「最重要!予防のキーポイント」カテゴリーアーカイブ

小学校健診で感じたこと

小学校の歯科健診に行くと、虫歯ゼロの子供が激増している事と同時に、10本近く虫歯があって、継続して治療に行っていない子供が各学年に2-3人いる事に気が付きます。
私は、そのような可哀想な子供には、まず「おうちの方にお願いしたら歯医者に連れて行ってくれる?」と尋ねます。
それから「おうちの方にお願いしたらフッ素入りの歯磨き粉を買ってくれる?」と尋ねます。
それから「今まで大変な目に会ってきたね。虫歯予防の正しい知識を身に付けて実践したら、これから生えてくる永久歯は全部ピカピカの虫歯ゼロの歯にする事ができるんだよ。」と言ってあげるようにしています。

担任の先生に「この子は可哀想ですね。」と言うとほぼ100%「歯磨きができていないんですか?」とお答えになります。そして子供には「はよ歯医者に行ってなおしてもらって来いよ。」とアドバイスなさいますね。

私「・・・・・。」何から説明しましょうか。短い時間では無理ですね。

学校の先生と保護者が予防歯科の勉強を本気でしてくれる事を、神に祈りがら学校を後にしました。子供を守る事ができるのは大人です。大人にはその義務があると思いますが、いかがでしょうか?

ジェット水流で歯磨きは大丈夫?

先日JRに乘った時に、ジェット水流で歯と歯の間の掃除をする器具の広告が流れていました。 古くはウォーターピックという、同様の器具がありましたが、最近のテクノロジーの進歩でより効果的な新製品が続々と発売されています。 「主人がジェット水流で歯の掃除をする器械を買ってきたので使ってみたのですが、一番弱にしていても歯ぐきが痛いほどなんです。歯ブラシのし過ぎも良くないと聞きますが、この機械はかえって歯に悪いという事はないでしょうか?」 さすがパナソニック、クライアントの心をがっちりキャッチしたようですよ! 歯ブラシをし過ぎると歯の表面が削れてしまう事は、悲しいかな、あり得る事だと思います。ナイロンでできたたわしでゴシゴシと流しを磨いて、磨いて、磨いて、磨いて、とやったらどうなりますかね? その点このジェット水流タイプなら、歯の表面を削るという心配は皆無でしょう。かなり良さそうですから、試してみても良いのではと思います。 私は、個人的にはシャワーできれいにする方法をお勧めします。機械を買わなくて良いですし、旅行先でもどこでも出来ますからね。 でも、あのコマーシャルを見ていると、思わず電気屋さんに走りたくなりますね。私もそう感じました。

朝日と言えば宮島茂樹(私の先輩)

朝日新聞デジタルに乳歯がひどい虫歯になって放置している母子家庭の記事が載っています。難病でお金がいるので歯科にかかる費用が無かったという理由で、朝日新聞らしい切り口の記事を書いていますね。
私のHPの読者の皆さんはどう思われますか?
お金が無いと歯がボロボロの虫歯だらけになるのでしょうか?
私は貧困と虫歯の発生は本来は因果関係がないと思います。
例えば、母親が小学生や中学生の時に正しい予防歯科の知識を教育され、身に付けていたとしたらどうでしょう?
先生「虫歯予防は?」生徒「ハミガキ!」は昭和40年代からずーっと変わっていない、合言葉のようなものですね。
そろそろ、変えないと、ね。

砂糖も時には良薬

小さな子供は泣いたり笑ったりして、自由に気持ちを表現できて羨ましいですね。一方、大人は会社やママ友仲間やSNSや時には家庭で、様々な逆風に耐えて感情をコントロールしなければなりません。
ストレスのたまり方は半端じゃないので、一日の仕事が終わった後は、男性はお酒で、女性は甘い物でストレスを発散します。
精製白砂糖の精神に与える影響は、お酒と同等に強烈です。夜遅く会社の帰りにコンビニに寄って、ケーキやチョコレートを買っているOL(OLって今でも使って良い言葉でしょうかね?)がいますが、それはそれで良いのだと思います。
そのお陰で心が壊れずに済んでいるとしたら、「砂糖も時には良薬」という事になるでしょう。
もし、虫歯になったら?大丈夫、その時にはコンビニの数より多い「歯医者」に寄ればよいのですから。その時のために我々歯科医がいるのですよ。

Floss or Die?

