最近、美容院で歯のホワイトニングができますよという広告が多いですね。
なぜ歯は黄ばんでくるのでしょう?
年齢と共にだんだん歯が茶色くなってくるのは当たり前です。
何年も使い込んだ「素焼き」の白いカップに、茶渋や珈琲が染み込んだ状態を思い浮かべて下さい。歯のエナメル質は、ガラスや金属のような構造ではなく、極端な例えをすると「軽石」や「スポンジ」のように隙間があるのです。もっとミクロな隙間ですが。この「隙間」に赤ワインや醤油などの色素が何年もかかって染み込んで固着するので歯の色が白くなくなってしまうのです。特に最表層には色素がたくさん固着しているのです。
美容院でのホワイトニングと歯科医院でのホワイトニングの違いは「最表層の汚れだけ浮かせて取る」か「構造の内部まで徹底的に取り除くか」の違いです。
歯科医院でのホワイトニングは医療レベルで行われるので、構造の内部の色素に対しても医療の知識を駆使してアプローチします。軽石の内部まで染み込んだ色素を奥の奥まで取り除くイメージです。その結果、一過性に歯がしみる事がありますが、深部まで徹底的に漂白する事とのトレードオフと考えて下さい。美容院の広告では「歯医者のホワイトニングは歯を溶かす」などと悪口が書かれておりますが、歯の構造そのものを損傷する事はありませんし、歯を溶かすような事も一切ありません。スッキリと汚れを抜いてしまった隙間にフッ化物を染み込ませて、歯を強化することさえできます。
医療機関が行う行為としてのプライドがありますからね。
美容院でのホワイトニングは表層の汚れを浮かせて取るだけなのですが、表面だけでもきれいになれば、やった直後は「白くなった」感がありますよね。
歯がしみるような事が絶対に起こらない事からも、表面だけの処理であることがわかりますね。
やっていることは「歯に激落ち君を塗って、子供の勉強机のLEDスタンドで光を当てている」程度だと考えてよいでしょう。サロンでやっているという雰囲気を女性は好むのでしょうがね。
歯科医院で販売しているルシェロホワイトなどのホワイトニング効果のある歯磨き粉を使って歯ブラシをする方が、はるかに安くて簡単できれいになると思いますよ。ブラシで擦れますしね。
美容院の機械は100万円程度で、1回のホワイトニング液の原価は100円以下だそうです。
ホワイトニングをきっかけに100人来店してくれて、そのお客さんが自分のお店の髪の毛の美容のお客さんになってくれたら、宣伝効果として意味があると考えるようですね。
歯科医院は法律で宣伝広告などが倫理的に強く規制されています。時には歯科医院でも美容院まがいの広告を見受けますが、医療の同業者としては尊敬しかねますね。
美容院のホワイトニングが悪いとも良いとも思いませんが、皆さんは正しい知識を持って、何が自分に合っているのか自己責任で判断して下さい。賢い消費者になって下さいね。