本当に優しい方・クリコさん

最愛のご主人が口腔ガンになってしまい、顎を切除した上に最終的には再発で亡くなってしまった女性・クリコさんの話です。彼女は別格の人間だと感じました。尊敬できます。

短い動画のリンクを貼っておきますので是非ご覧になって下さい。
口腔底がんの夫に作った“希望のトンカツ”

Amazonなどで彼女の本も買えます。
希望のごはん 夫の闘病を支えたおいしい介護食ストーリー


私は歯学部卒業後、大学病院の口腔外科に数年勤務していたので、何人もの口腔ガン患者様とそのご家族とご縁がありました。口腔ガンになるという事がどのような状況かは、現場を経験した人間にしかわからないと思うのですが、少し書いてみます。

口腔ガンは、服に隠れない部位(顔)・動く部位(顎)・目立つ部位(首から上)にできるので、手術後の困難な状況が他人にすぐわかるという苦悩があります。
手術と放射線療法と化学療法を組み合わせて治療をするのですが、本人の苦しみと同時に、サポートする家族の苦労も並大抵ではありません。
しかも再発すればそれを何度も経験した上に、場合によっては、その結末が「最愛の人を失う」という残酷な事になるのです。

人間の本性が出る場面も多く、想像を絶する修羅場の世界です。その中にあって正気と優しさを保ち続けるのはなかなかできる事ではありません。私が大病院の口腔外科を去った理由の一つはここにあります。

このクリコさんはとても美しい方ですが、この方の美しさは「心の優しさ・美しさ」が滲み出ているのだと思います。こうありたいものだと思います。