心のケアーにも格差は存在するか?

土曜日の診療後、子供の心のトラウマに関する講演会に参加してきました。

大阪教育大学教授・瀧野揚三先生の熱意溢れるご講演により、自分が知らない世界に触れる事ができて、やはり頑張って「ヨイショ」と動いてみる事の大切さを再確認した次第です。

池田附属小学校の痛ましい事件の後に、事件に遭遇した生徒達やその両親、そして先生方の心のケアが試行錯誤しながらも手厚く誠実に行われ、その経験から得られた知見を大学での教育にフィードバックして下さっているのです。素晴らしい事です。

ただ・・・。

私が感じたのは「確かに痛ましい事件だったが、大阪教育大池田附属というブランド校だから、これだけの人員と予算を投入してその後の心のケアが、これだけ手厚くなされているのではないか?」という事です。
近年はいじめが陰湿になっており、又、父親や母親からのDVは言うに及ばず性的暴行を受けているような少女・少年が闇の中に沢山存在していて、それらの子供達は「こんなに素晴らしい」心のケアーを受ける事ができていないはずです。暴行を受けている当事者の子供自身がトラウマを受けている事すら気が付いていないと思うと不憫でなりません。

と言いますのは・・・。

私自身、幼少期の親の躾が厳しく、更には白陵時代の学校生活と寮生活に於いてはここでは書けない程酷い目に会ってきて、それらは「全てお前が悪く、我慢が足らないのだ」と教えられてきました。今回の講義の中で「トラウマの後遺症」の話が出てきましたが、自分自身に当てはまる項目が結構あり、今回初めて、自分自身が少年時代のトラウマを引きずっている事に気がつきました。「もしもあの当時、誰か知識のある大人が、傍にいて助けてくれていたら、ケアーをしてくれていたら、もう少し違った人間(歯科医師としても)になっていたのでは?」と思いました。

氷山の一角、海面上に出た恵まれた子供達に手厚くケアーするだけで無く、海面下に隠れて日の目を見ていない子供達にも救いの手を差し伸べてあげて欲しいと思います。最近の狂った社会の状況を見ると、海面下の部分がどんどん大きくなっているのではと心配します。