「実際の治療例や関連情報」カテゴリーアーカイブ

体重の3倍

歯科の3大病は「虫歯」「歯周病」「咬み合わせ病」です。
咬み合わせ病には「歯並びが悪い」だけでなく「寝ている間の無意識な歯ぎしり・食いしばり」があります。
寝ている時の歯ぎしり・食いしばりは、歯に体重の2〜3倍の荷重をかけると言われます。例えば、体重60kg の人なら180kg の荷重が歯にかかっていると考えてみて下さい。
長年、毎晩毎晩それが続くと、あの硬い歯でも耐えられません。少しずつクラックが入って、そしてある日突然、何の前ぶれも無く「バキッ!」と。

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一番奥の歯(7番・12歳臼歯)が突然割れてしまって来院されました。寝ている間の歯ぎしりや食いしばりが原因である事を上手に説明しなければなりません。

このように、虫歯でも何でもない歯が突然割れてしまうのですから、患者さんは訳がわかりません。
ストレスの多いビジネスパーソン、それも昔で言う「中間管理職」的な方に多く見られるように思います。
治療としましては、夜寝る時にマウスピースを入れて頂いて、歯を守るようにします。これも「予防歯科」と呼んでよいのではないでしょうか。

ナイトガードが身代わりとなって歯を守ってくれるようになりました。

この方はナイトガード(マウスピース)が身代わりとなって歯を守ってくれています。
ナイトガードが歯ぎしりでボロボロになっているのがわかりますか?

インプラントって手入れが必要なんですか!?

歯周病と虫歯が原因でたくさんの歯を失ってしまったご婦人が来院されました。インプラントを入れて欲しいとのご希望です。
お口の中の写真やレントゲン写真で過去の歯に対する考え方の誤りや、歯周病菌がお口の中にたくさんいる(歯周病がある)ままでは、インプラントの回りに歯周病菌が移って長持ちしないことを説明しました。
もちろん、所詮人工臓器ですから、自分の歯以上にしっかりブラッシングしないと長持ちしない事も説明しました。
そのご婦人は「インプラントって、手入れが必要なんですか?」と驚かれていました。
インプラントは素晴らしい治療法で、人生を変えてくれるほど、生活の「質」が上がります。でもそれを手に入れて維持するためには、患者さんのお金と時間と勇気だけでなく「健康に対する高い意識とそれを維持する努力」が必要なのです。
巷ではインプラントをめぐるトラブルが後を絶たないようですが、英保歯科では、「歯の重要性に気がついて、ちゃんとしたケアーを実践できる方」だけにインプラント治療を行うようにしています。

親知らずの移植症例

神経を取って、銀歯を被せていた6歳臼歯が割れてしまい、抜くしか方法がなかった患者さんの症例です。
3年前に割れてしまった歯を抜いて、すぐに親知らずを移植しました。
3年経過した今では「全く違和感も無く、快適に使えています。」とおっしゃって下さいました。


インプラントにしていたら何十万円もかかった上に、所詮自分の歯ではありません。親知らずでも、虫歯や歯周病にさえしていなければ、立派に役に立ってくれる事があります。この親知らずがもしもボロボロの虫歯になっていたら、インプラントしか方法がなかったかも知れません。
「予防が大事!予防が全て!」分かって頂けますよね?

「先生、上の顎にガンがアァァ・・・。」

上顎に大きな「できもの」ができてしまい、ガンだと思って心配なさったのでしょう。でも大丈夫ですよ。単なる骨のふくらみができているだけで、悪性のものではありませんよ。
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原因は「はぎしり・くいしばり」だと言ったら信じて頂けますか?それとも眉唾のヤブ医者になっちゃいますかね?
くいしばりは、咬み合わせ病の一つです。インターネット社会の現代では、一旦ネット上にで公開された情報は永遠にアーカイブされるため、「人生において、一切の失敗が許されない」という、人間には絶対に不可能な事が求められています。その他の多くの要因で、あり得ない程のストレスがかかって、それを回避するために、夜中や昼間のくいしばりや歯ぎしりが起こります。
寝ている間は意識がありませんので昼間の、何と3倍の力が歯にかかり、それが骨に伝達されて反応性に骨が膨らんでくる訳です。
ご自身の上顎の同様の硬いふくらみがある方は、「はぎしり・くいしばり」を疑ってみるのが良いでしょう。

