうやろう!」と言うと思いますが、何割かの方は、表情を曇らせてうつむき加減になると思います。

困った顔になる人は、

①総入れ歯が入っていて、ガブッとやったら入れ歯が飛び出してバレてしまう。というか、そもそも総入れ歯では巻きずしをガブッとできない
②前歯に部分入れ歯が入っていて、ガブッとやったら入れ歯が前にズレてバレてしまう
③前歯が差し歯かブリッジになっていて、「今度壊れたら、もう修理ができないので抜いて入れ歯にしましょう」と歯科医師に宣告されていて、怖くて前歯が使えない
④歯周病が進行して上下の前歯がグラグラになっており、がぶっとやった拍子に公衆の面前で前歯が抜けてしまう恐れがある

ような人達です。

これらの人達は、予防歯科という概念に触れる機会が無いまま年月を過ごして、気の毒にこのような状況になってしまった人達です。もう(インプラントにする以外は)二度と恵方巻を丸かじりできるようになる術(すべ)はありません。

あなたやあなたの家族が、一生、絶対にこの「弱者」にならないと自信を持って言えますか?
そんな事、考えた事も無いのでは?

このブログの読者なら大丈夫。正しい予防歯科を実践さえすれば、一生恵方巻を丸かじりできますよ。

一つお願いがあります。相手の弱点を配慮せずに、無理難題を押し付けるのは、「パワハラ」ですよね。あなたが健康な歯を持っていて「丸かじり」できても、顔を曇らせている人の前でドヤ顔するのではなく、黙ってそっと包丁を持って来てあげる優しさを忘れないで下さい。歯を失ったつらさは想像以上のものなのです。
「相手の気持ちがわかる事。それが教養(養老孟司)。」なのですよ。