なんちゃって治療

珍しく的を得た内容の記事が出ていました。偏りが少ない内容です。是非読んでみて、考えてみて下さい。

歯の神経抜く治療は半数が再発!?…感染防御が不十分のケース多く(読売新聞(ヨミドクター)) – Y!ニュース 

この記事の中で出てくる「なんちゃって歯内療法」はうまい表現だと思います。もっと言えば、歯内療法だけでなく、歯に詰め物をする時も、クラウンを接着する時も、「防湿」をきちっと行う事がとても大切で、逆に言うと防湿をしていない治療はすべて「なんちゃって治療」と表現して良いのではないでしょうか?

記事の中では「時は金なり」という表現で、時間をかけた丁寧な治療を受けるには、歯科医師にそれなりの報酬を支払う必要がある事にも言及しています。

現在の保険治療は財政的にも、また、治療の質という点でも転換期にきていると思います。

i Phone が世の中に出てからたった10年です。歯科界にもこの10年間でたくさんの変化が起こりましたが、これから10年後には、歯科医療を取り巻く社会的、経済的状況は、もっと加速された、誰にも予言できないほどの大きな変化が起こると思いますよ。

紫外線が頭皮の毛根細胞に与えるダメージの恐怖にビビって、つい海から足が遠のいている「元サーファー」としては、変化というビッグウエーブが来ると思うとワクワクします。どんな風にしたらその大波を乗り越える事ができるか?真冬に海に入っていた時の根性を呼び戻して、心の準備をしておかなくちゃ。

皆さんの所にも同じ「医療制度の変化の波」が来るのですよ。でも大丈夫。予防さえちゃんとしていれば、国が決める歯科医療政策がどんなに変わろうが、あなたとは無縁の事なのです。だって予防治療以外は、歯の治療を受ける事が一生ないのですから。

むしろフロスでもしたら?

こんな不毛な記事が載っていて、この弁護士さん「正気かな」と本気で思いました。

弁護士が伝授「ヤブ歯科医」への仕返し法

これを読んで思った事。
①「仕返し法」とは恐ろしいほど後ろ向きな発想で、根本解決を目指すような思いが全くない。虫歯という完全に予防できる病気を予防する事を考えた方がシンプルで前向きだと思うが、弁護士とはこういう悲しい職業なのかな?
②一般的に、歯の治療を受けた人がこのような考え方と振る舞いをするとなると、我々医療側も「他の歯科医院が行った治療に関しては自分には全く責任が無く、手を付けると現状がわからなくなるために、着手できない。」という、正論を言わざるを得なくなる。「治療後の歯の調子が悪いとは気の毒に。何とか再治療をしてあげたい。」と、心の中で思っても、問題を当事者同士で解決して頂くようにお願いして、お断りするしか無いという事です。

日本人はこのような「真正面からの話」をする人がほとんどいないので、私達も、自分に責任が無くても、気の毒と思う時には「真正面から正論を話して突き放す事無く」だまって再治療をお引き受けする事がほとんどです。

これからの日本人がどのような方向に進んでいくのか知りませんが、社会の考え方の変化を良く観察して、私自身の立ち振る舞いを調整したいと思っています。少なくとも自分が悪く無い事でイチャモンを付けられたくありませんからね。
もちろんこれからも調整の必要が無い事を祈るばかりですが。

この弁護士が勧めているように、わざわざ治療前後の写真を張り付けたプラカードを作って、歯科医院の前でデモする日本人はいないと思いますが、私から言わせると「そんな暇があったらフロスでもして予防した方が前向きじゃない?」といった感じですかね。