「実際の治療例や関連情報」カテゴリーアーカイブ

親知らずを抜かずに放置すると・・・。

親知らずを抜かずに放置していた為に手前の歯(7番)に神経に達する虫歯ができていました。これは耐え難い痛みだと思います。

黄色=親知らず。赤=大切な12歳臼歯(7番)が虫歯になっています。緑=固着した歯石。
そのレントゲン像。黄色=親知らず。赤=12歳臼歯(7番)の虫歯の穴。青=この歯の神経の入り口。こりゃかなり痛いはずですよ。

こうなる前に親知らずを抜いておくべきだったね。今となってはもう7番を抜く以外に方法が無いのでは?
そうそう、7番を抜いて8番を移植する事も考えられますね。
皆さんならどうされますか?

接着歯科治療を成功させる3つのポイント

接着歯科というキーワードで検索して英保歯科のHPを訪問して下さる方が非常に多い事からも、皆さんがそれだけ接着歯科治療に興味と期待を抱いて下さっている事がわかります。有難い事です。

でも、接着治療は特別な治療方法ではありません。例えば、どこの歯科医院でもやっているコンポジットレジンという白い材料を歯に詰める治療方法(先生が時々ピッ、ピッと光を当てている、例のやつです)がありますが、あれは典型的な接着歯科治療です。

それでは私達、接着歯科治療認定医が行う接着とは何か違いがあるのでしょうか?それは単に「接着の質に対するこだわり」だけだと思います。

質の高い接着(=長持ちする接着)を実現するには3つの要素があります。

①様々な接着剤の組成や特性を熟知して「正しい場面に正しく使う」
②接着する面を「完全に清掃」して、プライマーなどの「表面処理を完璧に」行う
③必ずラバーダムやZOOなどの防湿装置を使用し湿度を下げて「パリパリに乾燥した表面」に対して接着操作を行う

これって建築や工業に携わっている理系の人や趣味でアクセサリーを作ったりしている方なら「なるほど。そりゃそうだわ。」と思って頂けるほどシンプルな要素ですよね。

接着歯科の成否の原因は先生が「わかっちゃいるけど邪魔くさいなァ。まあこの程度でいいや。」と思うか「も~、何がなんでも絶対に完璧な接着をしたい!」と拘るか、それだけの違いではないでしょうか。

その接着の質の違いが、その治療をいつどこでやってもらったかさえ忘れ去られてしまうような5年後、10年後に現れてくるのです。すぐには違いや良さがわからないのがまた面白いところです。まるで夫婦関係みたいでしょ。

自由診療でリカバリー中

今日の午前中は9時から14時までの5時間で4人のお客様の治療をさせて頂きました。4名共自由診療の複雑な治療で、アポイントの時間がお一人1~2時間と長く大変なのですが、歯がドンドン奇麗になって行くと治療をしていても達成感と充実感があります。

上の前歯。古くなったセラミックの被せを外してみたら・・・。
リカバリーできるかな?
3カ月かかってここまで修理できました。ここに奇麗なジルコニアセラミックの歯を被せて行く予定です。

自由診療はその名の通り、使用する材料や機材の制限なしに自由に治療をする事ができます。知識も腕も材料も惜しみなく投入する事ができるのです。

工業製品でも建築でも、最高の材料と最高の職人を使って時間をかけて丁寧に作れば、平凡な作品とは全く異なる物となります。歯の治療も同じなのです。

不可能を可能にはできませんが、それでも「保険診療」とは一線を画す、それが「自由診療」なのです。

なお、虫歯にしてしまったり、美容目的のためだけに歯を削ったりすると、歯の貴重さに気が付いてから慌ててどんなにお金と時間をかけても、決して元の無垢の状態には戻せないという事は肝に銘じておいて下さい。

保険のブリッジを外してみたら

最初にお断りしておきたいのですが、今回の話は「保険のブリッジは良く無い」とか、「インプラントにしておいた方が良かった」とか、「自費のセラミックのブリッジなら長持ちしたのに」という話では全くありません。誤解の無いようにお願いします。その様な事をお話したいのでは無く、予防をして自分の歯を大切にする事がいかに大切かという事をお伝えしたいのです。

