歯の価値はおいくら?

まず、歯の価値は値段がつけられないほど高いという事を知らなければなりません。
次に、歯医者に行って治療を受けても歯は元に戻せる訳ではなく、虫歯菌が溶かしてしまった部分を金属やプラスチックで修繕して延命しているだけだという事を認識しなくてはなりません。
日本人は、小中学校の間は無料で歯の治療が受けられたり、小さな虫歯なら保険でとりあえず何千円かで治療ができてしまうので、今後もずっと同じような値段で歯が“なおる”と勘違いしてしまうのです。それで本気で予防して絶対に虫歯や歯周病にしない、歯を大切にしようという気が起こらなくなってしまうように見えます。“なんだ、虫歯になっても歯医者に行ったら保険で歯がなおる。簡単ジャン”と思いこむのですね。これが日本人の不幸の始まりと言っても良いかも知れません。
どんどん歯がダメになっていって、1本、2本と歯を抜くようになっても、まだ保険のブリッジで、“とりあえず”安くで歯が入るので、この段階でもまだ歯の価値に気がつく日本人は少ないです。
悲劇はこの後に始まります。たくさんの歯を失っていよいよ部分入れ歯になった時に、愕然となります。金具が見えて格好が悪い上に、喋りにくい、食べにくい。同窓会や外食に誘われても断る事が多くなってしまします。急激に生活が変わってしまう患者さんを山ほど知っています。保険が効くせいで歯の大切さを忘れてしまう日本人は本当に気の毒だなと思う事がよくあります。
昔のように60才過ぎたらリタイヤして、お口には入れ歯が入っているのが当然な時代ならいざ知らす、今は70才を過ぎても元気で社会生活を送る事が期待されていますので、例えばインプラントで失った歯を補うような事を考えるようになります。でも、そういった状況ですから、残っている歯も神経を取って銀歯になっており、その歯の寿命も近付いている事が多々あります。歯の全滅が近いという事です。
英保歯科ではインプラントは1本35万円+消費税(から)という設定ですが、大阪の一等地のあるインプラントセンターでは1本60万円+消費税がかかるそうです。
人間の歯の本数は通常28本ですから、極端な例えですが、28本全部をこのインプラントセンターでインプラントに置き換えると1680万円(!)+消費税が必要になります。夫婦で治療するとなると、家を売却しても足らない位ですね。
逆に言うと、歯を大切にすることはものすごい額の貯金をしているのと同じ事になります。
予防の治療をしてくれるのは歯科医師ではなく歯科衛生士さんです。私は“歯科衛生士の治療を定期的に受ける事は歯科医師である私の治療を受けるより1000倍大切です。”といつも患者さんに言っています。だって、予防さえすれば、1680万円がタダになるのですから。世界一周旅行をしてポルシェを買ってもまだお釣りがきますよ。
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インプラントの一例。(最近はインプラントの性能が向上しましたので、もう少し本数を減らしてブリッジのようにします。)治療に結構なお金と時間がかかりますよね。手術も受けないといけませんよ。
この上に人工のセラミックでできた歯を取り付けると、リタイヤした野球選手や昔、八重歯だったアイドル歌手のように信じられないほど綺麗で真っ白な歯並びになります。でもしょせん人工臓器です。自分の歯のような「歯ごたえ」はいくらお金を積んでも、もう戻ってきません。