これはアメリカの歯科医師会が約10年前に歯周病と全身疾患との関連性を広く知らしめるために大々的にPRしたスローガンです。
今ではお口の健康と心疾患、糖尿病、早産、低体重児、ガン、肺炎などとの関連は常識になっていますが、10年前は歯科医師自身でさえ「歯周病が糖尿病を起こす?糖尿病なら歯周病になるなら解るけど・・・。」と思っていた位です。
ところが今では、お口の健康が全身の病気を惹起する事は常識で、栄養関係者とスポーツ関係者、そして歯科関係者が予防医学のドアのカギを持っていると言っても過言ではないように思います。
10年一昔と言いますが、本当に、変わるものですね。

昼休みに歯ブラシした方がいい?(子供の質問)

「幼稚園に通わせていた時は、園で昼食後もきっちり歯磨するように指導してもらっていたのですが、小学校に上がった途端に歯磨きできなくなって、とても残念ですし、急に虫歯ができてしまわないか心配です。先生が校医をされているけやき台小学校でも、昼食後に歯ブラシをするように働きかけて頂けませんか?」と。お母様に時々言われる事があります。
もっともなご意見です。
幼稚園で昼食後に歯ブラシをするのは、「毎食後に歯磨きをする」という習慣を体験を通して学ぶ事が目的です。子供自身の歯ブラシのスキルはプラークコントロールを行える程高くはないのです。
個人的な見解としてですが、小学生は昼食後に歯ブラシをしなくても唾液の量は大人より随分多く、歯肉の退縮もないので、食べかすが歯の間に詰まる事も考えにくいと思います。
朝夕の歯磨き、それよりなにより、プラーク蓄積の原因となるような食生活、食事の内容、摂取する食品を回避する事の方が大切ではないでしょうか?それは即ち健康な体と健康な心を育くむ食生活に他ならないのです。

昼休みに歯ブラシした方が良いですか?

抜くしか方法がないと思われる歯を3Di 治療で残す事ができた、ハンサムなミドルエイジの男性の患者さんが、歯の重要さ、歯の価値に気が付いて下さったようで「先生、昼休みにも歯ブラシをした方が良いですか?」と質問して下さいました。意識が高まってきているとわかって、私もとても嬉しく思いました。
ミドルエイジであればどうしても多少歯肉が退縮しており、歯と歯の間に食べかすがトラップされてしまいます。ですから、食後(可能であれば30分ほど間をあけた後)に少なくともフロスだけはやって頂きたいところです。食べかすが腐敗を始めると、かなり口臭がしだしますからね。(口がニオっていても、若くてかわいい部下たちはだれも指摘してくれないのが普通です・・・。)
それから、昼休みに歯ブラシをする事は「健康に気を使っている、デキるビジネスパーソン」というポジティブなイメージをあなたに与えてくれる事でしょう。若くてかわいい部下たちも「ステキ!」と思ってくれる事でしょう。
OLはみんな昼休みに歯を磨いています。男性でも恥ずかしがらずに、自分の価値観とポリシーを貫いて下さい。「他の日本人と同じ」であることが世界標準では無い事が、残念ながら、ほとんどです。

バナナの皮が歯を白くする?