さて、平成25年から英保歯科にお見えになって以来、予防歯科の重要性に気付かれたお客様がおられます。最近70歳を超えられましたが、積極的に予防に取り組んでおられます。

英保歯科のファミリーになられる以前の話ですが、他院で奥歯を抜いてもらって、保険のブリッジを入れてもらったそうです。当時のお話をお伺すると、前後の歯を削って保険のブリッジを入れるという「1択」だったようです。

その奥歯の(保険の)ブリッジ(緑の部分)が外れかけているとの事で相談を受けました。前の歯科医院で黄色の部分の歯を抜き、前後の健康な歯をぐるっと削って、ブリッジという義歯を入れてもらったそうです。ちょうど橋みたいな構造なので「ブリッジ」と呼びます。
そっと外してみたら、手前の歯はポキッと折れてしまっていました(赤矢印)。後ろの歯は被せの中が虫歯になっていました(オレンジ矢印)。
ポッキリ折れた歯が被せの中に残っています。歯3本分を前後の2本の歯だけで支えているのですから、時にはこのような事が起こっても不思議では無いですね。

保険のブリッジは治療費が安価でとりあえずの機能回復ができますので、短期的には悪く無い選択肢だと思います。しかし、歯を抜くと決定した時点でインプラントという選択肢も一応は説明して、最善の方法を一緒に考えてあげる「優しさ・思いやり」が必要でしょう。
それ以前に、歯を抜いてしまったからこのような悩みが出る訳で、抜くしかないと判断しても、「他の歯科医院で治療を受けたら、ひょっとしたら何とかこの歯が残せないものか?」という次元まで考えてあげる姿勢があっても良いのではと思います。

予防をして虫歯や歯周病にしなければ、こんな事からも無縁です。これ以上シンプルでベストな解決策が他にあるでしょうか?

接着ブリッジ(?)の予後不良例

何らかの理由で歯を抜いてしまった所に歯を入れるには、ブリッジか入れ歯かインプラントの三択になります。

ブリッジで歯を入れる時は、抜いてしまった歯の場所の前後の歯を削る必要があります。もしも前後の歯が全く無垢の歯だったりしたら、お客様のみならず歯科医師の方も健康な歯を削るのが忍びないので、何とか少なめに削ってブリッジを持たせようと試みます。

その究極のスタイルが接着ブリッジなのです。
但し、接着ブリッジが長期的に安定して機能するには、正しい診断と正しい設計そして厳密な接着操作が鍵となります。

黄色の部分の歯を失ったために前後の歯を削ってブリッジを入れてもらったそうです。赤い矢印の方の歯は無垢の歯だったのでしょう。この先生は赤い方の歯を少なめに削って、接着ブリッジの治療をなさったようにお見受けします。ただ、残念ながら、赤い方の歯にお痛みが出てきて英保歯科に来院されました。
ブリッジを外してみたところ・・・。
接着ブリッジだけでなく歯の修復治療全般に言える事ですが、設計や接着操作などに相当にこだわりを持ってパーフェクトに行わないと、内部に虫歯菌が侵入して、このような悲惨な結果となります。
こちらも接着ブリッジブリッジが、装着後わずか2年で外れかけています。(上の症例と同様に、右側の緑矢印の方がプカプカ浮いてしまっています。)中がどうなっているのやら・・・。
2本分(黄色い部分)も歯が無いので噛む度に長い金属のブリッジがたわんで接着を破壊する力が働きます。
このような場合、私なら、「前後の無垢の歯(緑矢印)を削りたくないのでインプラントか入れ歯のどちらかを選択しましょう。」と、ご提案しただろうと思います。


接着ブリッジを試みた先生方は、自分が行った治療が経年的にどのような経過をたどり、最終的にはどのような結果に至っているかをしっかりと観察されて、接着ブリッジの設計の知識や接着技術の向上に役立てて頂きたいと思います。

接着ブリッジは正しく使ってこそ、その本領を発揮する治療方法なのです。

コロナウィルスに勝つツボ (合谷・列缺)

梅田で開業している私の兄、英保武志(歯科医師・歯学博士・鍼灸師・歯科東洋医学会理事)のアメブロからの転載です。少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。

ツボの処方箋
*図の合谷(ゴウコク)・列缺(レッケツ)のエリアを
5分間 押したり・つまんだり して刺激する
(ゆっくり深呼吸しながら)
*右手・左手それぞれ5分間
*1日3回 食間に刺激する
*21日間続ける

合谷・列缺のツボ刺激で全身の血流が良くなり
免疫力がアップします!!

