こわれたプロテイン

血液検査の項目にCRPというのがあります。C Reactive Protein (C反応性蛋白)といって炎症が起こっているときに数値が増加します。学生の時に医学部の友人に「炎症でロテインだからCRP」と覚えろ、と教えてもらいました。

基準値は0.30mg/dL未満ということになっています。「0.4~0.9mg/dLは軽度で、アトピー性皮膚炎や軽い風邪などでも出る値」と、従来、お医者様は数値が低い場合はあまり気にかけておられませんでした。

最近では、0.01mg/dLまで測定できる「高感度CRP」という検査が可能で、微弱な慢性炎症が検出できるようになりました。現在ではCRP検査をオーダーすれば普通は、高感度CRPで行ってくれるようです。便利ですね。

高感度CRP検査では、慢性炎症を持っていて将来心筋梗塞を起こすかもしれない人を見つける研究が行われているそうです。

また、高感度CRPの値と大腸ガンの発生には相関があることが、エビデンスを持って報告されています。

そして嬉しい事に、お医者様は高感度CRPの値が上昇する原因の一つに歯周病がある事に気が付き始めました。

ご存知のように、歯周病は非常にたちの悪い慢性炎症です。高感度CRPの値も上昇します。英保歯科では将来、全ての成人のお客様の高感度CRPのデーターをチェックしたいと思っております。はやくマイナンバーカードのICかクラウドに医科の血液検査データーが蓄積されて歯科医師も閲覧できるようになって欲しいですね。無駄な重複検査の医療費削減にもなるので、数年もしないうちに、そのような時がくると思いますよ。

私自身も毎年高感度CRPのチェックをしてもらっています。もし歯学部に行ってなかったら、今頃0.01以下じゃなかったかも。「歯医者になってて良かったなー。」と思う瞬間です。

さて、

①歯周病がある=高感度CRP値が持続的に高くなる
②高感度CRP値が持続的に高い人=心筋梗塞のリスクが高い
③高感度CRP値が持続的に高い人=大腸ガンになりやすい

これらが意味する事はなんでしょう?

米国歯科医師会は約20年も前に “Floss or Die?” (フロスの習慣をつけますか?それともフロスをせずに死にますか?)というメッセージで大々的に啓蒙活動を行った事があります。このブログの読者のあなたには、これが大袈裟でない事がわかりますよね。

朝、大阪に出勤する電車で時々一緒になる、例の「口が臭い人」が突然乗って来なくなったら「ひょっとして・・・?」と心配してあげて下さい。