歯の大工

一般的に言って、歯科医師は普通の医師よりも2ランクほど下に見られているようです。

私も歯科医師になってから、「歯医者という差別的先入観で見られているなぁ・・・。」と感じる場面に多々遭遇してきました。

でも、医学部ではなく歯学部に進学して本当に良かったと思っています。なぜなら、いかに歯が大切であるかを知る事ができたために、自分だけでなく、家族の人生を守る事ができるからです。

お医者様であっても糖尿病や心臓疾患などにかかっている方がたくさんおられます。
もし私が医学部にいって医師になっていたら、私も今頃糖尿病で、子供達は、受験勉強はできるけど虫歯だらけなんて事になっている可能性があるのではなんて思います。

でも、歯科医師の家系に生まれた私にとって、歯科医師が社会からバカにされるのは快い事ではありません。

歯科医師が尊敬されるためには、目の前にある虫歯をほじくって埋めるだけしか能が無い「歯の修理屋、歯の大工」であってはダメで、「歯のトラブルが起こる原因を除去する事を考えたり、物事を時間軸でとらえたり、視点を広げて体の全体像で物事を把握する」能力が必要です。

私の治療の部屋は18℃とかなり低めに温度設定をしているので評判が悪いのですが、皆さんが想像できないほど頭を使い集中しているために、「ぬくぬく」の部屋なんかで仕事はできないのです。歯科医師は器用なだけではだめで、集中して頭が使える頭の良さも必要なのです。

今、歯学部人気が低下して偏差値の低い人が歯学部に行くようにっていますが、将来の日本の歯科医療の質を高く保つためにも、再び歯学部人気が出てくれる事を願っています。