昔、他の歯科医院で前歯4本をセラミックで治療したとの事ですが、向かって右の前歯の歯茎が腫れています(根っこの先のあたり)。
こちらのお客様は、英保歯科に予防のためにずっと通院されているお客様でお互いの信頼関係は充分確立されています。
抜歯してインプラントやブリッジという事も含め、治療の選択肢をいくつかご提案しました。何度も何度も相談の時間を取って話し合いました。彼女にもしっかりと考えて頂きました。
最終的には、この悪い歯だけではなく、前歯4本とも 3Di 根管治療とジルコニアクラウン(Basic Class)で治療を受けたいとのご希望が決まりました。4本で総額74万円弱という高額な治療になりますが、こちらのお客様は「自分の歯を長く使う事は、お金をかける価値がある」と判断なさった訳です。
行われていた根管治療は、最近の医療水準からみると少々古めかしい感じがします。腫れている歯の根っこの先には大きな歯根嚢胞がありますね。
金属の土台を外すだけでも大変な労力となります。考えただけで死にそうです・・・。
何回も何回も来院して頂いて、延べ数時間以上かけて、クラウンと金属の土台と中のお薬を全て取り除きました。歯を壊してしまわないように細心の注意を払いながら、顕微鏡を使って少しずつ、少しずつ、行いました。忍耐が必要でしたが、私もお客様も頑張りました。
3Di 根管治療をして、2年後のレントゲン。
病巣(歯根嚢胞)がかなり小さくなっているのがわかりますか?。
何とか無事に2年間が経過しました。74万円もかかった治療ですが、お客様は喜んで下さっています。
この事例から、3つの事が言えます。
①予防をしてもともとそこにある自分の無垢の歯を維持していたなら、1円もかからなかった。虫歯にした事が始まりで、今回のように、お互いの時間を大量に使い、お客様のお金が無駄になった。予防の方がはるかに安全で簡単である。
②初回の治療にある程度の時間とお金をかけて、きちっと行っていたら、困難なやり直しの治療の可能性が低くなった。初回に手を着ける前に、歯科医師がそういった選択肢についても丁寧に説明すべきだった。自分ができないなら他の歯科医院を紹介するという選択肢もあるはず。
③かかりつけの歯科医院として長年通院して頂いているファミリーメンバーなので、高額な治療のご提案でも、信頼し、安心して選択して頂けた。
私も彼女を信頼して、勇気を持って治療を引き受けました。普通の会社なら「この金属の土台を外したりする作業には大きなリスクがございます。申し訳ありませんが、弊社には責任がございませんので、施工した会社にご相談下さい。」と言うのではないでしょうか?
このようなお互いの信頼関係の構築には年単位の時間がかかります。ですから、予防のために通院して英保歯科のファミリーになっておいて頂きたいのです。