(合谷・列缺の効果)
合谷は万能のツボで
歯痛・顎関節症・頭痛・難聴・耳鳴り・ニキビ
吹き出物・寝ちがい・肩こり・五十肩・のどの痛み
いびき・風邪・便秘・下痢・めまい・生理痛
入眠困難・精神不安・腰痛・花粉症・二日酔い
緊張難聴・アトピー・物忘れ・無気力・肌荒れ
睡眠の質向上・眼精疲労・視力改善
鼻・目・歯の痛み 等改善するツボです!!!

列缺のツボは咳・息切れ・感冒・片頭痛
顔面神経麻痺・咽喉部腫れ・痛み・口や眼のゆがみ
口が開きにくい・歯痛 等を改善するツボです。

コロナウィルスに勝つ目的で21日間
合谷・列缺のエリアのツボ刺激を続け
全身の血流を良くして免疫力を
アップさせるのですが

21日間も真剣にツボ刺激を続けると
上記の症状の改善も感じることが出来ます
手のツボ刺激だけで全身の色々な症状が
改善できるのを自分自身で確認出来るので
ツボに対する関心が深くなると思います。

是非行ってみてください。

このツボ刺激は
薬や道具を用いないので全世界の人に
応用していただくことが可能です
合谷が世界の人を助ける可能性があると
心から思っています。

ABO歯科クリニック 歯科医師・鍼灸師 英保武志

日本も普通になる日が来るのか?

30歳の時に前歯6本を削ってセラミックの差し歯にした、とあるお客様。「40年は持ちますから。」と言われたそうですが、20年程しか持ちませんでした。(40年は持ちますって、70歳以降は前歯無しで生きて行けと言う事でしょうか?)

写真はイメージで本文の内容とは一切関係がありません。

日本のほとんどの歯科医師は「またガラパゴス治療でお茶を濁し続けて、10年後には抜いて入れ歯にする」のを黙って選択し、ほとんどの患者もそれが安いし(←人生の質という点で、かえってツケが回ってくるのですが・・・。)手っ取り早くてお好みなのでしょう。

でも、私はこの方にご自身の前歯の実状を詳しく説明し、6本の前歯に対して自由診療による根管治療、矯正治療、歯周外科手術、ジルコニアクラウンによる再建をご提案しました。治療期間は1年程度かかるでしょう。最初は高額な治療費に戸惑われた様子でした。「保険と自由診療ってそんなに違いがあるんですか?」と。

ところがその後、偶然にも昨日紹介した記事(日本の歯医者は時代遅れ! タイで歯科治療したら日本の歯医者には二度と行きたくなくなった件)を読まれたようで、「英保先生が言っておられたのはこの記事のような治療なんですね。」と、「普通の歯の治療」を受ける決心をして下さったようです。

私の腕と知識の見せ所が来ました。やりますよ!日本にも普通の治療ができる歯科医師がいる事を証明して見せましょう!

私は今日も、日本人の口の中が普通の衛生状態になって、日本の歯科治療が普通になる日が来るのを夢見ながら、歯糞にまみれになって日本人の虫歯の穴を削っています。

LCCのプラチナ会員ってあるのかな?

