医療ドラマのような人生ではないけれど。

昨日の土曜日は忙しかった。朝7時半出勤5時帰宅、お昼ご飯抜きの9時間半連続仕事というハードな1日でした。今時の感覚からすると「ブラック」という事になるのでしょうが、個人的には、「医者はこんな事は当たり前」という感覚があります。医師、自衛官、消防士、キャビンアテンダントなどは自己を犠牲にしてでも人の為にという「ミッション」を持っているからです。

戦後の日本人は事実上ほぼ全ての人が無宗教なので、「神から与えられたミッション」という感覚を持つ人は皆無に近いのですが、日本人特有の非常に優れた道徳観と倫理観で上記の「職業上のミッション」が維持されていると思います。そうでなければ、新型の肺炎患者が入って来た途端に医師や看護師が病院から逃げてしまい、戦争が起こった途端に自衛官が背中を見せて逃げてしまいかねません。
最近は医療ドラマの影響で、様々な価値観を持った方が医師や歯科医師になるようになりました。医療と云う職業に対する私のような考え方が「ある程度正しい」のか「人権は絶対に守られるべき」なのか、次の時代の医療を担う人達でしっかりディスカッションして頂きたいと思います。(個人的には、討論の場にはミッションスクールや仏教をベースに持つ学校で宗教教育を受けた事のあるメンバーも入って欲しいと思います。)

毎回素晴らしい演者を招聘してくれる、良い研究会です。インプラント研究会という名前ですが、自分の歯を守るための治療についての講義が大多数で「大阪インプラントにしない研究会」というあだ名がついています。
トピックは軟組織の移植。顕微鏡下で歯肉の移植をするのですよ。今では必須の治療です。
講師の鈴木先生。休日返上で世界中を飛び回って講演されています。自分もこうありたいとも思いますが、私はやはり、私を待ってくれている家族のもとに帰ります。

交通費も出務費も出ないブラック出張ですが、今日も1日勉強してきました。

人や社会の役に立つという強いミッションがあるので、何歳になっても自発的に勉強する気が起きる。そして、医療という「人の苦しみ」に触れる世界に身を置く事で倫理的・哲学的に人間として成長し続ける事ができる。このような人生を送る事ができるのが、医師や歯科医師になる最大のメリットだと感じています。

医療ドラマのような人生ではないけどね。