最近、バナナの皮を使った「歯のホワイトニング」がとても評判になっています。大流行の兆しあり。という感じですよね。
ググるとたくさんヒットしてきますが、歯の写真はレタッチされたもので、真実ではないと思います。歯科医の目から見ると、このサンプルのような美白効果はバナナを使っては得られないと思います。恐らく最初にフォトショップで修正した写真がポストされて、それがコピペされて広がったのではないでしょうか。
バナナに含まれる分解酵素が歯の表面に付いた食品などの有機物由来のステインや着色を溶かしてくれる可能性は多々あると思います。また、天然成分ですので、歯にダメージを与える事はほとんど無いか、皆無と言って良いと思われます。
研磨剤が多量に含まれる歯磨き粉(スーパーなどで売っている安物の歯磨き粉に多い。ライオンとかサンスターなどの一流ブランドが出している製品もあるので信じてしまうが、要注意です!)を使ってステインを落とすよりは、バナナの皮の方がずーっと安全で良い方法だと思いますよ。どうせ捨ててしまうバナナの皮ですから、10分間という時間を使って試してみる価値はあると思います。

でも、人によって肌の色が違うように、もともと持って生まれた歯の色というのがあります。これはむしろ内部の色によって決まります。真っ白白にするには強力な化学物質(漂白剤)で歯の中まで漂白する、歯を削って真っ白白なセラミックをかぶせるかのどちらかです。
未成年ののアイドルが、明らかにセラミックの歯だらけにされてしまっているのを見るとほぼ「虐待」と呼んで良いのではと悲しくなります。一度削ってしまった歯は元には戻せません。彼女達にはこれからも長い人生があり、自分の歯を使っていかなければならないのです。
アイドル本人の希望や同意があったと周囲の大人は言うのでしょうが、金儲けの材料にするために芸能プロダクションも、ひょっとしたら親までもそのように持って行ったとしたら、ひどい話ですね。

黄色人種も黒人も、もしも自分の肌の色を嫌がって変えようとしたら、色々な事を犠牲にしなければなりません。時には心を病んでしまう事もあるでしょう。
私は自分の患者さんには、虫歯と歯周病が無く健康で、歯並びが綺麗で、きちっとケアーされた健康な、「少しだけ黄色がかった日本人らしい自然な歯を」自慢できるような、賢明な紳士淑女であって頂きたいと思います。

モンダミンは、どうなんですか?

「お口クチュクチュモンダミン」ってキャッチコピー、凄いインパクトだったようですね。私がテレビを見なくなって15年以上になりますので、それ以前のコピーですが、脳幹に刷り込まれていますものね。
患者さんも、ちょくちょく、「モンダミンとかやった方がいいでしょうか?」と質問して下さいます。「リステリンをした方が良いですか?」とは聞かれないですね。全く。このコピーを考えた方は会社からボーナスをもらっても良いと思いますよ。
洗口液はプラークの形成を抑制する目的で使うのですが、歯科医も様々な見解を持っているようです。
私は以下の① ② ②’ ③ の順に重要だと考えています。
①プラークを作りにくい生活習慣と食習慣を心がける。
②機械的に(ブラッシングなどで)プラークを除去する。
②’ フッ化物で歯を強化する。
③薬剤でプラークを減少させる。
洗口液は③に相当する訳ですね。モンダミン、キャッチコピーのインパクトほどは、プラークにインパクトは無いのかも知れませんね。

フロスカット

虫歯や歯周病を予防するためにデンタルフロスの使用をお勧めしていますが、「フロスカット」という言葉があります。
真面目にフロスをするあまりに、歯と歯の間の歯肉にフロスで傷を付けてしまう事があります。顕微鏡で見ると歯肉が切れたようになっているので「フロスカット」と表現します。
デンタルフロスは、歯と歯が摂食している所を通過させる時に抵抗を感じますが、そこを通り過ぎると、急に抵抗がなくなります。それなのに力まかせに押し下げると歯肉に傷がついてしまいます。
フロスはお父さんの日曜日の仕事。子供が嫌がるような事にならないように、気をつけて、フロッシングの技術を向上させて下さいね。