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過信は不幸の始まり

ウクライナとロシアの戦争が続いていますが、You Tube でロシア軍の戦車などが爆破されるリアルな映像を見る事ができます。凄い時代ですね。
Ukrainian Ground Forces destroy Russian tanks with precision strikes

「あの戦車の中にも家族のある人間が乗っていて、その人間が一瞬で死んでいるんだ。」と思うと、とにかく一日も早く戦争が終結して欲しいと願うばかりです。

プーチンは「ロシア軍はとても強いので2日でキーウを陥落して戦争が終わる」と思っていたようですが、実際は思っていたほど強くはなく、その過信が不幸を引き起こしています。

過信は禁物といえば・・・。久しぶりに歯の話をしたいと思います。

以前このブログで「人生100年時代がリアルになってきた今、本来の歯の耐用年数を遥かに超えて長期間歯を使わざるを得ない状況になっている」というお話をした事があります。

さて、

①人間の歯は(いたわって使う事無く)何も考えずにガンガン噛んでも85年とか持つほど強いものなのでしょうか?
②歯科治療を受けた歯、特に日本の保険歯科治療を受けた歯の強度は、思っているほど強いものなのでしょうか?
③削りまくった歯や、神経を取った歯の強度は思っている程強いものなのでしょうか?
④保険証を持って歯医者に行ったら、何度でも何度でも歯を修理させる事ができて、全ての歯を一生持たせる事ができるのでしょうか?

え、そんな事、思った事も考えた事も無いですって?

では、ここでいくつかの事例を挙げますので、これらを見ながらご自身で考えてみて下さい。大切な自分の体の事だから、是非自分で考えてみて下さいね。

70歳。かみ合わせも完璧で虫歯も歯周病も無いのに突然✖の歯が「噛むと痛く」なったそうです。
歯が中央からまっ二つに割れています(1)。割れた隙間にニンジンが詰まっています(2)。

この歯は4番という歯で、食べ物を最初にかみ砕くのに使います。なんでもバリバリ噛み続けて70年。そりゃ壊れる事もあるよね。抜いてインプラントという話をしたら「晴天の霹靂でショックです。」との事。私は「本当に気の毒だが、ある意味当然といえば当然の should。70年間も(容赦なく)使ってきたのだから。」なんて思ったりもします。

80歳。6番を抜いてその前後の歯に持たせる形で保険のブリッジをしてもらっていたのですが、奥歯に痛みが出て来ました。
歯の〇で囲んだ所が砕けて割れています。
本来は1のような形の根っこなのですが、2の部分が割れて3にズレちゃってます。

大きく削った歯、特に神経を取った歯は弱いね。この場合、いよいよ抜いて入れ歯かインプラントか放置ですが、80歳といっても一般的には後10年の余命があると思われますので、どうしたものか悩んじゃいますね。現実には抜いて放置となるのだろうか・・・。それでもこの方は8020は余裕で達成しているので、後10年ならそんなに困らず行けるかも。

まだ45歳。✖の歯が「噛むと痛い」との事。神経を取った歯の根の周囲の骨が溶けています(1)。
神経を取った歯にはまれに(日本ではしばしば)この病巣ができます。怖いけどこれが現実なんです。
神経を取った歯は弱い。上の写真の✖の歯は割れてしまっていました(1)。
もう抜くしか仕方がありません。
つるつるだった金属のクラウンがザラザラになる程に「容赦なく」歯を使っておられます(2)。

本人さんにこの写真を見せながら「あなたの歯の使い方」の問題点を詳しく説明させて頂きました。この方の人生はまだまだ先が長いからね。20年先で頭を抱えるようになって欲しくないから。

如何ですか?歯に関しても「過信は禁物」と解って頂けましたでしょうか?

プーチンは自軍が強いと思い込んで多くの兵士を失いました。兵士は徴兵や傭兵で補充すれば新しく入る事は入りますけれども、歯はどうでしょう?

自分の歯や、歯医者が修理した歯や、神経を取ってしまった歯の強度を過信して酷使し、自らとどめを刺してしまい、その結果その歯を失っても(兵士のように)新しく入れる事はできません。代わりがないのです。

柔らかいものばかり食べろという訳ではありませんが、歯をいたわって大切に使い、硬いものを噛む時にも(急激にバリッとやるのではなく)ゆっくりしたスピードでかみ砕くなどの工夫をして「自分の体(歯)は自分で責任を持って守る」ように努めて頂ければと思います。

30年以上歯医者をやっている私の経験からの見解ですが、インターネットの出現によって人々のストレスが増加したので、就寝中の食いしばりや歯ぎしりによって歯を破壊している人が(近年)激増していると感じています。

御自身の歯を200年ピカピカで持たせる必要はありません。100年という長き一生に渡って、虫歯の治療や修理を繰り返しながらでも何とか死ぬまで(ほぼ)全ての歯を維持できれば、それで大・大成功なのです。

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