虫歯の原因は?

皆さんは虫歯の原因は何だとお考えですか?多くの方は「虫歯の原因は甘い物を食べすぎる事で、その予防は歯磨き!」とお答えになることでしょう。
では、風邪の原因は?そうです。ウイルスの感染ですよね。食中毒の原因は?そうです。ボツリヌスやサルモネラという菌の感染ですね。
もうわかりましたね。虫歯は恐ろしい事に虫歯菌という細菌が感染したためになるのです。もしも虫歯菌が感染していなければ、好きな時に好きなだけ甘い物を食べても虫歯にならないのです。(そんなことすると、他の病気になっちゃいますけどね。)
現実に虫歯菌が感染していないと思われる子供の数が激増して、子供のDMFという数値がついに1を切りましたね。(DMFはそのうち解説しますね)
ついに子供たちの虫歯はゼロ、が当たり前の時代が到来しました。
虫歯は感染症という事を覚えておいて下さい。

夜寝る前に徹底的にブラッシングを!

お口の中の細菌は夜寝ている間に増えていきます。お口は数時間閉じられて、37度に保たれています。まるでヨーグルトメーカーみたいな細菌の培養装置のようです。ですから、寝る直前のお口の中の種菌の量をしっかり減らしておくことが大切なのです。
もしも、一日1回しか歯磨きができないとしたら、夜寝る前に数分間、優しく丁寧に隅々まで(言葉で表現するのは簡単ですが、このスキルをきちっとみに付けていらっしゃる方は少ないですね)しっかりプラークを落として下さい。その後フッ化物を歯に応用してからお休みになるのが大切です。飲んで帰ってそんな事出来るかよ!という声が聞こえてきそうです。そんな時はサボってOKですよ。その代わり翌朝起きたらすぐにしっかり磨いて下さいね。
食後は?30分後に磨くか、食事直後だけなら子供はぶくぶくうがい、大人はフロスだけはしておくというのではどうでしょか。
フッ化物の普及で虫歯予防のために歯磨きを1日に何回もというのは意味が薄れてきているように感じます。
一方、歯周病対策はブラッシングが鍵になってきます。

歯はいつ磨く?

近頃、食直後のブラッシングは歯を傷めるので、30分後に磨くようにした方が良いという意見を目にしますね。はたして真実はいかに?
「えー、学校では3度の食事の後3分以内に3分間みがくようにと習ったよ!333運動とか言ってたじゃん!?」とか「小学校に上がっても我が子だけは歯ブラシを持参させて給食の後の歯磨きをさせていたのに!何よ今さら!」なんて声が聞こえてきそうです。
結論を言うと、新しい理論に軍配が上がりそうです。口腔細菌学の視点から見て、食事をした直後は歯の表面が強い酸性になっているのでそこをスクラッチするとかえって傷だらけになるという意見は正しいように思えます。
でも、食事が終わってから30分も待っていると、学校や会社に遅刻するし、尼崎で途中下車してトイレで毎日歯磨きするほど暇じゃないですよね。昼休みが終わってしまうし、毎日毎日、授業や会議の途中でトイレで歯磨きするのも不可能です、ね?
とほほ、どうしましょう?
答えのヒントは「一番大切な歯磨きタイムは夜寝る前」という非常に重要なポイントにあります。
続きは明日書きますね。

三島の白鳥歯科にて

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今週は水曜日と木曜日を休診にさせて頂き、三島にある白鳥歯科医院を訪問させて頂きました。院内でのオペ見学と日本各地からかけつけて下さった、世界的に著名な4名の先生方の講演を拝聴し、沢山の事に気がつき、沢山の学びがありました。
白鳥歯科は保険診療を全くされず、理想的な治療だけを追求される素晴らしい歯科医院です。同じ歯科医師として働く身として、自分の持てる技術と時間を完全に出し切って、理想的な治療を提供できる環境を作り出した白鳥先生とスタッフの皆様に敬意を表します。
私の歯科医師としての人生はもう折り返しを過ぎています。これからも歯科医として後悔のないように、良く考え、努力していきたいと思いました。

正座、地に足がついた状態、プラプラした状態

IMG_2420日本歯科医師会のパンフレットによると、食事をする時に正座をしている時が、この3つの中でいちばん咬む回数が多くなるとの事です。
ファミリーレストランなどで若いファミリーが時々使っておられる、テーブルに挟むタイプの子供の椅子がありますね。軽くて携帯に便利ですが、子供の顎を正しく成長させるという視点からは、残念ながら理想的ではないみたいです。
皆さん自分が食事をする時に足をプラプラさせるような椅子で食べてみて下さい。何とも頼りなく、しっかり噛む力が入らない事に気がつくはずです。大人でもそうなのですから、子供や老人はもっと食べにくいはずです。
正座は身長を低くするだとか色々な悪い噂があって、イメージが良くないのですが、このデーターからすると、昭和時代の日本の食卓のように家族でちゃぶ台を囲んで(テレビは無しで)正座して食事をしているのが一番顎の成長には良いようですね。
さすが、歴史の中でつちかわれた日本の生活習慣は凄いですね!