「一度かぶせたら、もう虫歯にならないと思っていました。」

患者さん「一度歯医者さんで金属を入れてもらったら、もうそこは虫歯にならないと思っていました。素人考えだったんですね。」
歯は生体で金属などの詰め物は人工物です。その全く異なる性質のものを接着するわけですから、相当に繊細に作業をおこなわなければ上手くいきません。具体的には治療の時に防湿をきちっとして、接着剤の特性を最大限に発揮できる環境を整える事が大前提です。
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金属の詰め物が外れて来院されました。外れただけでは無く、金属に覆われていた内部の所がひどい虫歯になっていました。
歯科医師も「患者さんの歯と健康を守りたい」との高い志を持って日々の臨床に望んではおりますが、保険診療では治療にかける事のできる時間や使える材料の制約があまりにも大きすぎて、妥協の産物になってしまう事が多々あります。

防湿が最重要

下顎の奥歯の治療で、ラバーダムやZOOなどの防湿装置を使用しないという事は、唾液の中の細菌が治療中の歯に「かかり放題」になっているのに治療を続けている事になります。細菌が残ったままで詰めてしまったり、神経の治療をする事はとても恐ろしい事です。
名医を自称する歯科医は多いですが、「100%防湿をします」と宣言している歯科医は少ないはずです。このハードルは低くないからです。
一から十まで、何から何まで自由診療のセラミックやインプラントを勧めてくるわりに防湿をほとんどしない歯医者がいるとしたら、、どうなんでしょうね。
本当に患者さんの事を思うなら、まず歯の大切さと予防歯科の重要性を強調し、保険で何とかできるところは保険でもきっちり治療をしてあげて、ちゃんとしなければいけないところは、言いにくいけれども自由診療のご提案をすべきだと思います。
それこそが良い歯科医だと、近頃、心から思い始めました。

保険の治療と自費の治療の分かれ目

たとえ保険の治療であっても、下顎の奥歯の治療の時にでラバーダムやZOOなどの防湿装置を使用しない歯科医院はその時点で見切りをつけた方が良いと、はっきり言えます。
「先生やスタッフが優しい」「いつでも診てくれて親切」など、いろいろな長所があったとしても、防湿をせずに治療をする点で、「本心で患者の利益、歯を本気で守る事を考えていない」と断言して良いでしょう。
学校健診などで「C1」と表現される初期の虫歯、しかも、噛み合せの面に限定した、本当に小さな虫歯の場合には、きちっと防湿をしてていねいに治療をすれば保険でも充分な治療ができます。
それ以上のサイズの虫歯になってくると、保険の治療と自由診療の治療では長い目で見た時に差が出てきてしまいます。チョイチョイで済む保険の治療でとりあえずお茶を濁した場合には、将来必ず、リカバリーのために想像以上の時間と苦痛と出費を強いられる事になります。
要は、100%防湿をするドクターが状況に応じて「これは保険でも充分しっかりと治療ができます。(あるいは黙って保険で治療をしてくれた)」とか「この歯の治療には自由診療の方がメリットが多く、結局はお得になります。そして、かけがえの無いこの歯を長く使う事ができるようになります。」といった説明をしてくれる時に、耳を傾けてみる事が大切です。

