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おやすみ。グレコ

今日は診療が終わり次第帰宅して、学級閉鎖で自宅待機中の息子たちと一緒にウサギのグレコを尾添先生の所(甲東動物病院)に連れて行くつもりだったのですが、その必要が無くなってしまいました。

お昼休みに LINE をチェックすると妻からの短いメッセージが来ていました。そこには「グレコが神様の傍に行きました。」と書いてありました。9年の短い寿命でした。

診療終了後に「一刻も早く帰宅したいから、片付けを急いで!」とスタッフをせかしておきながら、いざ車のシートに座ってから、なかなか車を発進できない自分がいました。

「まあ、帰るか・・・。」

子供達が家の駐車場に到着した私の車の気配に気が付いて出て来てくれました。胸には先週甲東動物病院に連れて行った時にグレコが入っていた小箱が抱えられていて、その中で彼女は白いタオルに包まれて静かに眠っていました。

お昼頃、小1の息子がゲージの中での彼女の異変に気付いて家族に知らせ、妻と二人の息子に順に抱かれながら息を引き取って天国へ旅立ったそうです。

昨夜リビングでグレコと一緒にいた時に、いつもより随分長い間私の指を舐めてくるので、「もう解ったから早く寝なさい。しんどいのに無理せんでもエエから。」と言っていたのですが、今から思えば最後のお別れの挨拶を言いたかったのだと思います。その後、グレコと共に成長してきた小5の長男が彼女をずっと撫でてやっていたのですが、そのまま二人でリビングで寝てしまったそうです。

その長男の悲しみの深さは相当なもので、幼い頃から一緒に過ごした思い出を口にしては泣いてばかりいます。

7年前、2才の時のぐっちゃん。

グレコを学校からもらって来た長女に至ってはまだ事実を受け入れられていない様子です。

うろ覚えですが、遠藤周作氏によると、死ぬ時には親や兄弟が傍に迎えに来てくれるので全然怖くないそうです。それを知ってか知らずか、次女が「グレコは御心(みこころ)のウサギだから、きっと今頃、両親や兄弟と一緒にイエス様の回りで嬉しそうにピョンピョン飛び回っているよ。」と言うのを聞いて妻がポロポロ涙を流していました。

誰も夕食の準備をする元気が無いので、ありあわせの物をちゃぶ台に並べて静かにお祈りをしました。ちゃぶ台の下には小さな小箱が置いてあります。リビングのちゃぶ台の下は彼女のお気に入りの隠れ場所だったのです。

小箱の中で真っ白い布に包まれた彼女、今夜はゲージで寝います。かわいい、美しい寝顔です。でも、明日には本当のお別れをしないといけないのです。

まだ夢を見ているようですが、それでも、先週甲東動物病院に連れて行った時に尾添先生から頂いた「年を越せたら、と思っています。」というお言葉のお陰で、私から「グレコはもうお婆さんだから、彼女との一日一日、一瞬一瞬を大切にしておくように。」と聞かされていた子供達も、お別れが遠くない事は予感していたようです。尾添先生、本当に有難う御座いました。

9年間一緒にいてくれてありがとうグレコ。神の下で安らかに眠れ。

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