歯磨き(ブラッシング)の目的を明確に理解する

歯磨きをここではブラッシングと呼びましょう。ブラッシングが虫歯予防に大切である事は、幼稚園から小学校、中学高校とずーっと、繰り返し繰り返し刷り込まれますので、誰に聞いても「虫歯予防は歯磨き」と答えてくれます。
これまでのお話で「虫歯予防はフッ化物」と答えてくれる方がおられてもおかしくないと思っています。そうですよ。それも正しい見方です。
どんなに美人のモデルさんでも腸の中には必ず大腸菌がウジャウジャいて、それが体と命を助けてくれている訳ですが、同様にお口の中には常在菌という菌が必ず存在します。この構成の中身に悪玉菌(虫歯菌や歯周病菌)が増加すると困った事になる訳です。
リステリンなどの洗口剤で悪玉菌だけを殺す事ができれば良いのですが、ショットガンのように無差別に殺菌してしまうので使い方が難しいのです。
ブラッシングの目的はこの常在菌の量(特に悪玉菌)を一定以下に保つ事によって、虫歯や歯周病の発症を起こさないようにする事です。ですから別名「プラークコントロール」と言います。
素人のプラークコントロールの技術では限界がありますので、時々衛生士さんの指導を受けたり、プロケアー(professional tooth cleaning)を受けたりする事が必須になります。歯科医師の私でも年に4回衛生士の指導とプロケアーを受ける事を欠かした事がありません。

2015年度版 良い歯医者さんの選び方 ですって。

ドクラボというサイトに面白い記事が載っていますので紹介しますね。「2015年度版 良い歯医者さんの選び方。11個のポイントで二度と歯医者選びに困らない」
開業以来ずーっと色々な事を考えながらやってきて、その積み重ねが現在の英保歯科の姿なのですが、この11のポイントを読んで下さった現在の患者さんが「英保歯科は合格ね。」と思って下さる点が多いとしたら、とても嬉しいです。
次に、こちらは何とも言えない記事ですが、同じドクラボに
「ヤンキー化する歯科医があなたの財布と命を狙っている」
というのがありました。人生に対する美意識、倫理観、品の無い歯科医師が増えているとしたら、困った事ですね。でもこの記事の内容は歯科業界で働いた事が無い人が書いたのだろう、と思わせる詰めの甘さがあります。実は現場の人間にしか解らない根本的な問題点があるのですが、その辺は他の業界でも一緒ですね。歯科医師も基本的には人間で、できれば良い仕事をして皆さんに喜んでもらいたいと日々努力しています。「性善説」を信じて頂いて大丈夫ですよ。この歯車を狂わせている原因は日本の「保健医療制度」です。
その辺は、又の機会に言及します。

 

日本臨床睡眠医学会に参加してきました。

今日は記録的な暑さの日曜日でしたが、私は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の医科歯科連携治療の可能性を高めるための学会、日本臨床睡眠医学会に参加してきました。
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参加者は医科のドクターが1/3、歯科医師が1/3、その他のコメディカルスタッフが1/3というユニークな構成でした。
スタンフォード大学睡眠医学センターの河合真先生を筆頭に、睡眠医学の第一線で活躍されている6名の先生方が、まさに最新の睡眠医学についてご講演下さいました。
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睡眠医学はまさに命を守る医学です。口腔外科の大学院出身の私としては、知識をアップデートして常に正しい治療ができるようにすることがプライドだと感じました。

テレビを見ながら食事をすると・・・。

「食事の時にテレビをつけていると、かみ合わせ、特に成長発育期にある子供のかみ合わせに悪影響が出る」と言われると信じられますか?
休日の夕食はお父様もいらっしゃて、家族の団らんの貴重なチャンスですね。そんな時にテレビをつけたままにしていると会話もすくなくなってしまいます。是非食事の時はテレビを消して下さい。
皆さんの食卓は和風に床に座るタイプ?それともテーブルとチェアーですか?大体指定席があって、同じ場所に座りますよね。それで、テレビの位置はどうですか?
食べ物をかんでいる時は顎や周囲の筋肉などの成長に大きな影響を与えています。毎日毎日、子供が(親も?)食事の時にテレビを見ながら食べているとして、そのテレビが子供の左側にあったとしましょう。常に90度左側に首をねじって咀嚼しているという異常な状態が何年も続くと考えただけで、どのような恐ろしい事が起こりそうか想像がつきますよね。片方の肩にかけるカバンを避けてリュックタイプのカバンを子供に持たせておられるお母様ならすぐに理解して頂けると思います。
頂く時には良く味わって、しっかり噛んで、作って下さった方に感謝しながら食べる事も大切です。
子供達のためにも、食事とおやつの時には必ずテレビを消して下さいね。

歯科の主な病気は3つあります。さて、何でしょう?

歯科で扱う主な病気は3種類。①虫歯②歯周病③噛みあわせ病。「なーんだ。そのくらい知ってるよ。」とおっしゃるでしょう。わかりますよ。
それでは、どんな時に歯医者に行きますか?「歯に穴が開いた時。」「つめ物が取れた時。」「冷たい物や熱い物がしみるので。」・・・ですよね。
実は、そういった時って患者さん自身が無意識に「自分は虫歯だ!」と断定してお越しになっている事がほとんどなんです。それはそれで構わないのですが、②と③についてはどうでしょう?「自分は歯周病だ!」「自分は噛みあわせ病だ!」と断定して歯科医院に行かれる方は虫歯に比べて非常に少ないです。なぜなら②と③は素人の患者さんには「良く分からない}からです。
②歯周病は慢性病なので徐々にしか症状が現れません。口臭が出てきても、髪の毛が寂しくなったり、お顔のシミやしわが増えたりした時と同様、回りの人は普通は指摘しません。ですから、はっきりとした自覚がないままズルズル進行してしまいがちです。虫歯の時と違って「自分は歯周病だ!自分の口は間違いなく臭いぞ!」と自分で断定できる方は少ないのです。
噛みあわせについては、素人の方には更に「良く分からない」はずです。歯科医師でも充分な研鑽を積んだ先生でないと、木を見て森を見ずではないですが、虫歯を削ってつめるだけと云った状況に陥ります。
私が指導医(かみあわせ指導医と言います)をしている「日本顎咬合学会」は、このかみ合わせについては非常に多くの研究実績がある学会です。
歯周病やかみ合わせ病の詳細は又の機会にお話しします。