とんでもない!

予防歯科という概念がなかなか伝わらずに、「痛いときだけ歯医者に行く」女性のお客様が数年ぶりにお見えになりました。
81歳になられたそうですが本当にお元気そうで、しっかりと歩かれて、理解力も完璧ですし耳も良く聞こえています。

随分治療がされていて、パッと見はくたびれた感がありますが、81歳なんですよ。優秀なほうです。歯肉も数年間お手入れを受けていないのに、結構きれいな状態です。
ご自身の歯も沢山残っています。24時間いつでもコンビニでおやつ(ジャンクフード)が買えてしまう今の若い世代の人が81歳になった時にこれだけの歯が残っていますかね?

しかしながら、今回の御来院の理由は「歯を積極的に抜いて入れ歯に替えて欲しい。」とのご希望でした。
話を聞くと「体があちこち悪くなって入院した時に、同室の人に自分の口臭で迷惑をかけたくない。母親が入院していた時に隣の人の口臭がひどかった経験があり、今から入れ歯にしておいたら清掃が容易なので良いかと思って。介護をしてくれる若い人に迷惑をかけたくないので、そのようにしたい。」
との事でした。
私:「今の歯があるからそんなにお元気でしっかりされているのですよ。歯を抜いてしまったら本当に寝たきり入院になりますよ。

たった年に3回で良いので、衛生士の先生の予防歯科治療を受けて下さい。今の歯を大切に使っていれば、一生入院なんてなりませんよ。私が保障します!」
彼女:「何だか先生の催眠術にかけられたような感じで、心配していたことが吹っ飛んでしまいました。衛生士の先生のお手入れを受けて自分の歯を使えるまで使って、ピンピンコロリで行きます。」
私:「歯を抜いたら、歯の事での迷惑は若い人にかからないかも知れませんが、副産物として生まれる状況で経済的・人的に余計に迷惑がかかる可能性がありますよ。若い世代の事を思って下さるのでしたら、とにかく自分の歯を大切にして下さい。」
彼女:「良く分かりました。」

持って生まれた自分の歯を大切にする事が、社会的な視点からもどれだけ意味がある事かわかりますね。