日本よりタイで歯の治療を受けた方が良いという記事がありました。まあ、読んでみて下さい。

日本の歯医者は時代遅れ! タイで歯科治療したら日本の歯医者には二度と行きたくなくなった件

健康保険で受けた日本のガラパゴス歯科治療と自由診療で受けた海外のワールドスタンダードの歯科治療を比べるのは軽四とBMWを比べてBMWに乗ったら軽四に乗る気が無くなったと言っているのと同様で、科学論文を一編でも書いた事のある人間が読めば「クスッ」と笑ってしまう程度の理論展開です。

今では、正当な報酬を払えば、日本でも同様の治療を提供している歯科医院があります。ネットで検索すれば見つかります。私は、日本で誠実なかかりつけ歯科医院を探して、正当な報酬を払って(つまり自由診療で)日本人の器用な手で行われる治療を受けて、予後もその先生に責任を持って見てもらうのが得策だと思います。

タイで受けた治療が予後不良だった場合には、タイ人の弁護士にお願いしてタイで訴訟を起こすつもりでしょうか?タイ人のやった治療に関してはどの日本人歯科医師にも責任が無いし、日本人歯科医師がそのタイの先生やタイの弁護士に無断で手を付ける訳にもいかないでしょうから、実際には、経過が思わしく無い時にはしょっちゅうLCCでタイ旅行という事になりますね。プラチナ会員になれるかもね。

私は、この記事を真に受けて歯科治療のためにタイに行くのは賢明では無いと思います。
更に言えば、この記事はかなり無責任な内容だと思いますが、これも言論の自由で許されるのでしょうか?
我々医療従事者は、口にする言葉の一言一言に責任が伴いますので、常に慎重に言葉を選び、責任を取る覚悟を持って発言、発信しています。
何だか、同じ日本国内の職業とは思えない程の違いがあるようですね。

この記事の良い点は、日本人が「世の中には普通の(=ワールドスタンダード)歯の治療というものが存在していて、それはある程度の値段がするものです。」という事を知るトリガーとなり得る事でしょう。

正中過剰歯の抜歯症例

小学校1年生の男子。前歯の後ろに膨らみがあるのと、前歯がすきっ歯になったままで閉じて来ないので気になって来院されました。
レントゲンを撮ってみたら「やっぱり思った通り。正中過剰歯だ。」

慎重に手術をして、注意深く抜歯ました。これで前歯のすきっ歯も自然に閉じてくると思いますよ。

 

「前歯のやり直し」の一例

「鼻の下あたりの歯肉が腫れて痛いし、歯の色が不自然で笑えない」と、60歳代の女性。
レントゲン写真で、根の先の骨が溶けてしまっている事が判明。骨が溶けている部分の大きさがわかりますか?他の歯にも問題が多いので4本全て再治療する事になりました。
4本共、セメントで固めてあるセラミックの被せと金属の土台を削り取り、中に入れてあった(カチカチになっている)薬を取り除きました。何日にも分けて。何時間もかけて。想像を絶する緻密で大変な作業なんですよ。
顕微鏡とiMix を使って根管治療をやり直し、ファイバーコアの上にジルコニアクラウンを被せました。腫れていた鼻の下の所もすっかり良くなっています。「歯を見せて笑えるようになりました。」と喜んでもらっています。私もとっても嬉しい!
溶けてしまっていた骨も順調に治癒しています。「4本共抜いてインプラント」にしなくて良かったね。

都会のインプラントセンターに行くと「4本共インプラントにしましょう。奇麗になりますよ。1本60万円で4本で240万円です。」といった提案があるかも知れません。
英保歯科では「インプラントは所詮人工臓器。自分の歯に優るものはない。お客様の人生に於いて、インプラントになる時を一日でも先にしたい。」と考えます。
今回の治療では、3Di 根管治療とジルコニアセラミックで1本につき17万円、合計で68万円かかりましたが、ほぼインプラント1本分の値段で歯を抜かずに済んだと考えると安いかも知れませんよ。

まあ、前の先生にやってもらったセラミックも、安くはなかったと思うけどね。歯の治療に於いても「目に見えないもの」(=根管治療やコアなどの基礎工事的な部分)が大切である事が解りますか?

それと、もしも予防をして虫歯にしていなかったら「治療費は0円」だった事も強調しておきます。彼女が若い頃には予防歯科は無かったけどね。今は予防は簡単だからね。