ピアス、入れ墨は厳禁とする

犬歯の後ろの歯が突然グラグラしだして、痛くて噛めないとおっしゃるお客様。その歯を抜いてみたらビックリ。根の大部分が真っ黒になっているではありませんか。この歯は神経を取って、その歯の中に金属の芯棒(メタルコア)を入れて、それの上に金属の被せ(クラウン)をしていた歯です。全ての手順は厚生労働省が認可し指定した「国のお墨付き」の方法(=日本の保険治療)に則って誠実に治療が行なわれています。

「なんじゃこりゃ!?歯の根が真っ黒け・・・。」

この歯には一体何が起こったのでしょう。皆さんには想像ができますか?普通の治療(エビデンスベースのグローバルスタンダードな治療)を行っている世界中の先進国の歯科医師にはわからないかも知れませんが、日本の健康保険で行われれるガラパゴス歯科治療に慣れ親しんだ日本の歯科医は「ピン」とくるはずです。

ガラパゴス歯科治療は非常にユニークです。ドンドン虫歯にしてくる日本国民の歯を「皆保険制度」で分け隔てなく修理するためには、使用する材料を「色々と工夫」してコストを抑えなければなりません。
金属アレルギーなどの知識が少なかった昭和の中期に開発された、銀を主体とした合金を心棒に使い、パラジウムを主体とした合金の冠を被せる等々、色々と「日本独自のスバラシイ工夫」をして医療費を削減し「世界に誇れる国民皆保険制度」を歯科の分野に於いても維持しています。最近は保険治療でも芯棒にコンポジットレジンとグラスファイバーを使う事が多くなってきましたが、今でもこれらの金属がたくさん使われている事も事実です。
銀のアクセサリーをお持ちの方は、それを水中に何年も漬けているとどうなるか想像できますね?

「先生、歯の中にピアスみたいに穴を開けてそんな金属入れたりして大丈夫なんですか?銀のイオンが歯根の表面までしみ出して入れ墨のように変色させているだなんて、何だか体に悪そうに思うのですが?」と聞きたくなるでしょう?
「大丈夫ですよ。日本の厚生労働省が認可・指導しているやり方なのですから、絶対に間違いありません。」とお答えしましょうか?
むしろ「歯の予防は簡単です。予防をして歯を悪くしなければ、このような日本独特の歯科治療を受けたり、金属アレルギー等々の心配をする必要もありません。お金も通院の時間も不要です。だから、予防なんです。」とお答えしたいですね。

そうそう、こんな日本を少しでも変えたい方は必ず選挙に行きましょうね。(私は必ず選挙に行きますが、白票を入れる事が多いです。)それから、フロスもしてね。