1年生は虫歯予防も再スタート

小学校に上がる頃にちょうど、一番奥に6歳臼歯が生え、同時に前歯が永久歯に生え変わりますね。乳歯がドンドン生えてくる小さい頃にはお母様もかなり気を付けて虫歯予防に取り組んで下さいます。フッ化物のお陰もあって、20本の乳歯が全て生えてしまってから何年も虫歯ができずに、何の苦労もなく過ごせる時期が幼稚園の頃を中心に何年か続きます。
でもその後、油断した頃に「新しい歯」永久歯が出てくるのです。
生えたての歯は生まれたての赤ちゃんといっしょで、まだ熟成されていないため「柔らかい(フニャフニャではないですが)」のです。ですから油断していると、絶対に虫歯にしたくない永久歯が虫歯菌におかされてしまいます。
1年生になったら、新しく永久歯が生えだしたら、心機一転、もう一度初心に戻って虫歯予防の基礎を思い出し再出発して下さい。
中学校に行って塾に通い出したり、反抗期に入ると親の監視から完全にドロップアウトしてしまい、友達とコンビニで甘いおやつを食べだします。歯磨きしろと言っても言うことを聞かなくなります。
それまでにカチカチの堅い歯と、虫歯菌のほとんどいない口の中にしてやらないといけません。虫歯予防は生まれてすぐから小学校が終わるまでが勝負と言っても過言ではありません。

おやつは持って行くからジュース出してね。

我が家の子供は神戸友の会幼児生活団という所に通っていましたので、幼稚園に通園した経験がありません。ご近所の幼稚園に通園されておられるお子様は、時にお友達のお家に遊びに行ったり、遊びに来てもらったりすると思います。羨ましいですね。ところで、このような話を聞きました。
私の友人のAさん「子供の友達が遊びに来てくれたのですが、ポテトチップなどのおやつを持参して(くれて)バリバリ食べだしました。ビックリしつつも麦茶を出してあげると、『この家にはジュースは無いの?』と言われて再度ビックリ。その時は本当に無かったので『ごめんね、無いのよ。』と言ったのですが、とにかく驚きました。」
英保歯科のスタッフのBさん「英保歯科に勤務するずっと以前からの話ですが、遊びに来てくれた子供の友人には絶対にお茶しか出しませんでした。『おばちゃん、この家にはジュース無いの?』と聞かれても『ごめんね、無いねん。』と言って、あえて出さないようにしていました。せっかく遊びに来てくれた近所の子を虫歯にしたくありませんからね。」
お二人とも立派な考え方を持ったお母様だと思います。最近はアレルギーの事もあって食事やおやつの交換を禁止する学校も増えています。命に関わる可能性があるからです。
ジャンクフードとジュースでお腹を一杯にしてしまいますと、夕食が食べられなくなったり肥満の原因にもなります。もちろん虫歯のリスクも高まります。
子供の体と心と歯は大人と違います。せっかく遊びに来てくれた小さな小さな子供達に対する、本当の優しさ、思いやりとは何かを再考して頂けると有難いです。

DMF指数1以下の時代を生きる

ついに日本人の12歳DMF指数が1以下になるようです。DMF歯数とは「過去に虫歯になった事がある歯の数」の事で、歯科医院でちゃんと治療をしてもらっている歯も数の中に入ります。例えば今までに12本治療していて、今虫歯が3本あって、抜けている歯が2本なら、あなたのDMF歯数は、12+3+2=17本で、17となります。「虫歯が2本だから2にしてくれないの?」と言いたくなりますね。あなたのDMFはいくらになりますか?今の日本人の中年なら「多すぎてわからないよ。」とういのが普通です。今の日本人の大人は歯が悪くて「普通」なのです。
DMF
(Garbage news.com より)
一方、これから大きくなっていく、今の子供たちは、我々の時代とは別世界に生きるようになります。「虫歯になった事もないし、歯に詰め物なんか一つも入っていない」のが当たり前の時代なのです。「歯が悪くて当たり前」から「歯が良くて当たり前」に変わってしまったのです。
「みんなと同じだと安心」という考え方が大好きな日本人社会で、歯がボロボロになってしまった子供が一生を過ごす大変さが想像できますか?
読者の皆様に、私がこのHPで、狂気のように子供の虫歯予防を強調している理由が解って頂ければと思います。

 

 

Refresh!

ビジネスパーソンの方には毎週末にあるのですが、連休というものは、歯科医師にとっては「めったいない」ことなのです。
2日の短い夏休みを頂いて、家族で和歌山県の白浜に行ってきました。白良浜は波が高く遊泳禁止区域が多かったのですが、その分ボディサーフィンを楽しむ事ができました。
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学生時代はウインドサーフィン(今は不思議なほど人気が無いようですが)に没頭し、風が吹くという理由だけで琉球大学か浜松医大の歯科口腔外科に行こうかと真剣に考えた位です。
海に対しては人一倍の思い入れがあり、潮の香りを嗅ぐと一気に学生時代にタイムトリップします。
しっかりリフレッシュさせて頂きましたので、明日からまた頑張ります!

