虚空蔵山で出会った紳士は・・・

昨日、初めて虚空蔵山の頂上まで(何とか)登って来ました。その時の「出会い」のお話を。

意を決して登り始めてしばらくすると、前方に登山客がおられる事に気が付きました。

手を後ろで組んで、自然を満喫しながらゆっくりと歩かれています。

私は速足だったので、その方にドンドン近付いていってついに追い越す事になりました。その時に初老の男性である事が解ったので、ちょっと話かけてみました。

私:「こんにちは。良いお天気ですね。」
彼:「こんにちわ。気持ち良いですね。」
私:「どちらからお見えですか?」
彼:「岡山です。」
私:「岡山!私、岡山大学出身なんですよ。」
彼:「何学部?」
私:「(学部を聞いてくる人は珍しいな・・・。)歯学部です。岡山の街、懐かしいなァ。岡山市内からお見えですか?」
彼:「和気ってご存知?どちらかと言えば備前の方です。」
私:「そうなんですね。三田の自然を楽しんで下さいね。じゃあ、邪魔しませんので、私、先に行きますね。」
彼:「ごきげんよう。」

『あのゆっくりした感じだと、虚空蔵堂まで位で引き返して帰られるのかも知れないな。無理なさらないで下さいね。』と、心の中で呟いて、先に行かせて頂きました。

それから必死になって頂上まで登り切った事は昨日お伝えした通りです。

何とか頂上に到達して、その素晴らしい風景に感激して眺めていると、わずかその1-2分後に、何と先程の男性が(全く息を切らせる事無く余裕で)登って来られたのです。

私:「〇△✕!頑張って登って来られたんですね。凄いですね。」
彼:「ええ、まあ。」
私:「私は下の標識の所で『勇気ある撤退』をしようかと本気で考えてました。御主人はきっと御御堂あたりで引き返されると思っていました。」
彼:「この山は道も整備されていて、初心者でも簡単に登れる、良い山ですよ。」
私:「これが簡単な山なんですか!私なんてハアハアと死にそうになってました。」
彼:「ハハハ。」

その後も山頂の岩に腰かけて話を続けました。

私:「御主人、御主人のスマホで写真を撮ってあげましょう。」
彼:「ありがとう。そうしてもらうかな。」
私:「Facebookとかされていますか?LINEとか?」
彼:「やってるけど、あまり見てないな。」
私:「じゃ、私の名刺をお渡ししますね。何か不思議なご縁を感じますので。(名刺を渡しながら)和気でお仕事をされていたのですか?失礼ですけど、御歳を聞いても良いですか?」
彼:「いいですよ。74歳です。私は岡山市内で教員をしていたのですが、和気にはロッククライミングの練習にもってこいの岩場があってね。それでわざわざ和気に住んで岡山市内で働いていたんです。」
私:「74歳!凄い体力ですね。信じられない。それに、山関係は筋金入りじゃないですか。小学校の先生か何かされていたのですか?」
彼:「大学。」
私:「ひょっとして、岡山大学?」
彼:「(頷く)経済学部ですけどね。私も名刺をお渡しします。」
私:「有難う御座います。○○様とおっしゃるんですね。〇△✕!岡山大学名誉教授!?これは大変失礼致しました。」
彼:「(ニコニコ)いえいえ。大学で働いていた時は探検部の顧問をしていたから、数えきれない程、学生を連れてあちこちの山に登ったり野営をしたりしていましたよ。今でもそのような関係の団体の会長をしたりしています。」
私:「もう、御見逸れしました。」

岡大の大先生だったとは。とにかく御見逸れしました。

縁とは不思議なもの。もし数分早く私が下山を始めていたら、山頂でここまでの会話はできていなかったと思います。三田の虚空蔵山の頂上で岡山大学の名誉教授と出会える確率なんて、一体どの程度なのでしょうか。とにかく感動してしまいました。

この後、私は来た道を、この先生は草野駅の方に下る道(鎖を伝って降りるような難所があると書いてあった気がする)に進むと言われていました。「そっちの方が面白そうだから。」と。私からお願いして、握手をして頂いて別れました。

人間、動くと面白い事が起こりますね。やっぱり「ヨイショ」と外に出ないとダメだね。