「先生、これって虫歯ですか?乳歯?永久歯?3人目の子供がお腹から出てくる前に診てもらっておこうと思って。」
妊娠最後期のお母様が6歳の長女さん(と次女さん)を連れて、時間通り来院して下さいました。天気が悪い中、身重で二人の手を引いて大変だったでしょう?お子様達に対する深い愛情を感じますね。素晴らしいね。
「どれどれ、ちょっと見せてね。」と私。長女さんのお口の中を拝見すると、下の写真のような感じでした。
新しく生えてくる永久歯は乳歯より少し黄色いのが普通で、「先生、新しく生えてきた前歯の永久歯の色が黄色いので心配です。」との質問はしょっちゅう受けます。
でも、今回は少々問題が複雑です。生えて来た6歳臼歯の表層が上手い具合に出来なかったようです。エナメル質形成不全ですね。ご覧になってわかるように、残念ながら色合いが通常より褐色ですし、残念ながら強度も通常より弱いのです。
歯の最表層はエナメル質と呼ばれ、ハイドロキシアパタイトと言う固い構造で出来ています。生えたての歯はこのアパタイト構造の成熟が不十分なので、まだカチカチではありません。でも、そこにフッ素(正確にはフッ化物)を上手く利用すると、ハイドロキシアパタイトがフルオロアパタイトになってくれて、虫歯菌の出す酸に非常に負けにくい強度にアップします。フッ素コートをイメージしてもらったら解りやすいと思います。
最近の若い人の虫歯が激減している理由の一つは、マーケットで普通に販売されている歯磨きペーストのほぼ全てにフッ素が添加され出したからなのです。
エナメル質形成不全のこの6歳臼歯ですが、気にならなくても、悲しんでも、とにかく何があっても一生この6歳臼歯と付き合っていくしかありません。
でも、大丈夫ですよ。対策はあります。
おやつは時間を決めて一日一回。冷蔵庫にジュースを買い置きしない。この歯にホームジェルを毎晩塗り込めば、そう簡単に壊れたりしませんから。
これを機会に食生活習慣を見直して(ジャンクフードを断捨離して)、3人のお子様の歯だけでなく、体も心も健康に育てて上げて下さい。
告白すると、食生活習慣については「おまえの家族ゆう」なんですけどね。
・・・。ゴメンナサイ!