心が折れても・・・。

※写真はイメージです

過去に他の歯科医院で保険で(保険治療が全て不良とは言いませんが、保険の治療ではあまり時間をかけられないからと、ラバーダムなどの防湿装置を使わずに治療をすると・・・。)受けた治療が多数あり、将来が心配されるお客様が2か月程前に来院されました。ご本人は自分の歯がどのような状況なのか自覚がないようです。

小さな虫歯治療を保険で(もちろん完全防湿で)数回行って、私の事がある程度肌で分かって頂けたと思えた頃に40分間のコンサルテーションの時間を取り、できれば苦難を避けたいと尻込みする自分を鼓舞して「今まで他院で受けられた保険治療を時間とお金をかけて、自由診療でやり直すチャレンジをしませんか?インプラントも併用して。今ならまだ間に合うかも知れません。」と説明しようとしました。

どのように思われたのか、どのように取られたのか解りませんが、どうも私が営業活動をしてきたように聞こえたのでしょうか、3分で会話は終了しました。「悪くなるまで、このままでいいです。」「わかりました。」

溺れそうになっている人に差し伸べた手に唾をかけられたような感じで、さすがに心が折れました。イエス様ならもう一度この方に救いの手を差し伸べられるのだと思いますが、自分にはできるでしょうか。

98%の日本人は予防歯科治療を受けないという異常な価値観も、日本の保険歯科医療制度の狂気ぶりも私の責任ではありませんし、ましてや過去に他院で受けられた治療に対して私には何の責任も義務も無い訳で、このような思いをした時には「日本人のスバラシイ常識に流された方がどんなに楽か」という思いが心をよぎります。

でも、歯科治療のグローバルスタンダードを知る自分の心に嘘はつけません。これからも私の話を理解できる可能性がありそうな方には、自分を鼓舞して気付きの機会を与えてあげたいと思います。一人でも多くの方の人生を救ってあげたいので。