歯医者のくせに、歯を削るのが大嫌い

私は歯科医師でありながら、歯を削る事に極端に慎重です。他の歯科医師から見ると「バカじゃない?」と思われるほど、歯を削る事、特に健康な歯の部分を削る事に抵抗を感じます。多分、世界中の数多くの歯科医師の中でもトップレベルに位置する「歯を削るの嫌い派」なんだろうと思います。
歯の健康な部分を削る時は、たとえそれが虫歯治療に関係するためにやむを得ないとわかっていても、まるで、綺麗な赤ちゃんの肌をナイフで切り刻むような感じがするのです。
この感覚は、18歳の時から始めたベジタリアン(魚は食べますので、正確にはペスカタリアン)であることが大きく影響していると思います。
「牛を殺してまで牛肉を食べたくない。」「鶏を殺してまでチキンを食べたくない。」と思うので肉類を食べません。(結婚していなければ、魚も一切食べていないと思うのですが、家族と云う共同生活体の中で生きるためには多少の妥協も必要です。)
40年近くもこのような考え方を貫いて生きていると、歯を含む自然の物、つまり「神様がお創りになったもの」に対する畏敬の念が、やはり牛や豚や、時には馬を食べている人達と全然違っているのだろうと思います。
この感覚は長年ベジタリアンで頑張ってきた者だけが理解できるのかも知れません。