歯磨き(ブラッシング)の目的を明確に理解する

歯磨きをここではブラッシングと呼びましょう。ブラッシングが虫歯予防に大切である事は、幼稚園から小学校、中学高校とずーっと、繰り返し繰り返し刷り込まれますので、誰に聞いても「虫歯予防は歯磨き」と答えてくれます。
これまでのお話で「虫歯予防はフッ化物」と答えてくれる方がおられてもおかしくないと思っています。そうですよ。それも正しい見方です。
どんなに美人のモデルさんでも腸の中には必ず大腸菌がウジャウジャいて、それが体と命を助けてくれている訳ですが、同様にお口の中には常在菌という菌が必ず存在します。この構成の中身に悪玉菌(虫歯菌や歯周病菌)が増加すると困った事になる訳です。
リステリンなどの洗口剤で悪玉菌だけを殺す事ができれば良いのですが、ショットガンのように無差別に殺菌してしまうので使い方が難しいのです。
ブラッシングの目的はこの常在菌の量(特に悪玉菌)を一定以下に保つ事によって、虫歯や歯周病の発症を起こさないようにする事です。ですから別名「プラークコントロール」と言います。
素人のプラークコントロールの技術では限界がありますので、時々衛生士さんの指導を受けたり、プロケアー(professional tooth cleaning)を受けたりする事が必須になります。歯科医師の私でも年に4回衛生士の指導とプロケアーを受ける事を欠かした事がありません。

歯科の主な病気は3つあります。さて、何でしょう?

歯科で扱う主な病気は3種類。①虫歯②歯周病③噛みあわせ病。「なーんだ。そのくらい知ってるよ。」とおっしゃるでしょう。わかりますよ。
それでは、どんな時に歯医者に行きますか?「歯に穴が開いた時。」「つめ物が取れた時。」「冷たい物や熱い物がしみるので。」・・・ですよね。
実は、そういった時って患者さん自身が無意識に「自分は虫歯だ!」と断定してお越しになっている事がほとんどなんです。それはそれで構わないのですが、②と③についてはどうでしょう?「自分は歯周病だ!」「自分は噛みあわせ病だ!」と断定して歯科医院に行かれる方は虫歯に比べて非常に少ないです。なぜなら②と③は素人の患者さんには「良く分からない}からです。
②歯周病は慢性病なので徐々にしか症状が現れません。口臭が出てきても、髪の毛が寂しくなったり、お顔のシミやしわが増えたりした時と同様、回りの人は普通は指摘しません。ですから、はっきりとした自覚がないままズルズル進行してしまいがちです。虫歯の時と違って「自分は歯周病だ!自分の口は間違いなく臭いぞ!」と自分で断定できる方は少ないのです。
噛みあわせについては、素人の方には更に「良く分からない」はずです。歯科医師でも充分な研鑽を積んだ先生でないと、木を見て森を見ずではないですが、虫歯を削ってつめるだけと云った状況に陥ります。
私が指導医(かみあわせ指導医と言います)をしている「日本顎咬合学会」は、このかみ合わせについては非常に多くの研究実績がある学会です。
歯周病やかみ合わせ病の詳細は又の機会にお話しします。

3Di ダイレクト

英保歯科の特徴的な技術を生かした虫歯の治療法に「3Di ダイレクト」というオリジナルメニューがあります。基本的には神経を取っていない歯が対象です。
①3D ビデオ顕微鏡(Mora Vision) や5倍拡大のルーペを使用する。
②ラバーダムやZOOなどの防湿装置を使用する。
③神経が残せそうに無い歯(熱い物がしみたりして、他の歯科医師が神経を取る事を強く勧めた歯)でも i Mix を使用して神経を取らないよう最大限の努力をする。
④保険診療では使用できない、ハイグレードのダイレクトコンポジットを使用して自然な美しい歯として修復する。
これらを確約して治療を行う「3Di ダイレクト」は長い目で見た時には患者さんの時間的、経済的、機能的、心理的負担が軽減される「お得な」治療方法です。
費用は1本2万5000円+消費税となっております。「3Di ダイレクト」で治療ができるかどうかは、まず英保歯科で診断を受けて頂く必要があります。
虫歯の部分が大きいと「3Di CAD/CAM」の適応となります。