歯並び以外に、歯ごたえのあるものを食べる効果

米国では肥満による睡眠時無呼吸症候群がほとんどだそうですが、日本人には太っていないのに、その病気で苦しんでいる人が多いそうです。その理由は弥生人風(しょうゆ顔)の顔の骨格にあります。縄文人風(ソース顔)の人は南方系ですが、秋田美人に代表されるほっそりとしたしょうゆ顔は北方系と言われます。
男も女も小顔ブームで、アイドルもジャニーズも誰もかれもエラが張っていないほっそりとした顎を好みます。
呼吸の関係から言うと、むしろ、がっしりとした顎の方が上気道の確保に有利なのです。
歯並びという視点から、積極的に歯ごたえのある物を子供たちに食べさせようという意見がありますが、同様の事は呼吸の視点からも言えると思います。

バギーのポケットからラムネ菓子?

思わず窓を開けて「そんな事したらアカーン!」と叫びそうになりました。先日車を運転していて、信号で止まっていた時の話です。2歳くらいの子供をバギーに乗せてお出かけされていた若いご夫婦ですが、ちょっと子供がぐずった様子で、すぐさまラムネ菓子を取り出して子供のお口の中に入れたのを見た時です。
精製白砂糖の精神に対するインパクトは強大ですから、確かにすぐに静かになりますが、3歳までの味覚の形成時期には精製白砂糖の与え方には慎重になりすぎてもなり過ぎという事はありません。
同様にスマホを子供に渡して触らせておけば静かになるので、そうされる方も見受けます。
私も4人の子供を持つ父親として、子育ての大変さは解っているつもりです(母親の100分の1くらいでしようが)。
妻は時々「砂糖菓子やスマホで黙らせるより、真正面から子供に向き合う方が、大変だけれども自分も子供も成長できる。」と言っています。
頑張れば子供も親も立派に成長し、素晴らしい家族となることでしょう。

睡眠歯科技術講座に参加しました。

睡眠時無呼吸症候群に歯科がどのように関わるべきかを勉強するために、日曜日の朝5時52分、新三田を発って東京に行ってきました。
歯科医師のみならず、志の高い歯科技工士も参加して充実した1日となりました。
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米国 Los Angels からは世界的に著名な日本人技工士、谷口さんと、それから横浜などからも熱心な技工士さんが参加しておられましたよ。
米国でやっとそういった見方がされるようになってきたばかりの、全く新しい分野ですが、これからの歯科医は呼吸と歯と口腔の関係を視野に入れて診断と治療をすべきであると強く感じました。

一生のうちにブラッシングする時間の合計は同じ?

患者さんを診させて頂いていると、タイトルのような考えが頭に浮かんできます。小さい子供の頃は本人に責任はありませんが、小学校高学年以降、歯の大切さを理解できず歯磨きをおろそかにしてきた人の例えです。子供の頃に虫歯を沢山作ったり、成人以降も真剣に歯を磨かずに歯周病で歯を失ったりした人は、そのうち歯がだんだん減っていって事の重大さに気が付きます。そして文字通り「改心」して一生懸命歯を磨くようになります。また、岡山大学予防歯科方式の歯周病治療では長時間のブラッシングを行って頂きますので、若いころのチョチョッで済ましていたブラッシングの時間と、「改心」してからの長時間のブラッシングの時間を合わせると、ずっと歯を大切にしてきた人の時間の合計と変わらないなーと思う訳です。
一生でみるとどうせ同じ時間磨かないといけないなら、若いうちからしっかり磨いて頂けます、よね。

チンパンジーと人間の違い

元々は同じだった人間とチンパンジーですが、進化の過程で2つの大きな違いができました。2本足で歩ける点と言葉を喋る事ができる点です。
人間は2本足で歩けるおかげで文化的な生活と農耕による安定した食料供給を手に入れましたが、背骨の椎間板という部分の負担が直立歩行と農作業により限界を超えた負荷を受けています。
チンパンジーも英単語を何千と覚える事ができます(!)が、それを発音する事ができません。人間だけが言葉を喋れる理由は舌とその周囲の器官を巧妙に動かして様々な音を作る事ができるからです。但し、その代償に舌は上下方向にに大きくなり、肥満や顎の成長の不良がある場合にはいびきや睡眠時無呼吸症に苦しむようになります。
子供達に歯ごたえのある物を食べさせて、顎を大きくする事は歯並びの見た目の問題だけでなく、健全な生活を送るためにも大切であることがわかりますね。
歯と口腔を健全に成長させそれを保つことは生命に影響する事なのです。

岡山大学予防歯科式歯周病治療

私が母校の岡山大学の大学病院で勤務していた頃、歯周病治療を2つの診療科で行っていました。
一つは保存科(歯周病科)、もう一つは予防歯科です。前者は最新の遺伝子診断や検査、手術などを駆使して科学的に歯周病を治す方針を、後者は「爪楊枝法」と言われるブラッシング方法を主体にして歯周病を治す方針でした。
聞いた感じでは、まるで米軍と旧日本軍のような違いがあると思いませんか?それでは米軍と旧日本軍、米軍だけが常に優秀であったかと言えばNOですよね。
私は予防歯科で、本気で丁寧にブラッシングするようになった方の歯周病がどれだけ劇的に改善したかを目の当たりにしてきました。自分としては予防歯科の歯周病治療の仕方の方が好きでした。今でもそうですが。
当時の経験から、現在でも自分の担当する歯周病の患者さんには、時に、「テレビを見ながら、あるいは車に乗っている時でも良いので20分から30分歯ブラシをして下さい」という事があります。
そう言うと、患者さんからは変な目で見られ、その方法は英保歯科の衛生士からも否定される事がよくあります。
でも、正直な所、このアドバイスは核心をついたものだと今でも信じて疑いません。